1.「われわれの製品を持てばあなたの健康が害されるかもしれない」
米調査会社ピュー・リサーチ・センターによると、米国には現在、2億7000万~3億1000万丁の銃が存在している。つまり、米国民1人当たりにほぼ1丁という計算になる。さまざまな政治的信条を持つ裁判官や議員も合衆国憲法で保障された武器を所持する権利を認めている。また、現在も成長著しい150億ドル近い規模のこの産業にとって、民間人への銃や弾薬の販売は大きな部分を占めている。たとえばスミス・アンド・ウェッソン社は3月4日、第3四半期の利益が前年の1460万ドルから2080万ドルに増加したと発表した。
2.「恐怖心はわれわれの利益にプラスとなる」
2008年から2013年までは、銃器・弾薬産業の歴史において最も好調な時期の1つだった。調査会社IBISワールドの銃器業界に関する報告書によると、その間の売上高は年率約8.4%拡大し、2013年には推定147億ドルに達した。報告書の著者は、同業界の売上高を後押ししている要因の1つに顧客の恐怖心があると結論付けている。「犯罪が増加する可能性に対する恐怖心がかつてないほどの売上高成長に貢献している」とその報告書は述べている。(FBIのデータによると、全米の窃盗犯罪と暴力犯罪の発生率はこの期間に減少した。)
3.「銃器は法の下で特別扱いを受けている」
いくつかの点で、米議会は小火器を特別扱いしており、他の大量生産品よりも甘い扱いを受けていると言う声がある。まず、製品に関連した負傷や死への不当なリスクから顧客を守るための政府機関である消費者製品安全委員会(CPSC)には、銃器を規制する権限がない。これは消費者製品安全法が1976年に改正されたためである。専門家はこの法改正が市場からの銃器回収をかなり難しくしたと考えている。ワイドナー大学法科大学院の衛生法研究所所長、ジョン・カルヘーン教授はCPSCについて「芝生ダーツのようなものでさえ、販売禁止にしたり回収したりできるのに、銃器に関してはその権限がない」と話す。銃器はCPSCから規制されていないが、アルコールたばこ火器爆発物取締局(ATF)によって規制されていると全米ライフル協会(NRA)の広報担当者、アンドリュー・アルランアンダム氏は反論する。
4.「われわれは子供たちが銃で遊ぶことを望んでいる」
ほとんどの場合、18歳未満の少年は合法的に銃を購入することができない。しかし、多くのハンターや射撃手が初めて(安全な)射撃の仕方を学ぶのは子供の頃であり、銃擁護団体も銃器製造業者も少年たちを念頭に置いてメッセージを作成している。
5.「銃規制には効果があるかもしれないが、それでもわれわれは賛成できない」
2013年に発表された研究のために、ボストン小児病院、ハーバード大学医学部、ハーバード大学公衆衛生学部は自殺や犯罪における銃による死亡率と各州の銃規制法を比較調査した。法律が最も厳しかった州には、身元調査の強化、小火器の違法売買の抑制、襲撃用ライフルの禁止、消費者が公共の場で銃を所持することの防止、子供の安全の確保などを目的とした法令が定められていた。
6.「われわれは政治的に負けることはない」
銃器を所持する権利は合衆国憲法によって守られている。とはいえ、銃器業界が政治的な戦いに勝つための手助けをしているのは憲法だけではない。銃器の業界団体は毎年、自分たちの利益を守るためにロビー活動に数百万ドルを費やしている。米国政治の資金の流れを監視する非営利団体、責任ある政治センターによると、NRAとその系列団体、NRA Institute for Legislative Actionは2013年に合わせて340万ドル以上(前年比14%増)を連邦政府へのロビー活動に注ぎ込んだという。銃を所持する権利に影響を及ぼす州法や連邦法に関して、銃の所有者を教育する組織であるThe National Association of Gun Rightsは昨年680万ドル近く、火器製造事業者団体の全米競技射撃財団は230万ドル以上を費やした。
7.「銃規制に前向きなオバマ政権下でもわれわれは特に追い詰められていない」
コネティカット州ニュータウンでの銃乱射事件を受けて、オバマ大統領は身元調査の強化など、銃による暴力を抑制しようとする計画を発表した。そうした対策は1つも議会を通過していない。実際、政策論議で対立することが多いにもかかわらず、銃器業界はオバマ政権下でもほとんど窮地に立たされていない。
8.「十分な銃支持派になり切れないときもある」
銃を所持する権利を擁護する人々からの圧力に直面し得るのは、銃規制支持派の議員だけではない。銃器業界自体がその痛みを感じることもある。たとえば1990年代、クリントン政権や複数の市長と連携した銃規制支持派の人々が銃器業界を相手取って一連の訴訟を起こした。2000年、銃器メーカーのスミス・アンド・ウェッソンはそのうちのいくつかで和解することにし、さらなる規制を受け入れることで政府と合意した。これを受けて、銃器業界のメンバー数人がスミス・アンド・ウェッソンのボイコットを消費者に呼びかけた。すると同社の売上高は激減し、同社は最終的にそうした和解事案から距離を置かざるを得なくなった。
9.「われわれはあなたが売って欲しくない相手にも銃を売る」
連邦政府に認可された銃砲店は銃を販売する前にFBIの犯歴照会システムで顧客をチェックすることが義務づけられている。犯歴や精神病歴を持つ人はこれで発見できるだろう。しかし、いわゆるテロリスト監視リストに載っている人物に対して店が銃を売ることを禁止する法律はどこにもない。そのリストにはアルカイダや他のテロ組織のメンバーであることが疑われる人物など、政府がテロリストかもしれないと考えている人々ら、推定87万5000人の名前がある。銃規制を訴える団体、銃による暴力を防止するブレイディ・センターのための法的措置プロジェクトの責任者で弁護士のジョナサン・ロウイー氏は「飛行機に乗せるには危険過ぎると思われるテロ容疑者でさえ、銃の購入は可能だ」と指摘する。
10.「弾薬はわれわれの事業の秘密兵器である」
銃器と弾薬の関係は、プリンターとインクカートリッジの関係とよく似ている。前者はそれほどでもないが、後者は頻繁に買うことになり、結局、それにかなりの額を費やしてしまう。弾薬はあまり高価ではないように思える(ライフルの弾薬1箱、20発入りを10ドル以下で買える)が、頻繁に狩りや射撃場に行く人たちは生涯で数千発を消費してしまうで、総額はかなり大きくなり得る。
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