宙組の男役スター・蓮水ゆうやが、宝塚バウ公演「the WILD Meets the WILD―W.M.W.―」(演出・生田大和=25日~8月5日)で“男の魅力”を存分に披露する。08年「殉情」以来5年ぶりのバウ主演に加え、宝塚歌劇では珍しい西部劇とあって前売り券が完売する人気ぶり。「今の私の全てをお見せします!」とクールに燃える蓮水に意気込みを聞いた。
「5年前に比べ、立場もキャリアも違いますから、バタバタするようなことはもうないですね」
初主演の08年「殉情」では、船場言葉や着物姿など慣れない所作事に神経を使ったが、本公演でも主要キャストに名を連ねる今は、余裕と自信がのぞく。前売り完売に加え、タイトルの頭文字「W.M.W.」が5つ隠されたポスターも評判を呼び、舌も滑らか。
「友情、孤独、哀愁、色気、かっこよさなど男の魅力をたっぷりと見せられる作品なので、今の蓮水の全てを出し切るつもりです」
作品は荒くれた西部の町トゥームストーンを舞台に、兄弟のように育った2人の青年の数奇な運命を描く冒険活劇。宝塚の西部劇は98年星組「夜明けの天使」(主演・彩輝直)以来で、蓮水もガンマン役は初めて。
立ち居振る舞いは映画のDVDで研究し、ガンさばきは専門家の指導で特訓した。最大の見せ場は決闘シーン。なんと消防署の許可を得て、舞台上で火花と爆音を鳴り響かせるというから驚きだ。
「怪傑ゾロのような覆面にマント姿の『キラービー』というもう一つの顔を持っていたり、音楽もロックから賛美歌まで多彩。本当に飽きさせない濃い内容です」
エンターテインメント部分もさることながら、力が入るのが哀感漂う“背中の芝居”だ。
「親と死別し、引き取られた家にもなじめず、孤独なトラウマを抱えたかわいそうな青年。出生の秘密も隠されており、お客さんが『守ってあげたい』と思うような男の寂しさを、後ろ姿でもしっかりと出したい」
以前はコメディータッチの方が演じやすく好きだったが、4年前に大空祐飛が宙組トップとして組替えしてきたのがきっかけで、静かでクールでどこか陰のあるキャラクターに魅力を感じるようになったという。
「他人に惑わされることなく、自分のペースで自分の男役像を作られる大空さんに感銘を受けました。それ以来、自然体で役に向き合えるようになりました」
この5年間で実力派へと成長した蓮水が鮮やかなガンさばきならぬ“巧演”で、観客のハートをしっかりと射止める。
◆蓮水ゆうや(はすみ・ゆうや)4月6日生まれ。横浜市出身。02年「プラハの春」で初舞台。88期生。宙組配属。04年に第3期スカイ・フェアリーズに選ばれる。08年バウワークショップ公演「殉情」で初主演。11年、第1期スカイ・ナビゲーターに選ばれる。身長174センチ。愛称「ちー」。
[2013/7/27-15:44 スポーツ報知]