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(cache) 「健康にはただちに影響しない」とはなにか

「健康にはただちに影響しない」とはなにか

twitterばかりですみません

被曝量などについて、「健康にはただちに影響しないレベル」という表現を目にする機会が増えました。もちろん、これは、だから安心していいですよという意味なのですが、難しいですよね。

この言葉は曖昧です。少なくともふたつの意味に解釈できます。たとえば、どこかの放射線レベルの話だとすると

(1)仮に今すぐ避難しても、いずれ健康影響が出る可能性がある(2)仮に今のレベルがそのまま続いて、その場に滞在し続けるとしたら、健康に影響する被曝量に達する可能性がある

という解釈がありえます。本来の意図は(2)でしょうから、今後の放射線レベルに注意していればいいはずですが、(1)だと思ってしまった人は不安ですよ。それでなくても不安を感じている人は、(1)だと思ってしまうのではないでしょうか。すると、「いずれ影響が出るというのに、なんで安全だって言うんだ」と不信感を持つのが当然。

こういう細かい表現にもう少し気を配る必要があります。「政府の発表は信用ならない」と考える人は多いのですから(僕は、最初の水素爆発以降、政府発表の信頼度は劇的に上がったと考えています)

本当はデータを見て、累積被曝量を自分で計算できればいいんですが、すべての人にそれを求めるわけにはいかないでしょうね

— posted by きくち at 11:07 am   commentComment [148] 

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Up1. zorori — 2011/03/20@14:41:42

(1)と(2)の区別もそれほど明確には出来ないと思います。
安全から危険へと連続的に変化する途中での線引きに過ぎないわけですから。

取りあえず、一般の人が対応する必要は無いレベルであるが、行政や管理者が何らかのアクションを起こさざるを得ないレベルと私は理解しています。アクションを起こさざるを得ないレベルとは、規定上安全確認などをしなければならなくなっているという程度かと。

食品や健康に関しては安全率が非常に大きいので、常に問題になりますね。表現に気を配る必要があるとは思うけれども、じゃあどう表現すればよいかといわれると難しい。

Owner Comment きくち  2011/03/20@15:11:51

要するに「ただちに影響があるわけではない」と判断した理由を言えばいいのではないかと思うのですが、どうでしょう。
もちろん、確率的なものなので、厳密に線は引けませんが、(1)の意味か(2)の意味かくらいは言えると思います。数値を見る限り、(2)の意味でしょう

3. トンデモブラウ — 2011/03/20@18:20:12

CTスキャンを相対値としてだすなら、もっと詳しく比較してほしいですね。
現状で、週2〜3回CTスキャンを受け続けている地域もあるので。
1CTスキャン/週で、18ヶ月は大丈夫とか。
 

規制値オーバーの度に、「このレベルでは健康に影響ありません。」という言い訳はもう耳タコ。
規制値にゲタを履かせるというのは、どうも理解できないので、このマントラを聞くたびに欺瞞を感じて不愉快になります。

4. taniyama — 2011/03/20@18:30:35

「ただちに」の意味の問題を言っているのでしょう

1:今すぐに非難したとすれば健康への被害はない(そのまま居続けたら、ヤバイかも)
2:体調が今すぐに悪化するようなことはない(今すぐ非難したとしても、後々ヤバイかも)

ある自然な解釈をすると適切な見解になるが、別の自然な解釈をするとトンデモな見解になる

5. Juno Website — 2011/03/20@18:38:29

> (僕は、最初の水素爆発以降、政府発表の信頼度は劇的に上がったと考えています)
 同意します。逆に東京電力は報告が原子力安全・保安院のあとまわしにされて充分な情報が得られない状態が続いているのではないかと想像しています。

Up6. Toriuchi — 2011/03/20@18:40:44

悪いお題だと考えます。

広報や、広報としての政治家が語る時、理だけで説得するのは難しい。

話法としては、大方の人が納得する言い方であれば、それを執拗に言い換える説明は不安を煽るものと考えます。

(1)と捉える人は稀ではないでしょうか。そこへ言葉を換えて説明するとき、「言いきってくれ」という反論がでます。(言いきっているのですが、言葉を換えると別の言葉を言ったと思う人は非常に多い)

最初から文言を熟慮していたとしても問題は一緒で、「別の聞こえ方」はほとんどの場合あるのではないでしょうか。言い方、の方がより重要で、与党のアクターは上手と考えます。

言葉、あるいは表現技法単体の問題で、科学的態度や倫理観の問題とはかなり離れていると思います。

解釈次第で遠いところへ議論をひっぱられる類のお題という意味で、悪いと表現しました。私が加担してないことを望みます。

7. 桜井純一郎 — 2011/03/20@19:02:45

>(1)仮に今すぐ避難しても、いずれ健康影響が出る可能性がある
>(2)仮に今のレベルがそのまま続いて、その場に滞在し続けるとしたら、健康に影響する被曝量に達する可能性がある

taniyamaさんが書いていることに近いですが
>1:今すぐに非難したとすれば健康への被害はない(そのまま居続けたら、ヤバイかも)
>2:体調が今すぐに悪化するようなことはない(今すぐ非難したとしても、後々ヤバイかも)

多分、知識のなく扇動されやすい一般の方は(貶めるつもりではありません)
(1) or (2)ではなく1 or 2の判断をしているのだと思います。
つまり「いずれにしても健康被害は出る」ことを前提に考えていて「すぐ避難すれば助かるレベルなのか、すぐ避難しても後で影響が出るレベルなのか」のどちらなのかと考えている可能性が高いのではないかと思います。

私は発表を見る限り「原則的に健康被害は出ない」「1 or 2ではなく、(2)である」と判断しますが、そのように受け取ってくれない人が大勢いることを考慮して発表の仕方を検討してもらいたいです。
マスコミの伝え方が間違いと言いたい。

>トンデモブラウさん
放射線の影響での健康被害は
A:"しきい値"を超えるまで一切影響は出ず、しきい値を超えると影響が出ると考えられているもの
B:受けた放射線量が増えるほど健康被害が増えると考えられているもの
の2種類があると言われています。
Aに関しては「これだけの量ならばまず安全」と言える量がありますが
Bに関してはどこまでなら安全かの明確な線引きはありえません。(自然の被爆量がありますので、被爆量が0になることもありえません)
ので、どこまでならという明確な線引きは不可能なことは了解願います。
知った上での発言かもしれませんが。
トンデモブラウさんは「理解できない」と書かれていますが、規制値に下駄を履かせる(50キロ制限でも良さそうな道を安全のためにあえて40キロ制限にするような意味ですよね?)ことはされていると思います。

8. こなみ — 2011/03/20@20:26:34

この件で昨日きくちさんとツイッターで話していたのですが,

(1)仮に今すぐ避難しても、いずれ健康影響が出る可能性がある
(2)仮に今のレベルがそのまま続いて、その場に滞在し続けるとしたら、健康に影響する被曝量に達する可能性がある

「健康にはただちに影響しない」を(1)の認識の下に一般人の感覚で捉えた場合には,「いつかは必ず怖いことが起きる」というイメージがそこにあるのではないでしょうか。
そしてその「怖いこと」の内容は「放射能で人がばたばた倒れる」,「奇形児が生まれる」ということになるのではないかと思います。

実際,ことさらに恐怖を煽る人の中にはその種の言動は珍しくありませんし,こっそり囁かれている部分もあるだろうと思います。黒澤明の「夢」にもそんなシーンがありました。

そのようなイメージは,放射線の健康被害の中で「確定的影響」に分類されるものに近く,全身のDNAが致命的な割合にまで破壊されて死に至った事例(原爆,第五福竜丸,JCOの死者はそう)のことが想起されているのでしょう。しかし確定的な影響が出るレベルは原発の事故ではほとんど起きないと思います。

原発の事故で考えられるのは,もうひとつの確率的影響の方で,これは端的に発がん確率の増加です。体細胞のDNAが放射線で損傷を受けて,ある確率でガン化するという認識で捉えられているものですね。この場合に,単純なモデルとしては影響が線形に積み重なっていって,確率も増加するというわけです。
このモデルも見直しがなされているようですが,線形であれ非線形であれ,「健康にはただちに影響しない」を解釈する上では,この見方に立つべきなのです。

つまり,誤解によって作られる認識のほうが分かりやすく,正しい認識のほうが確率的な見方を必要とするので難しい。
なかなかやっかいなことです。

9. ふまん — 2011/03/20@21:11:19

人に物事を伝えたいなら
上から目線は辞めれば?
知識有るから偉いんだ?
知らない人を小馬鹿にしてる書き方するなら
書かない方がいいですね
信用出来ない人の典型です
残念な人だ

Owner Comment きくち  2011/03/20@21:25:47

それは残念です。精進します。では、さようなら

Up11. ちがやまる — 2011/03/20@21:20:44

「ただちに」という言葉に、すぐに(時間)と直接(関連)の異なった意味があると思います。

確率的に共有結合を切ってしまうようなものが体に入ってくれば、感度のいい方法を使えばなんらかの変化は認められるかもしれない、だけど、あるレベルまではその変化は直接病気につながるものではなく、病気として認められるまでの機能の変化(はっきりがんのきっかけになるとか)は生じないよ、というつもりで「ただちに」と言っている人もいるんじゃないかと思います。
影響の程度といってもいいかも知れません。(どうでしょうね。)

12. zorori — 2011/03/20@21:22:53

さきほどの、枝野官房長官の記者会見では、「直ちに健康への影響が出るわけでもなければ、将来的に影響があるわけでもない」というような言い方をしてました。(記憶なので不正確)

ここまで言っていまうと、逆の誤解も有りそう。結局、丁寧に詳しく説明するしかないと思うのですけど、そうすると、「分かりにくい。端的に言いきって欲しい。歯切れが悪い。」となるし。

Owner Comment きくち  2011/03/20@22:13:17

いちおうは「誤解がありうる」という指摘を受けて、改善しようとしたのでしょうね。

14. Katase — 2011/03/20@21:28:01

実際にTwitterで見かけた意見としては、
(1)仮に今すぐ避難しても、いずれ健康に影響が出る可能性がある

という風に受け止めた人達の多くは、「安全、安全」と繰り返して言われるけれども本当にどこまで安全なのか、10年20年後に癌などの病気になるのではと漠然と怖がっている様子です。不安に思っている人の意見には、曖昧さはさらに不安を増幅するというものがありました。
この点について、次にリンクする山内さんのご意見が参考になるのではないかと思います。

・「放射能漏れに対する個人対策」by 山内正敏 
http://www.irf.se/~yamau/jpn/1103-radiation.htmlLink
>多くのメディアや研究者が『現在の放射能の値は安全なレベルである』
という談話を発表していますが、残念ながら、どの組織も『どこまで放射線レベルが上がったら行動を起こすべきか(赤信号と黄信号)』を発表していません。これでは近隣地域の人々の不安を払拭する事は出来ないと思います。行動を必要とする危険値や警戒値を語らずに『安全です』と言ってそれは情報とは全く言えないからです。

具体的に、どの数値になったらどういう行動に移るべきかという指標をあらかじめ提示された方が行動の見通しがきくので、「現時点で健康にただちに影響はありません」と言われるだけよりも、漠然とした不安感は減少するのではないかと思います。

15. zorori — 2011/03/20@21:42:08

お医者さんが患者に診察結果を説明するのに、似ているような気もします。
やたら悲観的になる患者もいれば、楽観的すぎる患者もいるし。挙句には、医者は上から目線で偉そうで信用出来んと言われたりして。

Up16. ごんべえ — 2011/03/20@22:44:14

公衆の被曝限度1mSv/年までは気にするな。
1mSv/年〜業務従事者の被曝限度50mSv/年は経済的トレードオフ(たぶん大丈夫)

だと思うんだけど、経済的トレードオフの条件は人によってだいぶ違いますからね。その地域にこだわる理由が無ければ早めに別の場所に移動するだろうし、動けなかったり愛着が深いと100mSvくらいまでがんばる、(0.5%がんが増えても、、)という判断になるかもしれないですよね。

しかし、ホウレンソウなんかはさらにBq/kgからSvへの換算とかになって大変面倒ですからねええ。

ところでリンク先
「総量100ミリSv(Svはシーベルト)という数字で考えてみます。この数字は原子力関係者が平時に受けて良いとされる政府基準」ってデマだと思うんですが、一体どうしていろんなところでこの数字が出回っているんでしょう?

文部科学省告示 平成12年第5号 放射線を放出する同位元素の数量等を定める件
http://www.mext.go.jp/component/a_menu/science/anzenkakuho/micro_detail/__icsFiles/afieldfile/2009/04/22/h121023_05.pdfLink

5条: 50mSv/年; 100mSv/5年

22条に緊急作業は100mSvとしていますが、平時に受けてよいではないですよね。

17. Katase — 2011/03/21@00:10:03

ごんべえさん

平時には、放射線業務従事者の線量限度は「50mSv/年、100mSv/5年」となっていますね。山内さんは、緊急作業時の規制値と混同されたのかも知れません。

山内さんの解説にある通り、 R.L. Brent の2009年のレビュー論文を参考にすると100ミリSv(総量)というのは、「1%以上の人が影響を受ける値であり安全値というより、むしろ、これを越えると有為な差があるという危険値」ということで、避難の目安とする安全/危険の境目として設定する基準値と想定したという点ではそう変なデマではないとは思います。

私が特に参考になると思ったのは、人々の不安を払拭するには、行動を必要とする危険値や警戒値を語らずに『安全です』と言っても安全情報としては不十分であるという山内さんのご意見です。与えられる情報に、どこからが危険であるので、その値を超えたら次にこういう指示を出しますという具体的な判断基準がある方が、納得がいくのではないかな〜と思うのですが、どうでしょうか。

18. Katase — 2011/03/21@01:41:34

補足です。

山内さんが避難の目安として想定したのは、総量が100ミリSvに達すると危険になるという観点から、「気がついてから脱出まで半日かかるとして、かつ状況が刻々と悪くなる事を考慮すれば、危険値は100時間で割るのが妥当」として1000マイクロ(=1ミリ)Sv/時の放射線が検出された場合としています。また、 妊娠初期(妊娠かどうか分からない人を含めて)の場合は300マイクロSv/時としてあります。

これらは、山内さんが一応の目安として提案されたもので、必ずしもこれが絶対の基準ではないとも思います。
また、この避難の目安の基準値の話はこのエントリーの主題からはちょっと逸れるので、あくまでも補足として考えて下さい。

Owner Comment きくち  2011/03/21@02:48:23

ひとつ気をつけたいのは、(5)の原発での線量が5mSv/hを超えたら、というところで、これはあくまでも放出された放射性物質による線量だから、炉や瓦礫から直接出るガンマ線を測っているのとは別ですよね。事務本館北のデータとか正門付近のモニタリングポストの値とかが出ているから、それらを見て判断すればいいのでしょう。

20. ごんべえ — 2011/03/21@07:29:28

Kataseさん

「与えられる情報に、どこからが危険であるので、その値を超えたら次にこういう指示を出しますという具体的な判断基準がある方が、納得がいくのではないかな〜と思うのですが、どうでしょうか。 」

たぶん、それはほかの条件とのトレードオフで決まるので、その情報を事前に決めることができないのでしょう。

20 km圏までの避難指示はスムーズに出されたと評価できますが、それは、人口密度が低いからできたことで、この先の拡大をするのに同じ値で予防的に広げるのは避難先の確保ができないためにもっと危ない数字まで上がってからじゃないと指示が出てこないんじゃないかと予想します。

さて、本題に戻って
「政府の発表は信用ならない」と思われるような原因としては、いきなり緊急時の線量限度をこの事故に限って250mSvとして場当たり感を与えたのがマイナス。だけど、放射線の測定値はごまかしていなさそうにみえます。かなり悪い状況をすぐに発表しているように見えるのに、これで政府発表は信じられないって。。。。

なお、「直ちに健康に影響は出ない」は
(2)と
(3)仮に今のレベルがそのまま続いて、その場に滞在し続けるとしても、健康に影響しない
の両方を含んでいるはずです。

Up21. Katase — 2011/03/21@11:39:10

きくちさん March 21, 2011 @02:48:23

>事務本館北のデータとか正門付近のモニタリングポストの値とかが出ているから、それらを見て判断すればいいのでしょう。

それと、少し前から福島第一原発周辺地域のデータが測定されて公表されていますので、それも参考になるかと思います。
・文部科学省のモニタリングカーを用いた福島第1発電所及び第2発電所周辺の空間線量率の測定結果 
http://www.mext.go.jp/a_menu/saigaijohou/syousai/1303726.htmLink

22. 門前の小僧 — 2011/03/21@14:07:46

ごんべえさん

> 「与えられる情報に、どこからが危険であるので、その値を超えたら次にこういう指示を出しますという具体的な判断基準がある方が、納得がいくのではないかな〜と思うのですが、どうでしょうか。 」
>
> たぶん、それはほかの条件とのトレードオフで決まるので、その情報を事前に決めることができないのでしょう。
>
> 20 km圏までの避難指示はスムーズに出されたと評価できますが、それは、人口密度が低いからできたことで、この先の拡大をするのに同じ値で予防的に広げるのは避難先の確保ができないためにもっと危ない数字まで上がってからじゃないと指示が出てこないんじゃないかと予想します。

言い方の問題かもしれませんが、それでは「政府の発表は信用ならない」と言われても仕方ないのでは無いでしょうか?
行動の判断はメリットとデメリットを比較して判断するものだと思いますが、それが誰にとってのメリット・デメリットであるかが重要だと思います。
「避難させるのが大変だから危険度がもっと上がるまで避難させない」という判断を政府がしているとすると、住民の健康被害と、住民を避難させる事の大変さを比べているようでもあり、本来比較してはいけない物を比較しているようにも見えます。

個人にとっては、その個人及び家族の健康が第一であり、その観点でどれぐらいのレベルから行動に移した方が良いのかと言う指針はやはり事前にある方が良いのではと思います。それを政府が発表すべきものかどうかは即断できませんが。

23. tazo — 2011/03/21@15:44:20

健康被害がただちに出ないとしても、将来的には何らかの健康被害がでる可能性もあるということですよね。

CTの放射線だって、日本の医療放射線被曝は少なからず日本のがん発生率を上昇させているのではないかと問題になっているし、国際線の被曝だって何らかの健康被害があるのではないかという話があるのに、それをあたかも安全の指標のように扱っているのは、誤解を生み、大変危険なことだと思います。

24. ごんべえ — 2011/03/21@19:10:07

> 個人にとっては、その個人及び家族の健康が第一であり、その観点でどれぐらいのレベルから行動に移した方が良いのかと言う指針はやはり事前にある方が良いのではと思います。

ただ、個人的には0.5%甲状腺がんの確率が上昇というのは、0.5%の確率でしかおきないイベントだけど、集団で見ると、10万人当たり500人の甲状腺がん患者の増加になるわけです。0.5%のリスクを無駄にとることは無いけど、「個人的に」のほうがトレードオフはゆるいのではないかと思うところです。

また、避難所みたいなところに行ったら少なくとも短期的には生活の質は悪く、かえってエコノミークラス症候群になるおそれもあるようなところを勘案しつつ決めないといけないわけですよね。

と思っていたんですが、福島県では放射線の危険以前に経済的に営農できなさそうですし、脱出したほうがいい人の割合は増えているんじゃないかと思います。ちゃんとした引越し先があればいいんですけど、、、

一見爆発が無いために炉が安定しているかのように見えますが、実態としては、崩壊熱で過熱された、131-Iなどがfilter を通らないでventから出続けて周囲にどんどん増えている状況なのかと心配です。

25. zorori — 2011/03/21@19:38:12

エントリーには次のように書いてあります。

----引用-----
(1)仮に今すぐ避難しても、いずれ健康影響が出る可能性がある
(2)仮に今のレベルがそのまま続いて、その場に滞在し続けるとしたら、健康に影響する被曝量に達する可能性がある

という解釈がありえます。
本来の意図は(2)でしょうから、今後の放射線レベルに注意していればいいはずですが、(1)だと思ってしまった人は不安ですよ。
---引用終わり---

それでも、なお、

>健康被害がただちに出ないとしても、将来的には何らかの健康被害がでる可能性もあるということですよね。

というコメントが付くのですから、この問題が如何に難しいか良くわかりますね。

ところで、今日の枝野官房長官のほうれん草や牛乳に関する記者会見では、さらに丁寧な説明になっていました。

「国の基準は、生涯にわたって接種した場合に初めて健康被害が出る量となっている。従って、数回食べたからといって、直ちに影響が生じるようなものではない。とはいえ、今後継続して接種することによって生じるかもしれない影響を予防するために出荷規制するものである。」というような言い方。これでも不安に思う人は不安なのですね。

Up26. zorori — 2011/03/21@21:57:14

>CTの放射線だって、日本の医療放射線被曝は少なからず日本のがん発生率を上昇させているのではないかと問題になっているし、国際線の被曝だって何らかの健康被害があるのではないかという話があるのに、それをあたかも安全の指標のように扱っているのは、誤解を生み、大変危険なことだと思います。

CTだって、国際線の被爆だって全く安全とは言えませんね。問題はその程度だろうと思います。散々言われていることですが、安全か危険かの二分法ではだめで、どの程度危険かを定量的に把握することが重要かと思います。ところが、規制値や基準値というのは安全と危険を二分するものと受け取られがちです。でも、それは便宜的なものだろうと思います。危険性は連続的に変化しますが、対処の行動が必要か否かには便宜的に線引きが必要なのでそうならざるを得ないだけです。

CTや国際線の被爆は安全の指標ではなくて、危険の程度を示す分かりやすい指標として使われていると思います。それをどのように受け取るかは最終的には個人の判断かと思います。国際線に頻繁に載る人や、喫煙者は、今の状況を心配する以前に禁煙でもした方がよいし、すでにそういうことに気を使っているひとなら、心配するのも筋が通っていると思います。

27. Executor — 2011/03/21@23:27:34

>CTだって、国際線の被爆だって全く安全とは言えませんね。

tazo氏は、
「全く安全とは言えませんね」などという程度の意味で書いたのではないのではないでしょうか。

CTはかなり危ないというレベル。
海外の学会では日本のCT検査受診の多さが問題視されており、正確な数字は忘れましたが、年間数千人はCT検査が原因の癌で死亡しているとの推計。また、非常に稀ですが急性放射線障害を起こす例もある。という記事を読んだことがあります。

それで、被爆量を少なくするよう新型のCTが開発中ですが。
(X線光子を一個一個カウントするティテクターを備えたタイプ)

>CTや国際線の被爆は安全の指標ではなくて、危険の程度を示す分かりやすい指標として使われている

視聴者がそのように受け取るかどうかは疑問です。

28. captnemo — 2011/03/22@09:55:20

安全の指標か、危険の程度か、具体的な数字を調べました。


http://www.nirs.go.jp/news/etc/etc_11_qa.shtmlLink
原爆被爆者のデータから得られた被ばく線量と発がんとの関係を用いると、1万人が10mSv(およそCT検査1回分に相当)を受けた場合、その中で5人が、その放射線被ばくに起因するがんで死亡すると推計されます。一方、放射線被ばくを受けなかったとしても、1万人中約3,000人ががんで死亡します。

ということです。

2004年段階で
人口1000人当たりのX線検査は、米国が962回だったのに対して、日本は1477回と約 1.5倍。X線検査による発癌の推定数も日本が最も多く、年間7587人(がん患者の3.2%)だった。  しかもこの推計値は、日本におけるCT検査が他の先進諸国と同程度として計算したもので、日本の実態を考慮すると、年間9905人に及ぶという注釈が付けられた

という研究もあった。
http://yakuzaic.blog129.fc2.com/blog-entry-2870.htmlLink
こっちは、患者数で、死亡者数ではないことに、注意。

同じ事象をとりあげても、ブログ(ウェブサイト)によって、「危険」とも「安全」とも解釈されています。

死亡者数なら、60歳を越えたら、相対的に、ガン死亡者に占める被曝起因のガンによる死亡者の比率は減るのではないか。

奥菜秀次さんが「若くして」とおっしゃった、高木仁三郎さんの亡くなった年齢(62歳)を越えてしまった私には、さほど「脅威」とは、思えないのですが。
(アスベスト処理に70歳以上の人間で「特攻隊」を作ろうという冗談を聞いたことがあるし)

国際線(正確には、高緯度を高高度でとぶ路線)でも、被爆者のデータによる推計なら、同様の結論になることでしょう。

29. zorori — 2011/03/22@21:48:15

>CTはかなり危ないというレベル。
>海外の学会では日本のCT検査受診の多さが問題視されており、正確な数字は忘れましたが、年間数千人はCT検査が原因の癌で死亡しているとの推計。また、非常に稀ですが急性放射線障害を起こす例もある。という記事を読んだことがあります。

これは,日本ではCTの回数が多いという指摘であり、CT1回分がかなり危ないということではありませんから、別問題でしょう。「週に数回,日本酒1合程度の晩酌ならあまり気にすることはない」というのは概ね正しい言い方だと思いますが,毎晩1升飲み干す生活を許容しているわけでは有りませんから。

30. tazo — 2011/03/22@22:47:58

とりあえず、大まかに僕の意見を書かせてもらいます。

今回の放射線に関する報道を見ていて思うことは、放射線の危険性というものを過小評価していないか?ということです。

たとえば、大学病院では放射線に少しでもかかわる人間には放射線被曝量を測るバッチをつけます。そして被曝量を毎月測ります。それほど、デリケートに扱われて然るべきで、「一年間飲み続けてやっと影響が出るので、少し飲んでもダイジョーブ」などというような発表の仕方、報道の仕方は、その危険性をあまり専門的でない人に対し、真実を隠そうとしているのではないかとつい疑ってしまいます。そもそも確率的影響によるのならば、被曝した人はしなかった人に比べて被曝した分だけ何らかの影響はあるはずです。

また、CTに関して言えば、第一選択の検査として超音波検査があれば必ず超音波検査よりCT検査を優先するようなことはありません。
CT検査は非常に有益な検査であるが、その有益性が危険性を上回る場合のみ使用する、と認識されています。このようなものが、「一回分ならまあいいかぁ」というように思わせるような例えに使うべきではありません。
(ちなみに、日本のCT使用は早期発見の有益性が被曝の危険性を上回り結局は使用した方が予後はいいらしいです。)

そもそも、今回の被曝量の測定では外的被曝は測定しているようですが、内的被曝は測定しているのでしょうか?
今回の事故により、かなりの放射能物質が大気中に漏れたようですが、そういう物質は医療用とは違って半減期が桁違いに長いです。
そのような物質によって内的被曝にさらされた場合、被曝は現在の測定値をいくら公表したところで、無意味です。

このようなことから、僕は
(1)仮に今すぐ避難しても、いずれ健康影響が出る可能性がある
と、とらえています。

UpOwner Comment きくち  2011/03/23@00:03:31

いや、これまでの発表を見る限り、意図は(2)ですよ

32. tazo — 2011/03/22@23:42:24

>国の基準は、生涯にわたって接種した場合に初めて健康被害が出る量となっている。従って、数回食べたからといって、直ちに影響が生じるようなものではない(#24より)

なぜ「直ち」にという注釈をつける必要があるのでしょうか?なぜ影響は生じないと断言しないのでしょうか?
食品の場合

(2)仮に今のレベルがそのまま続いて、その場に滞在し続けるとしたら、健康に影響する被曝量に達する可能性がある

というような空間的な問題は排除されるはずです。

ということはこの「直ちに」は純粋に時間的なものととらえるべきで、言い換えれば「急性症状は生じない」という意味であり、晩性症状の有無については政府はその安全性を少しも保証していない僕は理解しています。

Owner Comment きくち  2011/03/23@00:34:26

食品の場合は、(2)は当然「そのレベルの食品を長期間食べ続けた場合」です。それについては、枝野官房長官の発表でも「食べ続けた場合」として説明されました。

適宜読み替えてください。場所なら「長期滞在すれば」、食品なら「長期食べ続ければ」、そして、いずれも前提として「そのレベルが続くとして」です

34. かわかわ — 2011/03/22@23:43:58

初めまして。ある病院で診療放射線技師として勤務していた者です。

◆「CTが危ない」についてです。恐らく一部のマスコミが取り上げた「放射線障害に閾値がないと仮定した場合」の議論ではないでしょうか? 「仮定」とあるように、現在、様々な仮定があります。医療従事者向けですが、下記が参考になると思います。
http://www.jstage.jst.go.jp/article/jjrt/64/11/1404/_pdf/-char/ja/Link
http://www.jart.jp/message/20101110_mes.pdfLink

◆それから「急性放射線障害」には閾値があることがはっきりしているので、(故意に行わない限り)CTでは起こりえません。医療で起こりえるのは、放射線治療とIVRぐらいでしょうが、明らかに被曝のデメリットが、治療効果を上回る時にしか行いません。

◆「被曝の防護を行うための仮説」、「健康への影響を考える仮説」、それぞれ別の仮説を採用していることが、理解を難しくしている原因ではないかと思っています。

35. disraff — 2011/03/23@00:08:31

>というような空間的な問題は排除されるはずです。

いやだから、「生涯にわたって摂取した場合に初めて健康被害が出る量」と引用部に書いてありますが。都合良く無視?

Up36. disraff — 2011/03/23@00:21:30

ちなみに「半減期が桁違いに長い」ならば、そんなに崩壊しないうちに代謝される割合も高いんじゃないでしょうか。普通に考えれば。だから大丈夫、かどうかは実際の半減期と摂取量によるでしょうけれど。

Owner Comment きくち  2011/03/23@00:37:59

半減期が桁違いに長いものは、崩壊しないうちに代謝されてしまうから、心配ありませんね。

38. しらせひびき — 2011/03/23@03:11:14

>半減期が桁違いに長いものは…心配ありませんね。
 「プルトニウムは半減期が極端に長く、かつ/だからこそ、危険でやっかいだ」と読んだ覚えがあるのですが、これも量の問題でしょうか。現れる場合は大量であるとか。
 あ、現時点でプルトニウムの害を心配しているのではなく、放射性物質への自分の理解の妥当性を心配し、その一例としての著名放射性物質プルトニウムです。
 

39. 技術開発者 — 2011/03/23@04:39:33

こんにちは、しらせひびきさん。

>「プルトニウムは半減期が極端に長く、かつ/だからこそ、危険でやっかいだ」と読んだ覚えがあるのですが、これも量の問題でしょうか。

この元の文章を知らないので、意味を取り違えているかも知れませんが、「生物学的半減期」との混同があるのかも知れません。生物学的半減期というのは、とりこまれた元素が身体から代謝される速さを示すもので、プルトニウムは80年ともいわれます。つまり取り込まれたらほとんど出て行かないわけです。

プルトニウムが嫌がられるのは、その元素自体に化学毒性があるということがあります。もう一つは、出す放射線がアルファ線であるということもあります。アルファ線は身体に当たったときのダメージが大きいけど透過性の低い放射線で「紙一枚で防げる」といわれます。身体に取り込んだときには、紙一枚の防御も無いので、アルファ線のダメージをもろに受けますのでね。

40. 技術開発者 — 2011/03/23@04:52:25

こんにちは、tazoさん。別なスレッドでも書いたのだけどね。

>ということはこの「直ちに」は純粋に時間的なものととらえるべきで、言い換えれば「急性症状は生じない」という意味であり、晩性症状の有無については政府はその安全性を少しも保証していない僕は理解しています。

実のところすでに経験済みではあるんですね。生まれておられたからどうか知らないけど、1960年代に米ソが競って核兵器の開発をしていましてね。でもってその頃の核実験というのは、大気中で爆発させていたんですね。その回数は百数十回に及びます。その核実験により大気中に撒き散らされた放射性物質は世界中に降った訳です。だいたい平米あたり1000から3000ベクレルくらいですね、10年くらいは降り続いたんじゃないでしょうかね。「放射能を含んだ雨に当たるとはげる」なんて迷信もでましたね。でもって、どこに避難するもありませんね。世界中に降ってますからね。汚染されていない食べ物ったって、どこでも降っているわけですから、まあ、日本で取れたものを食ってましたね。ただ、とうやら今のところ晩性症状なるものも出てはいないみたいですね、日本人にも世界中の人にも。

Up41. zorori — 2011/03/23@06:25:30

「プルトニウムは半減期が極端に長く、かつ/だからこそ、危険でやっかいだ」という場合の半減期は生物学的半減期ではなく、2万年以上という通常の半減期のことではないでしょうか。やっかいというのは廃棄物の処理、管理のことを言う場合が多いような気がします。毒性が大きいのはα線を出すからだったと思います。

随分昔に、原研とか動燃の人と仕事をした時に教えてもらった記憶があります。

42. FungiFun — 2011/03/23@07:49:25

プルトニウムは、生物学的半減期も長い=なかなか体外に出ていかないので、同じα線を出すウランなどよりもやっかい度が高いようです。

骨と肝臓でそれぞれ20年と50 年らしいです。

43. トンデモブラウ — 2011/03/23@08:05:08

「生涯に渡って継続的に接取する」という状態(いったいどれくらいの量を?)が、全くイメージできませんので、『そう』しない場合に健康被害は考えなくていい、と言われても…
 
仮に、「健康に影響のないレベル」という根拠が、暫定基準を<4σとしていて、今回の暫定基準値オーバーが<3σに入っている、というような説明であれば納得できます。
しかし、そうすると汚染(?)された牛乳や葉物野菜を、「全廃」や「流通停止」にすることとの整合性が全くとれない、と思いますけど。
(ここのなぜ?が陰謀論の入り口かもな。)
 
生涯、毎日牛乳1Lと茹でたホウレン草500g摂取し続けると影響だ出るとかであれば、それがFPの放射線同位体を全く含まないものであったとしても、(少なくとも私には)多大な影響を及ぼします。

44. ごんべえ — 2011/03/23@08:17:53

トンデモブラウ さん

http://www.asahi.com/national/update/0323/TKY201103230025.htmlLink
によると、137-Csが164倍になると「食べ続けると、一般の人が1年間に被曝(ひばく)しても問題ないとされる放射線量を超える可能性がある」だそうですから、100倍くらいのマージンを見込んでいるつもりみたいですよ。

(いったいどれくらいの量を?)というのは日本人一人当たりの平均というのを使っているのでしょう。

45. 技術開発者 — 2011/03/23@08:50:14

こんにちは、皆さん。放射線に関しては今の問題が起きる前から複数の考え方がありましたので少し整理して見たくなりました。

1.まず、WHOの「放射線は浴びないに越した事はない」という考え方があります。WHOも含めて国際機関の勧告というのは理念的で「理念はこうだよ、現実対処はそれぞれの国でやってね」みたいな面が大きいのです。「放射線は浴びないに越した事はない」という考え方の元は、まさにtazoさんの言われている「確率的影響によるのならば、被曝した人はしなかった人に比べて被曝した分だけ何らかの影響はあるはず」といった考え方です。とはいうものの、もともと自然界からの放射線というのはあるわけで、インドやブラジルには他の地域よりも100倍程度高い地域がありますが、WHOは勧告を出したからといって、その地域の人に「移住しなさい」と勧めたりはしないわけです。あくまで「理念はこうだ」ですからね。

2.次ぎに生体の持っている修復力みたいな考え方があります。つまり放射線で生体が影響を受けても、身体の修復機能がその影響を修復するレベルより下なら問題がないとする考え方です。だいたい100ミリシーベルト/年くらいなら、身体の修復機能がカバーすると考えられている訳です。原発などの施設で働く人が、平時で50ミリシーベルト/年、非常時で100ミリシーベルト/年の被曝を許容されているのはこの理屈です。

3.さらに、その上に「急性症状が現れる下限値」という考え方があります。500ミリシーベルト/年程度の放射線を浴びると白血球の減少などの急性症状が現れます。静養すれば元に戻ると言われています。でもって、当然個人差があります。250ミリシーベルト/年までならこの急性症状は現れないと言われています。今回の事故の途中で「作業者の被曝許容値を250ミリシーベルト/年に引き上げる」事が検討されたのはこの理屈です。

現在の食品の放射性物質の量というのは、食べ続けても2.の量に達しない量なので、「健康被害は考えなくて良い」となる訳ですが、1.の考え方も理念としては無視出来なくて、出荷制限とかになっているのではと考えます。

Up46. Katase — 2011/03/23@08:57:43

「生涯に渡って継続的に接取する」という状態を考慮して飲食物の放射能基準値が決められており、その基準値は個々の飲食物についてかなり低めに設定されていますが、それは人が色々な種類の飲食物を摂取していることを考慮している面もあるのではないかと思います。

例えば、人は牛乳だけ、ほうれん草だけを食べているわけではなく、その他の食べ物も食べて、飲料も飲んでいます。(基準値未満のものも含めて)飲食物全体から摂取する放射性物質の総量も加味して考えると、人が飲食物全体を通じて放射性物質を摂取する総量の上限を抑えるために、1つ1つの飲食物の検査基準値を余裕をもって低めに設定していることは意味があると思います。安全を見積もって個々の基準値はかなり低めに設定されているのではないでしょうか。

47. トンデモブラウ — 2011/03/23@09:25:17

現実性よりゼロ・リスク優先的な基準値(及び対策)なんですか?
マジで!?

48. Niimi — 2011/03/23@11:43:13

おとといラジオで「ほうれん草の場合は、3tonくらい食べると影響がでる『かも』知れないレベル」とかやってました…… (食えるか!)

49. com — 2011/03/23@14:32:21

こんにちは。 
 
日本国内では、食品中のいわゆる化学物質の残存濃度についての安全基準、というのは想定されていますが、恐らく食品中の「放射性物質濃度」「放射線量」というのは、単に想定外(笑)、というか予想の斜め上にいたのではないでしょうか。 
 
農薬なんかの化学物質はADI(http://www.eic.or.jp/ecoterm/?act=view&serial=187Link )を設定していますが、放射性物質はさすがに…一般的な環境下で検出されないハズのものがあえて設定されるとは思えません。 
 
なお、化学物質のADIは 
 
ADI=NOAEL(毒性評価等から得られた最大無作用量)/安全率(実験動物との種の差:10と、ヒトの感受性の差:10を掛けた100) [mg/kg/day] 
 
ですね。ADIのポイントは、ADIをちょっとでもはみ出したらout!、ではなく、一生涯食べ続けても害がないであろう、という値ですね。 
#ちなみに、NOAELに到達するだけの濃度を摂取しようとすると、食べ物そのもので急性中毒死できる…ってブラックジョークがw(Niimiさんのコメント48 March 23, 2011 @11:43:13が典型的な例ですね) 
#あ、outかな?という値は、意味合いとしてNOAELに近いかも。ただ、実験動物(マウスやラット、ほぼヒトではない)の値なので、大体は種族差があります。 
 
なので、今までの食品安全行政に無い基準・考え方が設定されたとしたならば、ADIと異なる根拠だと整合性をどうやって取っていくのか…難しそうですね。

50. Katase — 2011/03/23@21:08:33

食品の放射性物質汚染の基準の根拠ですが、
・原子力安全委員会「原子力施設等の防災対策について」
のp108-109に記載がありました。

飲食物摂取制限に関する指標について
「5−3 防護のための指標」の表3に示した値の算出についての考え方を以下に示す。

? 放射性ヨウ素について
ICRP Publication 63 等の国際的動向を踏まえ、甲状腺(等価)線量50mSv/年を基礎として、飲料水、牛乳・乳製品及び野菜類(根菜、芋類を除く。)の3つの食品カテゴリーについて指標を策定した。なお、3つの食品カテゴリー以外の穀類、肉類等を除いたのは、放射性ヨウ素は半減期が短く、これらの食品においては、食品中への蓄積や人体への移行の程度が小さいからである。
3つの食品カテゴリーに関する摂取制限指標を算定するに当たっては、まず、3つの食品カテゴリー以外の食品の摂取を考慮して、50mSv/年の2/3を基準とし、これを3つの食品カテゴリーに均等に1/3ずつ割り当てた。次に我が国における食品の摂取量を考慮して、それぞれの甲状腺(等価)線量に相当する各食品カテゴリー毎の摂取制限指標(単位摂取量当たりの放射能)を算出した。

? 放射性セシウムについて
放射性セシウム及びストロンチウムについても飲食物摂取制限の指標導入の必要性が認識されたことを踏まえ、全食品を飲料水、牛乳・乳製品、野菜類、穀類及び肉・卵・魚・その他の5つのカテゴリーに分けて指標を算定した。
指標を算定するに当たっては、セシウムの環境への放出には89Sr及び90Sr(137Csと90Srの放射能比を0.1と仮定)が伴うことから、これら放射性セシウム及びストロンチウムからの寄与の合計の線量をもとに算定するが、指標値としては放射能分析の迅速性の観点から134Cs及び137Csの合計放射能値を用いた。
具体的には、実効線量5mSv/年を各食品カテゴリーに均等に1/5ずつ割り当て、さらに我が国におけるこれら食品の摂取量及び放射性セシウム及びストロンチウムの寄与を考慮して、各食品カテゴリー毎に134Cs及び137Csについての摂取制限指標を算出した。

? ウラン元素について
核燃料施設の防災対策をより実効性あるものとするため、ウランについて我が国の食生活等を考慮して指標を定めるとの方針のもとに、実効線量5mSv/年を基礎に、全食品を飲料水、牛乳・乳製品、野菜類、穀類及び肉・卵・魚・その他の5つのカテゴリーに分けて指標を算定した。
指標を算定するに当たっては、5%濃縮度の235Uが全食品に含まれ、これが5mSv/年に相当すると仮定し、さらに我が国における食品の摂取量を考慮して、各食品カテゴリー毎に飲食物摂取制限に関する指標を算出した。

? プルトニウム及び超ウラン元素のアルファ核種について
再処理施設の防災対策をより実効性あるものとするため、IAEAの「電離放射線に対する防護及び放射線源の安全に関する国際基本」(BSS)に記載されているアルファ核種(アメリシウム、プルトニウム等)について我が国の食生活等を考慮して指標を定めるとの方針のもとに、実効線量5mSv/年を基礎に、全食品を飲料水、牛乳・乳製品、野菜類、穀類及び肉・卵・魚・その他の5つのカテゴリーに分けて指標を算定した。
指標を算定するに当たっては、多種類のアルファ核種が共存して放出される可能性があるので、核種毎に指標を作成することはせず、アルファ核種が全食品に含まれ、これが5mSv/年に相当すると仮定し、さらに我が国における食品の摂取量を考慮して、各食品カテゴリー毎に飲食物摂取制限に関する指標を算出した。

と記載されています。

Up51. Katase — 2011/03/23@21:29:08

・原子力安全委員会「原子力施設等の防災対策について」
の資料リンクを鍼忘れていました。
http://www.nsc.go.jp/info/20100823.pdfLink
こちらの、p108-109です。

52. Katase — 2011/03/23@21:32:29

何度もすみませ〜ん。
鍼忘れて→貼り忘れて です。(^^;)

53. tazo — 2011/03/23@23:06:55

まず、半減期についての議論で単に半減期と書いてしまうので、各人にとって使っている定義が違ってしまいますね(当然、僕も含めて。申し訳ないです)

放射線被曝、とりわけ内的な被曝についての半減期に関して議論するならば、いわゆる高校でよく出てきた物理的半減期だけでも、薬理学的な生物学的半減期だけでも議論できません。
有効半減期で人体への影響を考える必要があると思います。というか、人体への影響を考えるための有効半減期ですね。

有効半減期で議論すべきなのに、物理的半減期で議論してしまったために

>半減期が桁違いに長いものは、崩壊しないうちに代謝されてしまうから、心配ありませんね。(#36)

のような誤解が生まれたのかもしれません。
これは、核医学で使用される放射性医薬品の特徴を反例として考えれば、理解できると思います。
また、物理的半減期(Tp)のみ考えるのであっても、Tpが長い物質の場合は土壌、海洋、大気において長期間循環してしまうので、「心配ない」とは言えないのではないかと思います。

54. ごんべえ — 2011/03/23@23:08:14

「『5−3 防護のための指標』の表3」というのは23−24ページにでているものですね。300 Bq/kgとか 2kBq/kgとかなのでちょうど今の話どおりですねえ。

55. TuH — 2011/03/23@23:58:17

東京都葛飾区金町浄水場の水道水のヨウ素-131濃度が,乳児に与える水に関する基準値を超えたとして,東京都がPETボトル入りの水を配布することになりました。

http://www.metro.tokyo.jp/SUB/EQ2011/DATA/20110323.pdfLink

他に,福島県も一部で配布を実施したとのことですが,

・基準値
・公表すること
・PETボトル水を配布すること

は,それぞれ妥当なのでしょうか。
混乱を発生させるだけのようにも思えますし,ウソではないわけだし…。

Up56. tazo — 2011/03/24@01:01:55

>#40
技術開発者さんこんにちは

急性効果を急性症状、晩発効果を晩性症状と間違ったのは、僕が用語を間違えました。申し訳ない。

お話して下さった、50、60年代のことは実体験としては全くわかりません。しかし、僕の生まれるほんの少し前にあったチェルノブイリ原発事故ではどうでしょう。歴史の時間に、北欧地域で放射線量が有意に上がったというような地図を見た覚えがあります。(記憶でしか言えなくてすみません)
もしその地図が正しければ、世界中にほぼ同量降り注いだ、というようにイメージされるべきではないと思います。
60年代の話は、日本からかなり離れた南の島なんかで実験したので、何を食べても影響はなかったかもしれませんが、今回は僕らの住む町で放射能物質が拡散が起こっているわけですから、同列に考えるべきではないと思いますよ。

57. kitten — 2011/03/24@02:07:54

http://www.rist.or.jp/atomica/data/pict/09/09010107/05.gifLink

ネット上に落ちていたCs127の体内の経年変化のグラフです。
これ、日本人成人男性のデータです。

 60年代の恐ろしさがよくわかります。
チェルノブイリなんか目じゃありません。
(距離的にはチェルノブイリでも核実験でも大差ないでしょう)
この時代の人たち、いま大丈夫でしょうか?

Owner Comment きくち  2011/03/24@03:51:36

60年に20歳の人たちが今70歳ですから、まさに高齢化社会の主役のみなさんなのではないかと

59. kurita Website — 2011/03/24@02:53:46

> 60年代の話は、日本からかなり離れた南の島なんかで実験したので

いや、中国は70年代になってからも大気圏内で核実験をしていたのです。 最近では大陸から風にのって運ばれてくる黄砂が話題になったりしますが、当時は、中国の砂漠で行われた核実験による放射性降下物の影響が心配されたのです。
(ちなみに、当時雨に当たった小学生たちの多くは、現在、ハゲ、ボケ、老眼、足腰の弱り等を感じていますが、たぶん放射線の影響ではないと思います)

使われている単位は今と違うし図表はスキャンされたものなので読みにくいのですが、参考として:
http://www.aec.go.jp/jicst/NC/about/ugoki/geppou/V21/N11/197622V21N11.htmlLink

60. zorori — 2011/03/24@06:21:29

> 60年代の話は、日本からかなり離れた南の島なんかで実験したので

その件に関しては、別エントリー『ZERO 9/11の虚構』に貼り付けたリンク先に情報があります。
分かりやすいグラフもあります。


「退避すべきかとどまるべきか」放射線被ばくを深く心配されている方々へ(2011年3月17日午後時点の情報を踏まえて)

http://news.ameba.jp/20110318-2Link

Up61. zorori — 2011/03/24@06:26:39


すみません、
リンクが間違ってました。

http://news.ameba.jp/20110318-29/Link

62. 技術開発者 — 2011/03/24@08:06:08

こんにちは、tazoさん。

>僕の生まれるほんの少し前にあったチェルノブイリ原発事故ではどうでしょう。

チェルノブイリの事故の時の日本の放射物質降下量は平米当たり200ベクレル程度です。

>今回は僕らの住む町で放射能物質が拡散が起こっているわけですから、同列に考えるべきではないと思いますよ。

論理がよく見えません。核実験でも当然爆心地から離れるほど放射性物質は拡散して薄くなる訳ですが、60年代の核実験の頃は大気の上の方で爆発させたために、その放射性物質が地球を何周も周りながら落ちてきた訳です。そのため、爆心地から離れた所でもかなりの量の放射性物質が降っただけの事です。そして百数十回の実験が繰り返されたために、その放射性物質の降下が10年以上に渉って続いた訳です。

あくまで、放射性物質の内部被曝に関して考えると、その当時の日本人のほとんどが「まあ、心配したって他に食うものが有るわけじゃなし」と日本でとれたものを食って内部被曝しているわけですね。その当時の食い物がどの程度汚染されていたかのデータは持っていないのですが、今問題になってるほうれん草程度には汚染されていたんじゃないかと思います。それを食っていたから、kittenさんの示されているような内部被曝データになっているのではと思います。

でもって、じゃあ今の日本人でその当時に生きて居た人間は、tazoさんのおっしゃる「晩発効果」で苦しんでいるという話は聞こえてきません。むしろ「自分も長生きしそうだなぁ〜、下手にボケながら長生きすると子供に迷惑掛けるなぁ〜」なんて思って老後を心配している訳ですよ。

こんにちは、kuritaさん。

>(ちなみに、当時雨に当たった小学生たちの多くは、現在、ハゲ、ボケ、老眼、足腰の弱り等を感じていますが、たぶん放射線の影響ではないと思います)

これは、tazoさんのおっしゃる「晩発効果」でしょう。決して老化現象などであってたまるか・・・(と意地を張る老人であった:笑)。そのころの雨にあたったはずのきくちさんの髪の毛が多い方が、もしかしたら「晩発効果」かもしれません(笑)。

63. やむー — 2011/03/24@09:02:08

>(2)仮に今のレベルがそのまま続いて、その場に滞在し続けるとしたら、健康に影響する被曝量に達する可能性がある

これが正解であったとしても、やはり不安です。
なぜなら、今の放射能濃度が高い状態はいつまで続くのか?
いつまで続けば避難するのか?

これがわかりません。

それに、避難で解決できるものならとっくにやってます。
避難先で就職できるのかどうか判らない状況で、
就職できてる汚染地域を離れるのは大博打です。

64. 技術開発者 — 2011/03/24@10:02:38

こんにちは、やむーさん。

>これが正解であったとしても、やはり不安です。
>なぜなら、今の放射能濃度が高い状態はいつまで続くのか?
>いつまで続けば避難するのか?

まず仮定として、あの原子炉が今後素直に冷却されるという仮定の上の話ですが、それほど長期間は「今の放射能濃度が高い状態」は続かないと思います。

まず何が起きているかという事の説明をさせて下さい。原子炉の中でウランの核分裂がおきるといろいろと放射線を出す物質が生まれます。普通は燃料棒という金属の筒の中に閉じこめられているのですが、今回、燃料棒を包んでいる金属が破れて出てきてしまったわけです。ただ全部が出る訳ではなく、蒸発しやすい元素だけが出てきた訳です、それがヨウ素とかセシウムとかストロンチウムと言われるものです。原子炉から出てきたこれらの元素は空気中で冷えてとても小さな粒になります。とても小さな粒なので、風に乗ってあちこちに散らばって地上に落ちてきた訳ですね。そのため、今は「放射能濃度が高い状態」地域ができています。これらの放射性物質のうちヨウ素は、もしそのままその地域にとどまっても1ヶ月もすると今の1/15程度しか放射線を出さなくなります。セシウムやストロンチウムは結構長い時間放射線を出しつづける訳ですが、雨が降ったりすると、かなりの量が流れて行ってしまいます(これを書くと「次は海が汚染されるのか」と言われるのですが、海の水は量が多いので測定しても検出されないくらいに薄まります)。

という訳で、過剰に長期間の影響を心配する必要は無いと考えて下さい。

良くチェルノブイリと比較されるのですが、チェルノブイリの場合は、今回の事故とはずいぶん様子が違って、10トンとも言われる放射性物質が、雨に洗われてもなかなか流れない平原に広がったために、「放射能濃度が高い状態」の広い地域ができた訳です(それでも昨年は研究者が炉の近くまで行けるレベルには下がりましたけどね)。むしろ、広島、長崎は
被爆しても直後こそ残留放射能被害がおきたけど、終戦の後は直ぐに復興がはじまったといった事をイメージして貰う方が良いかと思います。

実は、「どの程度の量の放射性物質が出たか」という数値が無いので、「多くても数キロ〜数十キロ単位だろう」という想定で書いています。まあ、それほど違ってはいないと思いたいです。

最初に「原子炉が今後素直に冷却されるという仮定」と書きましたが、これがうまく行かないと、さらなる放射性物質の放出がおきるので、庫の話はなりたたなくなります。冷却がうまく行く事を祈りましょう。

65. やむー — 2011/03/24@11:00:17

丁寧な解説ありがとうございます。

一応、ヨウ素が数日で半減することは知っています。
セシウムも、気流などによる拡散が進めばある程度きれいになるのもわかります
(雨によって大気中の汚染が水道水に集約されてしまうことも)。

ただし、それは「これ以上追加汚染が進まなければ」というのが前提です。「放射能濃度が高い状態はいつまで続くのか?」というのは、「いつになったら、福島原発からの放射能漏れが終息するのかわからない」という意味です。

そして、大気汚染濃度はともかく、水道水汚染はここ数日で飛躍的に上昇しているのが現実です(0.6→12Bq/kg@さいたま市 3/19→3/24:http://www.pref.saitama.lg.jp/page/housyasenryou.htmlLink )。
雨が降ったから上昇したのでしょうが、大気中の放射能がまだクリアになっていなければ、雨のたびにさらに上昇を続けると思われます。

ひどくなればミネラルウォーターに頼る生活になるでしょうが、国がいつまでミネラルウォーターの支給に耐えられるのかわかりません。
最終的には、危険と分かっていても飲まざるをえない状況が待っているのではないでしょうか。


正直に言うと,私は今すぐにでも逃げ出して、西日本にでも移住したい。
しかし、それは職を失うことを意味します。職をとるか、健康をとるか、です。
今は職をとるべきなのでしょうが、どのようになったら健康をとる段階なのかがわかりません。

国や県も健康に対する基準を示していますが、信用していいのか不安です。
「健康被害の下限は100mSvで、大気中は15μSv(茨城県16日)だから大丈夫」なんてことを言っていましたが、前者は100mSv/年、後者は15μSv/時。単位を合わせれば前者は11.4μSv/時。下限を超えています。
今では100mSvとの比較でなく、CTスキャンとの比較で弁解していますね。

こんなところからも、役人たちはちゃんと理解していないか、単位を変えてごまかしてるか、と思ってしまうわけです。

水道水に関する国の基準は300Bq/Lですが、「WHOの基準では1Bq/L」との話あります(http://freeride7.blog82.fc2.com/blog-entry-1611.htmlLink )。
これに関してはまだちゃんと理解していませんが、非常に不安です。

Up66. 技術開発者 — 2011/03/24@12:41:43

こんにちは、やむーさん。

>ただし、それは「これ以上追加汚染が進まなければ」というのが前提です。「放射能濃度が高い状態はいつまで続くのか?」というのは、「いつになったら、福島原発からの放射能漏れが終息するのかわからない」という意味です。

「蒸発する放射性元素が出ている」と書いているように炉が冷えれば蒸発も止まり、また漏洩も止まります。それが何時になるかは、ポンプや配管の損傷状態が分からないので明言出来ませんが、希望的観測をすると今週中にはどれかの炉の冷却が始まり、来週末には全ての炉の冷却が始まって欲しいと思っています。実際の所、漏洩そのものが止まるためには燃料棒が冷え切る必要はなくて、燃料棒が水の中に沈んでくれれば、放射性物質の漏洩も止まりますのでね。

>雨が降ったから上昇したのでしょうが、大気中の放射能がまだクリアになっていなければ、雨のたびにさらに上昇を続けると思われます。

これは私の希望的観測なのですが、原子炉がそんなに大量の放射性物質を出し続けているとは思っていません。格納容器そのものは保たれていて、パッキンの継ぎ目あたりから少しずつ漏れている状態だと考えています。少しずつ漏れた水素と放射性物質が建物の中に溜まっていて、それが水素爆発時に一辺に周辺に広がったのが、今観測されている放射性物質と考えています。でもって今でも少しずつは漏れているけど、放水等の影響で周辺大気への拡散はほとんど止まっている様に考えています。というのは、もし大気への拡散がかなりの量続いていると、炉の周辺の観測データは上昇し続ける事になると考えます。蒸発して冷えて粒になった放射性物質が落ちてくる訳ですが、炉の周辺ほど沢山落ちて溜まり続けるので、炉の周りの観測値が上がり続ける訳です。そういう意味では、周辺地域の大気は既に充分に綺麗になっているのではと思います。

>前者は100mSv/年、後者は15μSv/時。単位を合わせれば前者は11.4μSv/時。下限を超えています。

こんなときに、冗談めいた話を書いても笑って貰えないかも知れませんが、私の同僚がある単純作業をしているとき、最初の1時間を終えた段階で、「このペースなら3日で済む」と言うので、「そのペースを8時間は維持出来ないよ」なんて行った事がありました。案の定、途中からペースが落ちたり、作業不良がおきたりして、5日ほどかかりましたけどね。

上の想定で考えると、現在の放射線量が1年間続く事はないので、あまり不毛な計算はしない方が良いでしょう。

なんていうかな、ダブルスタンダードみたいな事をやると信用を失う面はあるんだけど、私なんか結構やっているんですよ。私は悪徳商法の啓発サイトで相談に乗っていたのだけど、内職商法のセールストークに騙されて契約を結びたがっている人には「契約すると、後で後悔したときに解約するのはとても大変だからやめておきなさい」と言い、契約しちゃってから解約したいと相談にくる人には「本気でやれば割と簡単に解約はできますよ」と励ますなんてね。一方で「とても大変」と言い、他方で「割と簡単」なんて言う訳ですね。基準なんて決めるときには、安全率を一杯入れて厳しい値を決めるけど、いざそれが検出されたら、「この程度では健康に問題ありません」と言うのもそれと似ています。

67. やむー — 2011/03/24@14:03:22

技術開発者さん。
たびたびご丁寧な解説ありがとうございます。

総括すると、
(希望的観測で)
しばらくすれば放射能漏洩はとまる。
漏洩総量も大したものではない。

ということですね?
ざっと見積もって、2ヶ月もすれば全ては終息するのでしょうか。

とりあえずは、明るい未来を夢見て、今の地にとどまる価値はありそうですね。ありがとうございました。

>なんていうかな、ダブルスタンダードみたいな事をやると信用を失う面はあるんだけど
人々は今まさにそのような状態になっていると思います。
人々が買い占めなどの過剰反応をしているのは、そのような不信感からくる不安感が原因だと思われます。

政府には、早く買い占めを規制して欲しいものです。

68. 某大学放射線施設職員 — 2011/03/24@14:39:41

久しぶりに書き込みをいたします。
某大学の放射線施設に勤務している者です。

まさか、自分がよく目にしているSvやBqという単位が、ここまで一般の皆さんに知られることになるとは思いませんでした。
また、知り合いの先生方もTVに毎日のように出られていて…

自分の拙い知識ですが、今後ここでも情報発信が出来ればと思います。
人体影響等でしたら、緊急被ばく医療関連の仕事もしておりますので多少は論文を読み、知識を持っております。

やむーさんの書き込みを見まして、
>「健康被害の下限は100mSvで、大気中は15μSv(茨城県16日)だから大丈夫」なんてことを言っていましたが、前者は100mSv/年、後者は15μSv/時。単位を合わせれば前者は11.4μSv/時。下限を超えています。

こちらの件ですが、あくまで屋外のモニタリングポストや屋外で測定器を使用した数値ですので、屋内での過ごす時間等を考慮いただければ、その数値よりかなり下の値になります。
また、天候の状況、風向き等で大きく数値は変動します。
そういったことを予測するSPEEDIというシステムがあったのですが、今回は役立たずだったのですけど…

一時的に風向きが原発からの方向になれば、関東・東北地方では一時的に空間線量率が高くなることは十分予想できます。
もちろん理由は放射性物質が風に乗ってプルームとしてやってくるからです。
ですので、時には低くなり、時には高くなることもありますので、マスコミの値(確認したところ、ほぼ検出の最高値でした)をそのまま計算するのはあまり意味がありません

例として、文科省の環境放射能のモニタリンググラフ(茨城県)へのリンクを貼っておきますのでご確認ください。

http://mextrad.blob.core.windows.net/page/08_Ibaraki.htmlLink

こういった職についているため、少しでも皆様の不安が解消されればと思います。
今後も書き込ませていただくと思いますので、よろしくお願いいたします。

69. 技術開発者 — 2011/03/24@14:40:23

こんにちは、やむーさん。

>(希望的観測で)
>しばらくすれば放射能漏洩はとまる。
>漏洩総量も大したものではない。
>ということですね?

私はそう思っています。なんていうか、やむーさんがイメージされていた様な放射性物質がかなりの量出続けている状態だと、炉の周辺はその放射性物質が降り積もっていて、レスキュー隊が放水に近づける状態ではなくなっているだろうという程度の根拠ですけどね。

>ざっと見積もって、2ヶ月もすれば全ては終息するのでしょうか。

炉の近く(例えば10キロ圏内くらい)についてはどうか分かりませんが、その外に関して言うならそのくらいだと思っています。炉の近くについては、汚染が酷いのと後始末のためにも揮散しないように制御しながらですが放射性物質を扱わなくてはならないので、簡単には立ち入れないだろうと思いますけどね。

70. エディ — 2011/03/24@17:05:13

>私はそう思っています。なんていうか、やむーさんがイメージされていた様な放射性物質がかなりの量出続けている状態だと、炉の周辺はその放射性物質が降り積もっていて、レスキュー隊が放水に近づける状態ではなくなっているだろうという程度の根拠ですけどね。

「東京から避難しなければいけないようだったら、福島第1原発で作業している消防・自衛隊・東電の人達は…」という想像力というか推論が必要ですよね。

Up71. やむー — 2011/03/24@19:47:13

>68 某大学放射線施設職員さん
ご丁寧にありがとうございます。

屋外と屋内では値が違うというのはわかりますが、ずっと屋内に閉じこもるわけには行かないのが現状です。
屋内よりも、屋外の測定値を提示してくれたほうが、私としては有用です。

よく分かっていないのですが、被曝による危険性の基準値(例:100mSv/年)は、累積被爆量なのか、放射線強度なのか、どちらでしょうか?

「『通常の◯倍の放射能だ』、と騒ぎ立てるのは意味が無い」
とよく言われますが、そこから考えると、基準値は放射線強度によるものと思われます。

するとやはり、一時的とはいえ、茨城の15μSv/hであった時間帯は、健康を損なう時間帯であったということにならないでしょうか。
いつ高濃度になるかわからない状況で日々を過ごすのは、やはり怖いものです。


一方、「1時間当たり0.1マイクロシーベルトの環境に1日滞留したならば、2.4マイクロシーベルト被曝することになる。」と表現する記事を見ると(http://www.pjnews.net/news/794/20110319_2Link )、基準値は累積被爆量のようにも見えるのです。それが正しいとすれば、通常の◯倍の放射能の中にいることは、やはり不安です。他の地方の人よりも、健康を損なう時期が早まるのですから。

「1年で**Sv被曝しなければ大丈夫」ということをよく聞きますが、ゲームキャラクターじゃあるまいし、1年経てば体のそれまでの被曝がすべてなかったことになるとは思えません。


基準値が累積値であるほうが怖いので、私は放射線強度であろうと思いたいのですが、正しいのでしょうか?
Wikipediaなんかを見ると、実はよくわかってない、というのが結論のように見えますが・・・。

72. Kosuke — 2011/03/24@21:11:48

> 「1年で**Sv被曝しなければ大丈夫」ということをよく聞きますが、ゲームキャラクターじゃあるまいし、1年経てば体のそれまでの被曝がすべてなかったことになるとは思えません。

非常に単純化した説明だと、そういう事になります。ゲームキャラクターの例えは秀逸。
細胞(正確にはDNA)には自己修復能力があるので、年間でその程度の被曝であれば「チャラ」になるのです。

73. com — 2011/03/24@21:43:47

こんばんは。 
 
やむーさんのコメント71 March 24, 2011 @19:47:13より。 
 
>するとやはり、一時的とはいえ、茨城の15μSv/hであった時間帯は、健康を損なう時間帯であったということにならないでしょうか。 
 
comは化学物質の慢性毒性しか知らない(とは言っても毒性の専門家ではありません)ので、放射線に関してはあまり詳しくないのですが…。 
 
普通、慢性(というか、急性ではない)の障害を議論する際に、暴露シナリオというのに従って評価をします。 
たとえば、労働環境の規制では、1日8時間、週5日で、年○日(ど忘れしましたorz)、軽い作業を断続的に行う…などの条件設定に従います。 
#ちなみに、重労働の際は別な評価をすることが多いです。 
 
そして、やむーさんが茨城県が発表した(一次情報不明ですが)とされる、15[μSv/hr]ですが、確かに100[mSv/年]を[年]→[日]→[hr]と単位換算していくと11[μSv/hr]となりますね。 
 
ここで重要なのが、某大学放射線施設職員さんのコメント68 March 24, 2011 @14:39:41における、暴露シナリオに相当する以下の引用です。 
 
>(前略)屋内での過ごす時間等を考慮いただければ、その数値よりかなり下の値になります。 
 
やむーさんが示された11[μSv/hr]という数値は、屋外に常に24時間、毎日いる人にとっての規制値となります。 
一方、ごく普通の人が屋外にいる時間とは、一日でどれくらいでしょうか? 
一日中、外で働いている人だとしても、多くて16時間というところでしょう。逆に主婦等の在宅の方であれば、多くても4時間とかになるのでしょうか? 
 
もうお判りかと思いますが、外にいる時間のみが規制値との比較になるのであって、24時間毎日いる、と言う前提ではないはずですよね。 
この辺りは、情報を出す側が、誰に対して発信している情報なのか、ということを十分に吟味し、書いた内容で対象者が理解できるようにしないといけないのですが…このようなリスクコミュニケーションというのは、行政機関がもっとも苦手としている分野に違いありません。 
 
少々長くなりましたが、まだ判りにくい場合は、ご指摘いただければ、可能な範囲で対応させていただきます。 
#放射線の急性ではない影響を評価する方法=化学物質の慢性毒性、と同じ前提での説明となりましたが、異なる点があるようでしたらご指摘ください><;
 
あ、それと、Kataseさん、情報感謝です。お礼が遅れてしまいました。

74. zorori — 2011/03/24@22:17:07

やむーさん,
最悪の場合のシナリオでもこの程度という情報があると少しは安心出来るかもしれません。
例えば,以下のようなものがあります。

冷却不能になって燃料が溶融しても,格納容器下部のコアキャッチャーで受け止められという意見が強い様です。格納容器が爆破(核爆発ではありません)し上空500Mまで放射性物質が吹き上がり,局地的に深刻な事態になるが東京圏では,問題は無いというのもあります。

これらが信頼出来るものか分かりませんし,「それほど心配することはない」と言われても疑心暗鬼に陥れば決して安心出来ないと思います。心配することはないと言われても信用出来ないし,危ないと言われるとますます不安になるし,まあ,どうしようもありません。自分で信用出来る情報を探すしかありません。

とりあえず今は,私はそれほど心配していません。20km圏外なら,長期間の被爆が問題なのであり,事態の推移を見ながら対応しても間に合うと考えています。その点,津波や交通事故の方が遙かに恐ろしいです。計画停電の影響での駅の混雑で事故死する可能性も心配です。

英国政府主任科学顧問Sir John Beddingtonという人の見解
http://transact.seesaa.net/article/191195899.htmlLink

福島原発で起きていること
http://ameblo.jp/satoshitaka/entry-10834940369.htmlLink

福島原発事故-簡潔で正確な解説
http://bravenewclimate.files.wordpress.com/2011/03/fukushima_explained_japanese_translationv3.pdfLink

75. やむー — 2011/03/24@23:28:35

>Kosukeさん、comさん
いろいろご意見ありがとうございます。
ちょっとした私のコメントが、いろんな人にご対応いただけて恐縮です。

お二方のお話をまとめてみると、
基準値と実被爆量の比較は、1時間ごとの照射量で比較するのではなく、1年での照射量で比較するのが正しい、ということなのでしょうか。

しかし、年間被曝総量が同じでも、1時間屋外で100mSv被爆し、1年-1時間のあいだはシェルターの中にいて全く無被曝であった場合と、
1年間同じ強度の放射線を浴び続けて、被曝総量が100mSvである場合とでは、
前者が、いくつかの細胞が癌化、あるいは死滅するのに対し、
後者は、全くの無傷である、
と想像します。


その上で、
>細胞(正確にはDNA)には自己修復能力があるので、年間でその程度の被曝であれば「チャラ」になるのです。
の意味を考えると、

基準値以下の場合は、
ある程度の細胞は、癌化することもあるが、
癌細胞が増殖するのよりも早く、人体が癌細胞を排除してしまうので、最終的には癌細胞は残らず、無傷である状態と変わらない(可能性が高い)、
ということで、

基準値以上の場合は、、
人体の排除能力以上に癌細胞が増殖するため、癌になる(可能性が高い)、
ということでしょうか。

Up76. ごんべえ — 2011/03/24@23:59:00

やむーさん

> 基準値と実被爆量の比較は、1時間ごとの照射量で比較するのではなく、1年での照射量で比較するのが正しい、ということなのでしょうか。

そうですね。

> 前者が、いくつかの細胞が癌化、あるいは死滅するのにし、後者は、全くの無傷である、と想像します。

放射線は、一本でも細胞をガン化あるいは殺すことがあります。殺すあるいは、細胞が自殺する分には数が少なければ健康上の問題は何もありません。がん細胞も一時間にばらばらの場所に365個できても、一年間にわたって毎日一個ずつ違うところにできても実際上の違いはなさそうでうす。

77. 技術開発者 — 2011/03/25@05:08:55

こんにちは、やむーさん。

>基準値以上の場合は、、
>人体の排除能力以上に癌細胞が増殖するため、癌になる(可能性が高い)、
>ということでしょうか。

実際には基準値の上にさらに余裕マージンがありましてね。
基準値の2.5倍くらいまでは、やむーさんが基準値以下のときに考えられたのと同じ状態の部分があります。今回の事故で、事故の対策にあたる作業員の基準を緊急避難的に250ミリシーべルト/年にすることが検討されたりしました。基準値できれいに分かれるものではなく、基準値は常に余裕マージンをとって定めますからね。

なんていうか、変なたとえだけど献血を考えると分かりやすいかも知れません。多量の出血で人間は死にますが、400ccの献血では健康に害はありません。じゃあ1リットルの出血はどっちかというと、「水分とって静養」していれば、献血の場合と結果はあまりちがいません。

78. Isshocking — 2011/03/25@06:32:40

やむーさん:
>基準値以上の場合は、、
>人体の排除能力以上に癌細胞が増殖するため、癌になる(可能性が高い)、
原爆被害者の追跡調査では癌発症率と被爆量に因果関係ありとされていますが(単位のグレイとシーベルトはだいたい同じものです)
http://www.rerf.or.jp/radefx/late/cancrisk.htmlLink

チェルノブイリとスリーマイルのケースでは小児の甲状腺癌を除き有意な癌発症率の増加はなかったとされており
原子力百科事典
http://www.rist.or.jp/atomica/data/dat_detail.php?Title_Key=09-01-04-10Link
東大病院放射線治療チーム
http://togetter.com/li/113523Link
よくわかりませんね。
核種の違いか被爆形態で違うのかも知れません。

79. 技術開発者 — 2011/03/25@08:09:48

こんにちは、Isshockingさん。

>核種の違いか被爆形態で違うのかも知れません。

被害者の栄養状態とかも考慮する必要が有りそうです。栄養状態が悪いともともと身体の抵抗力が下がりますからね。抵抗力というと細菌感染に対する抵抗力を思い浮かべますが、体内の癌化した細胞を殺すメカニズムも侵入した細菌を殺すメカニズムとさほど違うわけではありませんから。広島・長崎の頃の栄養状態はかなり悪くて、細菌感染にも弱い状態が有ったわけですからね。

80. kuku — 2011/03/25@09:40:15

場所が同じでもレベルが変われば、話は違ってくる。
場所を変えてもレベルが同じなら、話は同じですね。

> 適宜読み替えてください。場所なら「長期滞在すれば」、食品なら「長期食べ続ければ」、そして、いずれも前提として「そのレベルが続くとして」です

Up81. kuku — 2011/03/25@09:43:28

要するに、観測されたレベルは、そのレベルの場所に長期(って、例えばどのくらい?)滞在すると健康に害を及ぼすかもしれないレベルであるということでしょう。レベルが今後どのように推移するか、とか、そういう情報は含んでない。

Owner Comment きくち  2011/03/25@10:29:20

含んでいません。
新たによそから放射性物質が飛んでこなければ、時間が経つにつれて線量は下がりますが、降雨や風の影響もあるし、新たな放出もあるかもしれない。
あくまでも、そのレベルのままだったとしたら、ということ

累積の被曝レベルですが、健康影響は1年間の被曝量で議論されるので、「1年いたとして」なのだと思います。少なくとも、水道水についてはそういう発表だったはずです

83. トンデモブラウ — 2011/03/25@10:57:51

報道で得られる情報では、放射線核種の暫定基準値については、基準値を超えても「健康に影響を及ぼさない」レベルですが、基準値は「健康に影響を及ぼすかもしれない」レベルで設定してあります、ということしか分からない。
これではどこにだって線が引けるわけで…
影響がないと専門家が話していても、ド素人の胸のモヤモヤはきっと晴れないだろうと思う。
 
きっとキャスターもド素人なので、「私は何を聞けばいいんでしょう?」状態だとは思いますが、専門家はもっとはっきりとリスク(または安全)を伝えないとどんどんゼロリスク信者が増えていくんじゃないかなぁ。

84. 技術開発者 — 2011/03/25@12:32:59

こんにちは、トンデモブラウさん。

>専門家はもっとはっきりとリスク(または安全)を伝えないとどんどんゼロリスク信者が増えていくんじゃないかなぁ。

ニセ科学の問題とかを扱っていて、「専門家ほどハッキリ言わない」は定番の話ですよね。「マイナスイオンはありますか?」「あなたの言うマイナスイオンが何かをハッキリして貰わないと答えられません」なんてね(笑)。

>きっとキャスターもド素人なので

実はここが問題でして、マスコミ人は専門にはド素人でも、「伝える」と言う事に関してはプロでなくてはならない訳ですから、きちんと予習をして、「何を聞くべきか」を構築しなくてはならない訳です。単にマスコミ人の「プロ意識のなさ」が専門家の方に振り向けられている面を感じます。

85. トンデモブラウ — 2011/03/25@13:35:08

技術開発者さん
 
>「あなたの言うマイナスイオンが何かをハッキリして貰わないと答えられません」
 
というのは、一休さん風のネタとしてはありがちだけど、現実に居る専門家だとしたら問題ですね。
まさしく専門バカ。
まぁ、そういう”専門家”に消費者問題を尋ねる方もアレすけど。
その手の”専門家”は、メディアで解説して欲しくないというのが正直なところです。

Up86. いまだ — 2011/03/25@14:25:39

すでに説明が出ていたような気もしますが、議論が捩れているようなので。

放射線の人体への影響という文脈では「急性障害」と「晩発性障害」の2つの影響を区別して議論します。「急性障害」とは、被曝によって直ちに(遅くとも数ヶ月以内)身体に異常が現れる障害で、最近のニュースでは、作業者の方に皮膚障害が発生したことが報じられています。これは、短時間に一定量以上の線量(100mSv以上)を被曝しない限り発生しない障害であるため、非確率的影響(確定的影響)ともいいます。

晩発性障害とは、癌です。その機構の概略は、以下の通りです。
放射線が細胞を通過するときに、たまたまDNAを傷害することがあります。ただちに細胞内の修復機構によって修復が行われますが、たまにエラーが発生します。このエラーが蓄積することで、細胞に異常が生じて癌化すると考えられています。
(余談ですが、最近テレビで活躍している東工大の松本さんはこの分野の第一人者です)

このように、たまたま起こる確率的な現象なので、「放射線を被曝すればするほど癌が発生する確率が高くなる」ということは言えますが、「これ以下ならば大丈夫」と断言することは出来ません。

では、どのくらいの確率かというと、国際的には 1 Sv あたり 5%の確率で致死性の癌の発生率が上昇するという数値が広く認められています。ですから、10μSv/h の場所で1時間立っていると、10μSv被曝することになり、癌が発生する確率が10万分の5パーセント上がる計算になります。CTスキャンが例によく挙がっていますが、約10mSvの被曝で0.05パーセント(1万人に5人)癌の発生率が上がる訳です。

このように本質的に確率的なものなのですが、放射線健康管理という観点からは、人為的に基準を設けることで管理する必要があります。そこで、自然放射線による被曝量が1年あたり2.4mSv程度(世界平均)なので、その半分の1mSv/年を一般公衆の線量限度とすることにしようと定められている訳です。

#細かい話になりますが、上記の数値は国際基準のICRP2007年勧告の値ですが、ヨーロッパのECRRでは、更に高く癌の発生率を見積もっていて、1 Svあたり10%としています。逆に言うと、高めに見積もっても、この程度ということですから、心配な方は、この数値を採用して計算されるとよいでしょう。

#もうひとつ。日本人の約30%が癌で死亡しますから、癌が発生する確率は30%と仮定して、それが何パーセントにまで増加するかと計算してみると、よりリアルに心配できることと思います。

「ものを怖がらな過ぎたり、怖がりすぎたりするのはやさしいが、正当に怖がることはなかなか難しい」by 寺田寅彦

87. 金属屋 — 2011/03/25@15:16:47

こんにちは

理研で「福島原発の放射能を理解する」カリフォルニア大学のモンリオール(B. Monreal)氏による講演のスライドが翻訳されて公開されています。

http://ribf.riken.jp/~koji/jishin/zhen_zai.htmlLink

参考まで

88. FROY — 2011/03/26@17:40:16

初歩的な質問で恐縮なのですが、
原子力発電所からは、なぜ放射性物質が排出されるのですか?

ウランの核分裂後に何種類かの放射性物質になるのはわかるのですが、
なぜそれが燃料棒の外に出るのかがわかりません。
燃料被覆管の合金を貫通して外にでるということでしょうか?

宜しくお願いします。

89. 某大学放射線施設職員 — 2011/03/26@18:32:51

仕事が立て込んでおりましたので、なかなか返事が出来ませんでした。

やむーさん、返答が遅くなり申し訳なかったです。

100mSvの基準値についてですが、現状で政府が言っているのは累積値になります。
ただ、この線量基準についても、瞬間的に被ばくしたのと恒常的に被ばくしたのでは身体症状は異なります。

こういった点についてマスコミでの説明がなく、線量だけが言われている事で、やむーさんの仰ったような勘違いが生じるのと思います。

μSv/hとSvの関係が、速度(km/h)と距離(km)との関係と同様である事を理解していただければ、分かっていただけると思います。

まあ、昨日の朝まで生テレビでホリエモンが言ってましたが、マスコミに理系の人間が少ない為、説明する側の理解不足は大きくあると思います。

90. かとう — 2011/03/26@19:12:18

>FROYさん
貫通しません。
すこし被覆が破れていると言う理解でいいと思います。
その破れた穴から周囲の冷却水に混じり、それが気化するというプロセスです。

Up91. Niimi — 2011/03/26@19:59:51

逆に、外で検知できるから「燃料棒の被覆が破損している証拠になる」とこないだ池上彰さんが解説してました。

92. オキナタケ — 2011/03/26@20:16:56

ホリエモンと言えば、当時「想定内」がちょっと流行ったのを懐しく思い出してしまいました。

93. zorori — 2011/03/26@21:08:44

>FROYさん

「福島原発事故-簡潔で正確な解説」に、解説されています。
http://bravenewclimate.files.wordpress.com/2011/03/fukushima_explained_japanese_translationv3.pdfLink


窒素やキセノンだけなら、被覆管は健全で、セシウムや要素が検出されれば、被覆管が溶融していると推測できるとのこと。

94. かわかわ — 2011/03/26@22:32:01

菊池さんの意見に対してですが、私の考えも(2)です。「ただちに〜」と発表された程度の内部・外部被曝で、発がんリスクが優位に上がるとは思えません。仮にあったとしても、統計には現れない程、つまり0に近いレベルでしかありません。

内部被曝に関する参考:日本核医学会
/微量に放射能汚染された飲食物の長期摂取に関して
http://www.jsnm.org/for_citizen/overviewLink

※核医学(検査)は、患者を内部被曝させて行う検査です。ヨウ素-131も使うことがあります。

95. FROY — 2011/03/28@04:53:42

>かとうさん、Niimiさん、zororiさん、
レスポンスありがとうございます。

皆様の返答をヒントに自分なりにリサーチしたのですが、
なにせド素人なので理解に苦しんでます。
まとめると次のようなことでしょうか。

1.燃料棒内にある放射性物質は燃料棒が破損しない限りその外に出ることはない。
2.使用中又は使用後一定期間を経過していない燃料棒は放射線を放つ。
3.2で発生した放射線により、その周囲にある一部の物質は放射性物質になる。
4.3の放射性物質は炉が破損しない限りその外に出ることはない。
5.1と3の放射性物質は異なる物質であり、半減期に大きな差がある。

で、また初歩的な質問になってしまうのですが、
http://bravenewclimate.files.wordpress.com/2011/03/fukushima_explained_japanese_translationv3.pdfLink
↑では、水や空気がN-16とセキノンになるということですが、
N-16が窒素の同位体だということはわかるのですが、
セキノンとはどのようなものでしょうか?

Up96. masudako — 2011/03/28@05:58:05

FROYさん(March 28, 2011 @04:53:42、現在#95):

セキノンではなくキセノン(Xe)で、元素の名前です。希ガス元素なので常に気体です。ここでは、キセノンの放射性同位体を問題にしています。空気からできるわけではなくて、核燃料の核分裂の結果できるものですが、燃料被覆管がこわれると簡単に出てきてしまうという意味で、窒素同位体といっしょにあげられたのだと思います。

FROYさんのリンク先の解説は、MITの原子力専門家による改訂版(arc@dmzさんほかによる日本語訳 http://d.hatena.ne.jp/arc_at_dmz/20110316/fukushima_nc_power_plantsLink )をごらんになったほうがよいと思います。これにはキセノンの件は削られてしまっていますが、続きの記事 http://d.hatena.ne.jp/arc_at_dmz/20110317/hydrogen_explosions_units_1_3Link には簡単ながら出てきます。

97. Niimi — 2011/03/28@08:25:52

えっと、ヨウ素131とセシウム137が今問題となっていますが、それらは「放射線により、その周囲にある一部の物質は放射性物質に」なったものではありません。ウラン235が核分裂して生成されたもので、自然界にはほとんど存在しないものです。ご提示のPDF中でも「中間生成物」とされてますよね?

原子力発電で「穏やかに」核分裂することでウラン235から徐々に変化してゆくんですが、燃料棒被覆が健在であれば一切外に出ることが無いものです。(再処理過程で取り出されますが)

なので、それが外で検知されるってことは、被覆がどっかで壊れてるってことですね。(溶融したんじゃないか? って言われてますね)

ちなみにヨウ素131の半減期は約8日ですが、β線を出して変化するのがキセノン131です。(なお、セシウム137が変化するのはバリウム137です)

98. 技術開発者 — 2011/03/28@10:09:09

こんにちは、FROYさん。

今起こっている放射性物質の漏洩について説明させて下さい。

理解されているとおり、原子炉の中でウランの核分裂が起きるといろいろな放射性物質が生まれます。しかし、通常は燃料棒という合金の筒の中に閉じこめられているので、外に出る事はありません。しかし、燃料棒の被覆が破れると格納容器内には出てきます。その時に全てが出てくると言う事ではなく、蒸発しやすい元素が出てきます。なかなか、水以外のものが蒸発するというのは想像しにくいとは思いますが、例えばヨウ素は114℃くらいで蒸発しますし、セシウムという元素は600℃くらいで、ストロンチウムという元素は1400℃くらいで蒸発します。今格納容器の中は結構温度が高く、これらの気体がかなりの濃度である状態と考えられます。でもって、格納容器から外へ漏れているのも確かだろうと思います。ただ、格納容器に大穴があいてジャジャ漏れかというとそうではなさそうです。大穴が空いていると、格納容器の中の圧力は外の気圧と差が無いはずですが、圧力は保たれていますからね。おそらく、格納容器に何箇所かあるパッキン部分の継ぎ目あたりから少しずつ漏れている状態だろうと思います。

このわずかな隙間から漏れだしているヨウ素、セシウムなどは、上で挙げた蒸発する温度よりも低いところまで来るとまた固体となります。とても小さな粒状の物質になるわけです。そして乾いた状態では、その粒は原子炉から遠くまで風で運ばれてやがて落ちてくる事になります。あちこちでほうれん草とか水道水から観測されているのは、そのようにして出てしまったものです。今も出続けているかどうかは色々考え方はあると思いますが、今は、上から水を掛けたりしていますので、原子炉から風に乗って遠くに運ばれるヨウ素とかセシウムは多く無く、大半が放水で原子炉の建物の中に落ちている状態だろうと考えています。そのため原子炉の中の水の放射性物質の量は多いのです(これが復旧の障害になったりしていますけどね)。

99. Isshocking — 2011/03/28@11:19:16

>格納容器に何箇所かあるパッキン部分の継ぎ目あたりから少しずつ漏れている状態だろうと思います。
格納容器に異常がなくても圧力容器内が高圧になればたとえ冷却系が停止していても、この高圧蒸気は圧力差で復水器方面に流れますね。
冷却系の配管のどこかに隙間ができていれば、やはり放射性物質がここで圧力・温度低下で高濃度溶液となることも考えられますね。

100. 技術開発者 — 2011/03/28@13:07:57

こんにちは、 Isshockingさん。

>格納容器に異常がなくても圧力容器内が高圧になればたとえ冷却系が停止していても、この高圧蒸気は圧力差で復水器方面に流れますね。

圧力容器から格納容器を貫いてタービンに向かう蒸気配管と、復水器の配管には、結構頑丈な弁が圧力容器の部ブナと格納容器の部分についていて、異常時には閉じるのね。今のところ、その弁はきちんと閉じているみたいで、タービンや復水器の部分は圧力は高くないのだろうと思います。私も確かめた訳では無いんだけどね。タービン建屋内の汚染された水の吸い取りが行われているのだけど、その水の保管場所が復水器だという話なので、その部分には圧は無さそうですね。まあ、弁の隙間から漏れているという可能性は否定はできないんだけど、弁みたいに漏れの原因に成りそうな所というのはむしろかなり安全率をあげて、圧力下でも保つようにつくるものだからね。

Up101. FROY — 2011/03/28@16:11:10

>masudakoさん、Niimiさん、技術開発者さん、Isshockingさん。

レス&サブレスありがとうございます。

>セキノンではなくキセノン(Xe)で、元素の名前です。

いやはや、カタカナのスペル(?笑)を間違えるとは日本人の恥です(汗)
どうりでいくら調べても出てこないはずですよね(赤っ)
昔、プロトコルのことをプロトルコとずっと言い続け大恥をかいたことがありますが、
私はその時から進歩していないということですね(^^;

燃料棒の破損によって漏れ出したであろう放射性物質については勉強になりました。

そこでこれまた初歩的な質問で恐縮なのですが、
燃料棒の周辺にある物質の放射化についてなのですが、
つまり、事故が起きていない正常な原子力発電所において、
燃料棒の外で発生する放射性物質とは、
窒素の同位体以外にどのようなものがあるのでしょうか?
ごくたまに、原発の冷却水漏れの事故が報道されますが、
冷却水が放射能で汚染されるとは、具体的に何を意味しているのですか?
空気に含まれる窒素が中性子を吸収して放射化するのはわかったのですが、
水の中ではなにが起きるのですか?

なんか、聞いてばかりでスミマセン。

102. 技術開発者 — 2011/03/28@16:36:17

こんにちは、FROYさん。

>燃料棒の周辺にある物質の放射化についてなのですが、
>つまり、事故が起きていない正常な原子力発電所において、
>燃料棒の外で発生する放射性物質とは、
>窒素の同位体以外にどのようなものがあるのでしょうか?

たいていの元素が高速の中性子やアルファ線を浴びると、何らかの変化を受けます。その多くがガンマ線などを出す放射性物質への変化です。実は分析化学の世界には放射化分析と言われる分析方法があり、研究用の小さな原子炉で測定したい試料に高速中性子を当てて放射化させたり、加速器でアルファ線を当てたりして、その放射化した試料が出すガンマ線を解析して、試料中の元素の濃度を測る方法があります。通常の分析テクニックで測りにくい元素の分析にはとても便利な分析法です。

しかし、放射化反応というりは中性子などの粒子を浴びた材料が変化する反応ですから、原子炉でバンバンおきると燃料棒の被覆とか圧力容器とかが傷んでしまいますので、通常は放射化の反応が問題にならないように運転しています。まず、燃料棒の被覆ですがジルコニウム合金を使っています。ジルコニウムというのは中性子を受け取る能力が弱く、放射化されにくい元素です。つまり燃料棒の被覆は中性子を通り抜けさせる事で自らが傷みにくい材料でできているわけです。次ぎに燃料棒が水の中に漬かっているのも放射化を防ぐためです。水も比較的放射化されにくい物質でして、放射化されにくだけでなく燃料棒から出る中性子のスピードを遅くする力があります。中性子による放射化というのは中性子が速い速度でぶつかるときに起きますから、水の中を通り抜けた中性子は遅くなり圧力容器とかを放射化させる力を失っている訳です。

つまり、通常に動いている原子炉ではほとんど中性子による放射化は問題になりません(まあ廃炉にした後の片付けでは問題になるのですけどね)。今回の様に水が減って燃料棒がむき出しになると鉄製圧力容器の内面は放射化されて、鉄−54とかマンガン−54などもできているかもしれません。ただ容器が放射化される(つまりは中性子を受け止める)ので圧力容器の外には中性子は出ないとも言える訳です。

103. zorori — 2011/03/28@21:56:05

masudako さん,

訂正頂きありがとうございました。
#74. zorori — March 24, 2011 @22:17:07のリンクも古いものでしたので、同様に訂正します。

FROYさん,

古い情報にリンクしてしまい申し訳ありません。

104. FROY — 2011/03/30@10:21:16

>技術開発者さん

レスポンスありがとうございます。
あのあと冷却水の放射化についていろいろとめくっていたら
H2OがHTOに、O-16がN-16などが見つかりました。
要するに、原発は例え事故が起きたとしても、燃料棒さえ破損しなければ
大規模な汚染が広まることはないということですね。
仮に燃料棒が破損したとしても、今回くらいの程度で済むのですしね。
勿論もっと最悪な事態もないとは言い切れませんが、
正直、あれだけの地震でこれだけの汚染しか出ていないことにいささか拍子抜けしています。
もっとおどろおどろしいイメージがあったのですが、
今回の災害でいかに自分が無知だったかを思い知らされました。

>zororiさん

いえいえ、お気づかいありがとうございます。

105. 技術開発者 — 2011/03/30@10:55:21

こんにちは、FROYさん。

>正直、あれだけの地震でこれだけの汚染しか出ていないことにいささか拍子抜けしています。
>もっとおどろおどろしいイメージがあったのですが、

これだけの汚染と言って良いかどうか・・・。なにがあろうと出すまいと努力してきた者に知り合いがいると、辛いものがありますね。

少しおどろおどろしいイメージの元になった話をしましょうか?

昔、「チャイナシンドローム」という映画が封切られましてね。その映画の中で想定された事故は、今回と同じ様なドライアウト(炉心が水を失うということね)なのね。でもって、燃料棒や中の核燃料が自分の熱でとけて圧力容器の底に溜まるなんて想定ね。でもって圧力容器の底を溶かして格納容器の底に落ちるのね。でもって格納容器の底も溶かして、地面も溶かして地中に潜っていくなんて話ね。映画の中で「どんどん地中に潜って地球の反対側の中国に出てくる」というジョークがあって、それが映画の題名ね。この映画の封切りの後にスリーマイル原発の事故があって炉心が半分くらい溶けたので、ゾーとしたのは事実なのね。メルトダウンなんてまず起こらないと思っていたのが起きた訳だからね。

ただ現実には原発の底にはメルトダウンで圧力容器の底が破れることまで想定したコアキャッチャーというのがあって、メルトダウンした炉心を受け止めて耐える設計にはなっています。マスコミでずいぶん原子炉の図を見られたと思うけど、圧力調整器がドーナッツみたいになっていて、圧力容器の下の格納容器の底には何もないみたいに書かれているでしょ、実際分厚いコンクリートの受け器にすぎないからあまり格好良く描けるものではないんだけどね。

でもやっぱりおどろおどろしさの元はチェルノブイリでしょうね。あれはマスコミも言っているけど「格納容器を持たない原子炉」なのね。そして、減速剤として水じゃなくて黒鉛というものを使っていました。黒鉛ってのは要は炭素の固まりで炭がコチコチに固まった様なものだと思って下さい。この原子炉が暴走した訳です。暴走した理由は「出力の制御実験をしよう」として安全装置を切って無茶な操作をしたからなんだけどね。でもって圧力容器の破損で水を失って熱い黒鉛が大気に晒されて発火する訳ね。格納容器もないのにね。炭は火力が強いなんていうけど黒鉛の火災も同じね。そのすさまじく熱い火事の勢いにのって核燃料も含めた放射性物質が大量にまき散らされたのがチェルノブイリなんです。これは、本当にゾーとします。

まあ、格納容器を持たない黒鉛型原子炉なんてのがもともとゾーとするものではあるんですけどね。

Up106. 通行人弐号 — 2011/03/30@11:57:34

技術開発者さま、初めまして。

リアルタイムでテレビ新聞を見ていた口としては、「火事で燃え上がっている」様子が目に焼き付いているのですが、にちゃんあたりを読んでいると、「チェルノブィリは核爆発を起こした」ってイメージが強いようですね。

107. 通行人弐号 — 2011/03/30@12:20:39

どうも皆様はじめまして。お題に戻ってもう一つ書きます。

「ただちに」ってのは a) 急性じゃなくて晩発性、b) 確定的影響じゃなくて確率的影響である、という二面を含んでいるので判りづらいんだと思います。この二面、生物学的にはリンクしているんですが。

もう一つ、#86や#94に関連して、確か基準値の策定においては、晩発性障害について線量と障害の確率とが線形であることを仮定しているのに、今回の事故に関する「安全宣言」が「約120,000 Bqの放射性ヨードが体内に入った状態(甲状腺線量0.020Gy程度)でも子供達の甲状腺癌発生が増加する危険はありません」(日本各医学会 http://www.jsnm.org/japanese/11-03-25Link )といったように事実上閾値モデルを採用しているというのが「あいつら学会ぐるみで嘘をついている」感じをもたらしている気がします。

放射線医学を勉強したのは遠い昔なんですが、こういうロジックでしたよね?

1. 例えば甲状腺がんに関してはかくかくしかじかの実証的な報告があって、(少なくとも実用的には)閾値があるらしい。
2. これは人間にはもともと癌遺伝子や癌抑制遺伝子があって、DNAの損傷を直す能力や、癌細胞を排除するような免疫系も備わっているという別の知見と矛盾しない。
3. しかし一般的に言って、特異的作用が小さかったり時間的に密接していなかったりすると、ノイズに埋もれやすく統計的に検出するのは難しい。殊に実験室環境じゃない場合(や人道的問題がある場合)には再現性を得ることが困難である。
4. 従ってそれらの報告(閾値モデル)を全面的に採用することはとりあえずしない。
5. そこで基準値の策定などでは安全側に倒して線形モデルを採用する。
6. その上で、自然放射線等や効用(本人にとっての効用が大きい診断/治療用だと高めでもがまん、基本的には一般人にとってはた迷惑なだけの発電所からの被曝に関しては低め -- といっても「安定に電気が使える」という効用は一般人も得ている訳ですが --)を勘案して基準値(i.e. 行動上の閾値)を決める。

これは科学(1-4)だけじゃなく意思決定(5-6)を含んだ結構屈折した論理です。また科学的知見ってのは確実に白黒がつくものでも、一夜に検証できるようなものでもないことが理解できているかも重要かと思います(3や4のresevationの部分)。科学普及書には歴史的部分が必要なのはこのためですね。

「基準値」云々は1.と6.がごっちゃになっている感じがします。だから非常時に基準値が変更されると「嘘つき」「信頼できない」といわれるのでしょう。

「これまでの知見ではこのくらいの被曝でも多分大丈夫だけど、我々は全知全能ではないから、もしかすると将来癌になる人が少し/それなりに増えるかもしれない。一方水を飲まないと確実に死ぬ。従って当面この水を飲んでいい。問題が年を越す程長期化するならば、そのときには再度考える」なんて枝野さんが答弁したらフクロなんでしょうか。

Owner Comment きくち  2011/03/30@22:30:37

閾値なし線形モデルが使われるのは、それしか仮定のしようがないからですよね。安全側に寄るわけですし

正直、バックグラウンドと統計的に区別がつかない程度の危険は、考えてもしかたないと思います

109. 某大学放射線施設職員 — 2011/03/31@09:49:37

通行人弐号様の人体影響の話についてですが…

おっしゃっていることに間違いはありません。現在法令等で参考とされている資料(ICRP勧告等)では、メインとなるのは線形モデルです。

ただ、過去の事例(特に旧ソ連での事例)を追っていくと、線形モデルにならない事象が確認されているため、「ひょっとして一部の人体影響については生物学的には閾値があるのではないか?」と確認をまだされているのが現状です。

こういった研究は一部の大学(広島や長崎など)や研究所(放医研や放影研など)が行っているのですが、予算的に少ないために十分な追跡調査が出来ていないですし、まだ調査を継続しているというのが現状といえるかと思います。(自分の知っている教授の方もまだ継続して調査されています)
現状では、政府もこれまでの調査結果を信用して、情報を出すしかないのが現状でしょうから…

今後は日本もモデルケースとなり、色々な調査が行われていくこととなるでしょう。
その際には、十分な追跡調査がなされれば…今回のことが、少なくとも今後の教訓になってくれればと思います…

110. namsan — 2011/04/01@00:18:37

> 線量と障害の確率とが線形であることを仮定している

放射能のこととはあんまり関係ないかもしれませんが…

線量は「0から+無限大まで」、一方で確率は「0から1まで」だと
思うので、「線形仮定」は数学的に(医学的にでなく)何かおかしく
ないですかね…?

0の近傍で線形で近似できる、ということなら(医学とか無関係に)
数学的に当たり前のことだし…

Up111. Isshocking — 2011/04/01@01:49:33

線量が大きければ、病気になる前に焼け死んでしまいます。
世の中に線形と呼ばれる関係はいくらでもありますが、実体的に無限大まで外延できるものはひとつもありません。
自然科学での線形性とは、「考慮すべき有限の値の範囲で」の話です。
微分係数とも違います。

112. だいまる — 2011/04/01@01:59:16

今まで散々勉強してきて、僕自身は納得した気分でいました。

が、周囲の人達は未だ漠然的な放射能に対する恐怖心をもっています。

そこで、勉強の成果を発揮すべく、あれやこれやと説明するのですが、そこは付け焼き刃。揚げ足取られて終わってしまします。

悔しいので、「このブログ全部読んだら、俺の言ってる事解るから!」と言いましたが、どうやら小さな文字ばかりで、読む気になれないそうです(汗)

そこで単刀直入な質問です。0か100でお願いします。

『今回の福島原発の放射性物質の漏洩による影響で、健康に被害の出る人(将来も含む)は全く居ない、0人であることは、証明も、立証も出来ない』

という認識でよろしいでしょうか?

Owner Comment きくち  2011/04/01@02:41:34

既に作業員に被害が出ているというのは別として、ですよね。
全くいないことは立証できないでしょうね。
というより、これも証明はできませんが、全くいないとは思えません

114. 某大学放射線施設職員 — 2011/04/01@16:57:53

namsan様のNo110のコメントでについてですが、

線形モデルの議論がされた線量範囲は低線量被ばくについてでした。
ですので、高線量については関係があまりありませんし、100Gy浴びればもちろん死亡するため、生物学的には議論が出来ない、というものです。

もちろん高線量ほど癌のリスクは上がっていきますが、1になる線量は通常議論されている線量ではありえません。

線量が0近傍での線形というのも、ホルミシス等を考えると成り立ちませんので、そういった意味で、少ない線量でも影響が出るかもしれない…という線形モデルを勧告に取り込んでいる。
そう理解していただければと思います。

115. いまだ — 2011/04/01@20:35:08

広島・長崎の疫学調査などによって、0.5 Sv から 2 Sv 程度の範囲では、発がん(固形癌)のリスクが被曝線量に比例して直線的に増加するという結果が得られています。
たとえば、こんな感じです。
http://www.nuketext.org/assets/kenkoueikyou/kenkoueikyou_4.gifLink

(ちなみに、固形がんと限定しているのは、白血病では直線ではなく、放物線的に増加するLQモデルの方がよく当てはまるから)

ところが、それより線量の低い部分については、直線が当てはまるのか、閾値があるのか、明瞭に区別できない。

そこで、0.5 Sv 以下の低線量の範囲でも、発がんのリスクは被曝線量に比例すると仮定しよう、というのが線形閾値なし(LNT)モデルです。

実験動物や細胞レベルの研究は、実は LNT に対して否定的で、疫学調査の結果も、特に 0.1 Sv 以下の低線量については、LNTを積極的に支持するものではありません。しかし、具体的な値として閾値を決められるほどのデータも得られてはいません。

ということで、安全側に見積もるということで LNTモデルが採用されています。しかし、ごく微量の被曝でも確率的なリスクが存在するということになって、過剰なまでに恐怖感を与え、資源の浪費や経済的負担の増大に繋がるという批判も根強く存在します。

さらに、この考え方に基づいて設定される「線量限度」は、安全と危険の境界を意味するものと誤解されてしまいがちです。

「特に公衆の年間線量限度 1mSvの適用をめぐって混乱が起きている.たとえば,いったん事故が起きると,公衆はこのときばかりと公衆の線量限度の適用を期待するが,事故の場合にはこの線量限度は適用されず,当局は緊急時の特別な線量としてもっと高い 5〜20mSvの線量範囲までは,ほとんど積極的な介入は行わない.」

これは、自治医大RIセンターの菊地透先生が日本放射線技術学会雑誌2002年3月号(58巻3号)に書かれた「放射線防護におけるICRP新勧告案の動向とその課題」という報告のp332にある一節です。

Up116. namsan — 2011/04/02@11:33:58

>自然科学での線形性とは、「考慮すべき有限の値の範囲で」の話です。

つまり、「考慮すべき有限の値の範囲」をどのくらいであると想定しているのか?、と質問すべきであるということですね。

>世の中に線形と呼ばれる関係はいくらでもありますが、実体的に無限大まで外延できるものはひとつもありません。

それは本当ですか?例えば定義によって線形になっているような場合とか…。と言っても、今回の話はそういう場合に当たりませんが。

>少ない線量でも影響が出るかもしれない…という線形モデルを勧告に取り込んでいる。

>線量の低い部分については、直線が当てはまるのか、閾値があるのか、明瞭に区別できない。

ありがとうございます。「閾値がある」の意味は「ある値以下であれば発癌リスクの増加は無視してよい」ということみたいですね。
それは、「横軸に平行な直線」で近似できるという意味で線形近似できる。そういうのは線形モデルとは言わないのが慣例ということなんでしょうね。

Owner Comment きくち  2011/04/02@12:35:45

閾値があるかないかはまさに議論のわかれるところで、「閾値あり」を示唆するデータも多いようです。

それはそれとして、閾値の有無は決着していないのだから、「防護」の観点からは、安全側をとって「閾値なし線形」を採用しましょうということだと思います

これは難しいところで、「放射線はどんなに微量でも発ガン率を上げると考えられている」ではなく、「放射線はどんなに微量でも発ガン率を上げるものと考えて、防護指針は作られている」というのが正確なのでしょう。

118. namsan — 2011/04/02@12:12:20

いずれにしても「確率の増加を無視してよいかもしれない範囲」の話ということは、研究上の興味はあっても、実際上は発ガンリスクへの影響は無視してよい範囲ということのように思います

119. Isshocking — 2011/04/02@15:48:02

>それは本当ですか?例えば定義によって線形になっているような場合とか…。
定義式そのものが値が極端に大きい場合と極端に小さい場合を無視して初めて自然現象が成立するからです。
まず、宇宙は空間も質量も有限です。従ってここに含まれるエネルギーも有限となり、全ての事象は有限の範囲に納まることは保証されているのです。
時間は有限かどうか分かりませんが、「分からない」ということそのものが無限時間を保証しないことに言及しているわけです。
逆に無限小の方は量子理論による制約を受けます。

まま別に無限を持ち出さなくても、例えばオームの法則は真空の絶縁破壊電圧を超えると簡単に破綻することなどをあげてもいいです。

120. namsan — 2011/04/02@19:29:09

そういうことではなくて、「km=1000m」とか…。

>逆に無限小の方は量子理論による制約を受けます。
>例えばオームの法則は真空の絶縁破壊電圧を超えると簡単に破綻する

何だか(自然?)哲学的な議論をされているようですが、
私にはよく分かりません。

元々、「全てにおいて成り立たない」と言っていたのが、
「成り立たない場合もある」という話になっているよう
な…。

Up121. namsan — 2011/04/02@19:40:15

(注意:放射能の話じゃなくて、すみません)

逆に言うと、量子理論は「日常的な大きさ」の範囲では成立していないのですか?
それとも、大きくなると破綻するとか、もっと小さくなると破綻するとか?
いつのまにか、「線形」という話から外れてしまいましたけど…

ある自然法則の正しさが確認できている範囲というのは、
実験や観測ができているある程度の範囲内での話であると
言うのなら、そうかもしれませんね

ところで、−∞から+∞のものを数学的に(座標?)変換して
0から1の範囲に収めることはいつでも可能ですし、その逆も
可能ですね

122. namsan — 2011/04/02@20:08:43

実際問題としては、実験や観測で確認できる範囲で成り立っているなら、
その外でも成立すると仮に想定しておいて、実験や観測の向上によって
成り立たない事例が出てきた場合に「改めて対応を考える」というのが
普通のように思います。

ただ、今回の話の線形モデルは、そもそも、そのような想定が数学的に
できないようなモデルになっている。しかし、その想定ができないのは
線量が大きい方の話なので、線量が小さい方には線形を想定した議論が
できるので、安全側に振って線形の想定でやっています、ということの
ようですね。

Owner Comment きくち  2011/04/02@20:54:30

大きいほうは「線形モデル」ではないわけです。即座に体に影響が出るような場合まで延長してはいけません

小さいほうは、閾値があるかないかはっきりしないので、より安全を見込んだ閾値なし線形モデルを「防護の指針」としているわけです。
本当に閾値なし線形モデルが正しいかどうかは、また別の話で、それは決着していません

124. zorori — 2011/04/03@07:29:26

namsan さん、

そういうことは、話を聞くだけでなく、直接調べた方が分かりやすいと思います。
たとえば、

確定的影響と確率的影響
http://www.rea.or.jp/wakaruhon/mokuji.htmlLink

125. Isshocking — 2011/04/03@08:22:15

>元々、「全てにおいて成り立たない」と言っていたのが、
「成り立たない場合もある」という話になっているよう
な…。
それは、大部分の自然法則はパラメータが無限小から無限大まで成立しているという主張ですか?
なら、実例をあげてください。

Up126. PseuDoctor Website — 2011/04/03@14:19:53

こんにちは。

>namsanさん
「1Km=1000m」とかは単なる単位の換算の話であり、これを「定義によって線形になっている」と解釈するのは、かなり無理があると思います。

namsan以外の方は、ここで自然科学の話をしているものと理解しています。それに対して、namsanさんはどうも数学の話をしたがっておられる様に見受けられます。
数学自体にも科学の要素はありますし、現代の自然科学は数学なしでは成立しないとも思います。しかしそれでも、いわゆる「自然科学」の中には数学は含まれないと考えます。

127. (稲 — 2011/04/03@14:53:55

どなたか、以下の疑問について教えていただきたいのですが...:

「放射線による発癌リスクは、1 Gyで1%増える程度」という言い方を最近よく聞きます。これは、私の理解するところでは、主として広島・長崎の被爆者の疫学調査に基づいたものだと思います。

昭和20年頃の日本人の平均寿命は50歳くらいで、20歳の平均余命でも40年くらい。たいていの人は、癌を患う前に別の病気で死んでいたわけです。ところが、現在、癌以外のたいていの病気は克服されて、日本人の平均寿命は80歳を越えました。言い方を変えると、たいていの人は癌以外の病気ではなかなか「死ねなくて」、最終的に癌で「死ねる」ようになりました。

このように大きく状況が変化したなかで「放射線による発癌リスクは、1 Gyで1%増える程度」ということを主張するのは、疫学的に(というか統計学的にというか科学的に)適切ではないように思うのですが、いかがでしょうか。「他の病気による死亡」というノイズが大幅に低減した状況では、「疫学的に検出される」発癌リスクは、広島/長崎の頃よりも大きくなっているかもしれない、と考えるべきではないでしょうか。

広島/長崎に代わる疫学調査が可能なわけでもないので、現時点で正しいリスク評価はできないだろうと思います。さりとて、「放射線による発癌リスクは、1 Gyで1%増える程度」ということを、現時点でのリスク評価の基準として医学の専門家が主張することに違和感を持っています。

素人考えなので、どこかに間違いがあるのかもしれません。皆さんのご意見を伺えればと思って投稿します。

128. げお — 2011/04/03@17:04:47

稲さん

専門家ではありませんが、「対照群」とか「実験計画」とかで検索すればわかると思います。簡単に言えば、被曝した集団のみを調べるのではなく、被曝していない(できればそれ以外の条件はほぼ同じ)集団も調べて、その差を論じるということです。

129. サルガッソー — 2011/04/03@17:16:29

稲さんの話を聞くと、年間に亡くなった人を100%として
癌で亡くなった人△% 事故で亡くなった人●%
といった計算を想定しているように思います。

この場合は被曝された方とされてない方を分けて発ガン率を計るのが
他の死因に影響を受けない統計の取り方になると思います。

130. (稲 — 2011/04/03@19:12:59

げおさん、サルガッソーさん、
ありがとうございます。被曝群/非被曝群で比べるのはその通りだと思います。実際、広島/長崎の疫学調査はそのようにされたのだと思います。私が気にしていることを言い換えると、その頃(平均寿命50歳の時代)のデータで、高齢になってからの発癌(_晩発性障害_)のリスクがどの程度の信頼度で評価できているのかということなんですが、やっぱりおかしいですかね。

Up131. Isshocking — 2011/04/03@19:45:59

低線量被曝の場合は疫学・統計学的には検証出来ていなかったと思います。
まず、ガンに目印があるわけではないので、あるガン患者が低線量被曝に原因しているのか、別な要因に由来しているんか、被曝したというストレスや地域・家庭的な経済力低下による健康不良によるのか区別できません。
また、生涯にわたって線量計で24時間モニタしているわけではないので、そもそも全線量が確定しませんし、原発事故以外の被爆要因があったかなかったかも分からないのです。
ガンの発症率や死亡率は他の要因でも変動しますし(喫煙率や食生活の変化など考えられますね)。

132. げお — 2011/04/03@21:07:00

稲さん

単純に被曝した・しないだけでて比較しているのではなくて、年齢・性別などで分類したうえで、その中で被曝した・しないでどう違うのかを比較していると私は理解しています。そうすれば、平均余命が変化したことによる影響はほぼ相殺されますよね。逆説めいてしまいますが、そういうデータがとれるほど多くの人々が被害を被っていたということなのですが。そして、この調査自体は現在に至るまでずっと続けられています。

133. ごんべえ — 2011/04/03@23:53:48

(稲 ― April 3, 2011 @14:53:55
> 「放射線による発癌リスクは、1 Gyで1%増える程度」という言い方を最近よく聞きます。

えー、ここまで甘い数字はあまり見ない気がしますが、どこで見ました?

> 主として広島・長崎の被爆者の疫学調査に基づいたものだと思います。

主としてはそうかもしれないけど、最近はチェルノブイリのデータも考慮されているんじゃないでしょうか。
25年分しかないので、60年を評価するのはまだ難しいでしょうけど。

134. sakura3 — 2011/04/04@14:35:09

初めまして。
晩発障害に関して、低レベル被曝でリニアに発癌率が上昇するという統計的に有意なデータが報告されて来ているようです。

『低レベル被ばく影響に関する最近の報告より』今中哲二(京都大学原子炉実験所)第106回原子力安全問題ゼミ 2009.3.6
http://www.rri.kyoto-u.ac.jp/NSRG/seminar/No106/imanaka090306.pdfLink


今中哲二氏といえば、福島原発から40km離れた飯館村の放射能を試算して避難を勧告されている方です。
http://www.jca.apc.org/mihama/fukushima/iitate_imanaka_estimate20110325.htmLink
1地点の1回のデータから推定を行っている点に疑問があります。また、仮定の部分は妥当なものなのでしょうか?

皆様のご意見をいただけると嬉しいです。

Owner Comment きくち  2011/04/04@19:06:27

閾値の有無はまだ決着していないのではないでしょうか。
閾値なし線形を支持するデータも支持しないデータもあるというのが僕の理解です
ただ、それはそれとして、防護の指針として「閾値なし線形モデル」を採用することには意味があると思います。

飯舘の試算はよくわからないのですが、あそこの空間線量が突出して高いことが分かった時点で、いったん避難にするべきだったと思います。

Up136. (稲 — 2011/04/04@18:04:55

げおさん、ごんべえさん、ありがとうございます。
自分でもすこし調べてみました。
放射線影響研究所のwebページ:
http://www.rerf.or.jp/radefx/late/cancrisk.htmlLink
を見つけました。ごんべえさんが言われるとおり、「1 Gyで1%」というのは私の間違いです。
そこの図1が、被爆時30歳、到達年齢70歳での過剰相対リスク(ERR)を示したもので、被曝線量1 Gyだと、ERRは50%くらい。被爆時年齢が低ければ過剰リスクは大きくなります(10歳未満では30歳の2~3倍か)。

で、そこの図2が私の見たかった図で、到達年齢ごとのERRの変化です。これを見ると到達年齢が高くなるほど過剰リスクは減少するようです(ただしゼロにはならない)。ただ、この図は年齢区分ごとに評価した生データにモデル関数をフィットしたもののようで、生データ自体は表示されていないので、原論文のPreston (2003)とPreston (2007)を見てみました。原爆被爆者の追跡調査の論文です。

図を眺めて、ごく一部をざっと読んだだけなので、上のモデル関数がどれくらい妥当なものかよくわからないのですが、Preston (2003)のFIG. 5に、被曝年齢と到達年齢で区分したERRの生データが出ていました。これを見ると当然ながらデータの散らばりが大きく、年齢とともにERRが「減少する」と言っていいのかどうかすら微妙な気もします。が、少なくとも、高齢になってERRが上昇することはなさそうなので、とりあえず当初の疑問は解決しました。

ということで、ちっとは自分で調べてから書けよ>me、という話でした。ありがとうございました。

137. (稲 — 2011/04/04@18:13:40

うえで(10歳未満では30歳の2~3倍か)と書いたのは、Preston (2003)のFIG. 5から読み取った情報です。文章が混乱していてすみません。

138. zorori — 2011/04/04@22:10:57

低レベル被爆の閾値の問題が難しいのは、殆ど検出できないほど発生確率が小さいからという理解は間違いでしょうか。学問的には興味深い課題かもしれませんが、一般人が気にするような問題ではないと思っていますが、間違いでしょうか?

139. 技術開発者 — 2011/04/05@08:29:26

こんにちは、zororiさん。

>一般人が気にするような問題ではないと思っていますが、間違いでしょうか?

気にしない方が精神的健康のためによろしいんだけど、人間は「気にしない」が難しくできているのかも知れません。確率的影響ということの説明に1兆分の1の確率で「癌になる」が当たるマイナス宝くじなんてたとえ話をこさえたことがあるんですね。普通の宝くじで一等の当選確率は100万分3くらいだそうだから、それよりも百万倍以上当たらないくじなんだけどね。でもって、これを「ただで差し上げます」と言われても、まあ、欲しがる人は居ない訳ね。マイナス宝くじだから、これにマイナスの値段でもついていて「1枚あたり100円差し上げます」なら、私なんかは「今月、金欠だから、100枚ほど引き受けよう」と言うかも知れないけどね。或る意味、X線写真を撮ると何枚か貰うなんてのは、実の所、あのり良い比較じゃないのね。「X線写真を撮る」で引き受け代金が貰える訳じゃないけど、他の嫌な病気を早く見つけるという利得がついているとも言えるからね。利得無しに「あなたは10枚引き受けて下さい」を「まあ仕方ないな貰おう」としてくれる人はなかなか居ないのね。

或る意味で、確率論の話よりも宗教観みたいなことの方が重要かも知れない面はあるんですね。どの宗教も「死は免れないものですよ」というところを扱うわけだけどね。なんていうか仏教では「生老病死」を四苦といって人間の免れ得ない苦しみとして、「それを思い煩って苦しむよりは、それが免れ得ないものと潔くうけいれることで、苦しまない生き方」を勧めたりする面があります。とても低い確率だけとマイナスの当たりのある宝くじを押し付けられたときに、それを思い煩うか、「まあ、どのみち死ぬ身である」と気にしないかで精神的な楽さを求める部分はありそうです。

140. 某大学放射線施設職員 — 2011/04/05@17:07:36

他のサイト(Yahoo知恵袋等)を見ていて、気になりましたので念のために。

「放射性物質の生物濃縮について」です。
何人かの方が気にされていたのですが、現時点での濃縮は疑問です。
特に葉物野菜などについては表面への付着が原因ですし、本日出ました魚(コウナゴ)についても測定方法等に疑問があります。

現時点で厚生労働省からの依頼が各大学等の放射線施設にも来ており、その測定方法は、基本的に採ったままの状態での単位重量あたりの測定で、緊急時の測定方法として、NaIシンチレータを使用した簡易測定となっています。

以下に詳しい方法が載っていますのでご参考にしていただければと思います。

緊急時における食品の放射能測定マニュアル
http://www.mhlw.go.jp/stf/houdou/2r9852000001558e-img/2r98520000015cfn.pdfLink

6ページ目からの「NaI(Tl)シンチレーションサーベイメータによる放射性ヨウ素の測定法」が現時点での依頼がありうる測定方法となっています。

葉物なら洗って、気になるようでしたら茹でてその茹で汁は捨てるなどの一手間で放射性物質の付着はかなり違ってきます。
魚についても、捕られたままの状態を測っていると思われますので、鱗を取る、表面を洗う、それだけでも違ってきます。

今後はマスコミが出すデータを気にする方も多いと思います。
測定前の処理法のことも情報としての発信が必要かもしれません。

UpOwner Comment きくち  2011/04/05@20:44:46

ありがとうございます

こなみさんに教えていただいたのですが、魚については日本アイソトープ協会の学会誌にセシウムの濃縮を研究した論文が出ていますね

http://www.journalarchive.jst.go.jp/japanese/jnlabstract_ja.php?cdjournal=radioisotopes1952&cdvol=48&noissue=4&startpage=266Link

142. 某大学放射線施設職員 — 2011/04/05@17:49:54

連続投稿となります。申し訳ありません。

しきい値についてですが、菊池先生の書き込みのとおり、現時点でも議論がなされています。
生物学的な統計データとして、ヒトに関する被ばくのデータは広島、長崎の原爆、チェルノブイリといったものしか、多人数の同時被ばくとして有効なデータがありません。

そのため、様々な観点から議論がなされ、現時点でもICPR勧告が度々修正されているのが現状です。

皆さんご存知かもしれませんが念のために書かせていただきました。

143. 技術開発者 — 2011/04/06@09:17:41

こんにちは、某大学放射線施設職員さん。補足です。

>「放射性物質の生物濃縮について」です。
>何人かの方が気にされていたのですが、現時点での濃縮は疑問です。

「生物濃縮」という言葉からうけるイメージの違いがありそうです。鉛とか水銀のように排出されにくい元素に関しては、食物連鎖でどんどんと一番食物連鎖の上にいる生物種の体内の濃度が高まる訳です。「生物濃縮」という言葉のイメージはおそらくこれを指してしまいます。

ところが、それとは別に代謝する元素であっても、環境の濃度よりも生物内の濃度が高いという事はあるわけですね。例えば植物の葉緑素の中心はマグネシウムです。植物が育つ土の中のマグネシウムの濃度が多少低くても、植物はマグネシウムを吸い上げて葉緑素をつくりますから、環境の濃度よりも植物体内のマグネシウムの量は多くなる訳です。あんまり土壌環境中にマグネシウムが少ないと、植物が生育不良になりますから、農家は苦土石灰をまいたりする訳ですけどね。

この代謝される元素でも環境中濃度よりも生体中濃度が高くなると言う現象はある訳ですが、これが食物連鎖で「濃縮」されるかというと、それはされません。植物は上で書いた様に土壌中のマグネシウムを吸収しますが、その植物を例えば牛が食べると、動物は植物ほどマグネシウムを必要としないので、余分なマグネシウムはさっさと尿中に排出してしまう事になります。

セシウムなどの元素が環境中濃度よりもコウナゴなどの生物中の濃度が高くなっているという結果はあり得る事ですが、それを水銀や鉛のような代謝されにくい元素の「生物濃縮」のイメージで考えるのは間違っているという事の説明でした。

144. outback — 2011/04/06@10:40:27

海外で動物のストレス生理学を研究している者ですが、放射線と癌の因果関係について質問させて頂きます。

1)今回広島、長崎での被爆者の健康調査は1950年から始まっていると認識しています。原爆投下後5年を経て、戦後の食糧事情から考えてみても放射線が細胞の癌化に与える影響を想定する線形モデルを作るのは相当無理があると思うのですが。

2)被曝後のライフスタイルはどうだったのか?被曝したことにより、自暴自棄になり暴飲暴食という行動にでたことはなかったのでしょうか?

145. FungiFun — 2011/04/06@11:48:42

140. 某大学放射線施設職員さん、

>その測定方法は、基本的に採ったままの状態での単位重量あたりの測定で、

野菜などの食品については、以下の通達で洗ってから測定されていると聞いています。

http://www.mhlw.go.jp/stf/houdou/2r98520000014tr1-img/2r98520000015is5.pdfLink

なお、雑草などの環境の線量調査では、洗わずにそのまま測定しているとどこかで書いてありました。(ソース失念)

Up146. いまだ — 2011/04/06@11:57:14

#143 技術開発者さま
結論の
  水銀や鉛のような代謝されにくい元素の「生物濃縮」のイメージで
  考えるのは間違っている
というのは、全くその通りだと思います。

しかし、細かい話になりますが、放射性セシウムが食物連鎖で濃縮されるされないで言えば、濃縮されるようです。水銀や鉛に比べて桁違いに低いオーダーですが、環境濃度より体内の濃度が高くなり、その程度が食物連鎖の段階に応じて高くなるという、生物濃縮は起こります。

例えば、きくちさんが#140へのコメントで紹介しておられる

笠松不二男 (1999) 海産生物と放射能―特に海産魚中の137Cs濃度に影響を与える要因について― Radioisotopes 48:66-282
http://www.journalarchive.jst.go.jp/japanese/jnlabstract_ja.php?cdjournal=radioisotopes1952&cdvol=48&noissue=4&startpage=266Link

では、図11,12に示されています。

ただし、生物濃縮というと、水俣病のメチル水銀のように100万倍〜1000万倍に濃縮されるイメージがあるかもしれませんが、放射性セシウムは数百倍程度ですから、最初に書いたことの繰り返しですが、技術開発者さんが書かれている通り、
  《水銀や鉛のような代謝されにくい元素の「生物濃縮」のイメージで
   考えるのは間違って》
います。

「食物連鎖で濃縮されません」と言い切ってしまうと、あとで「あれは間違っている。やはり濃縮されるんだ。大変だ!!」と心配過剰症の方を刺激してしまうかもしれないので、念のためコメントいたしました。

以下、参考になるかもしれない資料です

放射性元素に対する海産生物の生物濃縮係数の一覧表
http://www.rist.or.jp/atomica/data/pict/09/09010402/05.gifLink

放射性セシウムの環境動態についての広汎なレビュー
Avery SV (1996) Fate of caesium in the environment: Distribution between the abiotic and biotic components of aquatic and terrestrial ecosystems. J. Environ. Radioactivity 30:139-171
http://dx.doi.org/10.1016/0265-931XLink (96)89276-9

147. いまだ — 2011/04/06@12:51:53

#144 outbackさま
ご質問の意図がよく判りませんが、広島・長崎の被爆者調査、いわゆるLSSでは、

第1群 爆心地から2km以内で被爆した被爆者全員
第2群 爆心地から2〜2.5kmで被爆した被爆者全員
第3群 爆心地から2.5〜10kmで被爆した被爆者全員のうち、第1群と性別年齢が一致するように選ばれた人
第4群 1950年代前半に広島・長崎に在住していたが、原爆時に市内にいなかった人のうち、第1群と性別年齢が一致するように選ばれた人

という形で、1,2,3群あわせて、爆心地から10km以内で被爆した93741人と、対照群となる第4群の原爆時市内不在者26580人を対象とした調査です。

ライフスタイルについては、男女でのリスク比の違いや特に女性で肺がんと乳がんが高い結果から、喫煙や妊娠出産といったライフスタイル上の要因も考慮すべきだという批判があったと思います。

148. 某大学放射線施設職員 — 2011/04/06@13:14:49

技術開発者様

補足いただき、ありがとうございます。
おっしゃるとおり、放射性物質については、濃縮が起こるわけではなく、生体内の安定同位元素と放射性同位元素が入れ替わり、放射性同位元素の存在比が上がるという方が正確だと思います。
ただ、自然界でのその元素自体の存在量が上がるために、体内に存在する量も上がることはあるとのデータもあります。
ただ、摂取したものが100%生体内に取り込まれるわけではないのですが、体に入ったら全てそこにい続けると思っている方も多いようでしたので記載させていただきました。
言葉が足りなかったですね…

FungiFunさん

厚生労働省の通知についてご連絡いただきありがとうございます。
自分の方でもこちらの通知は確認しておりましたが、事務方からは流れてきていないのが現状です。
あと、色んなところへ測定の協力願いが来ていますが、その際にこういった情報が流れておりません。
そのために、一部では洗わずに測定をしていたデータがマスコミの情報だったということを確認しております。
そういった情報の際に突出したデータが出ましたので、念のために書かせていただきました。
こちらも言葉が足りなかったようで、申し訳ありません。

現場としては協力依頼が来るのですが、その詳細が知らされずに、測定出来るか?と聞かれるばかりの日々が続いています。
そろそろどこかで…とりまとめてくれるのでしょうけど…

早く落ち着いてくれることを望むばかりです…

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