Updated: Tokyo  2014/03/13 01:44  |  New York  2014/03/12 12:44  |  London  2014/03/12 16:44
 

398%リターンの「クレージーなファンド」-日本株高に賭ける

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  3月12日(ブルームバーグ):マシュー・ロナガン氏は毎年言い続けてきた。「ジャパン・シンセティック・ワラント・ファンド」は大きな利益を上げるか大損を出すかどちらかだ-。

同氏はトレバー・スリワースキ、エードリアン・エドワーズ両氏と一緒にこのファンドを運用している。「われわれはいつも、英雄か負け犬かのどちらかだ」と、ストラットン・ストリート・キャピタル(ロンドン)のファンドマネジャーでパートナーのロナガン氏は話した。

ジャパン・シンセティック・ワラント・ファンドBは2013年の日本債券ファンドで成績トップだった。ブルームバーグのデータによれば、同年の運用成績はプラス398%。今年は2月まででプラス3.2%。運用資産1460万ドル(約15億1000万円)の同ファンドは、日本債券中心に投資する170本余りのファンドの中で4番目の小規模ファンドだ。

円建てのこのファンドは転換社債(CB)を購入し、日本株上昇時に株そのものの何倍もの利益を得る戦略で好成績を上げた。ブルームバーグ・マーケッツ誌4月号が報じている。「うまくやれば、株式投資の3-5倍のリターンが得られる」とロナガン氏(55)は言う。昨年の日経平均 株価は57%上昇と、史上2番目に高いリターンだった。

低金利がプレミアム抑える

ファンドの戦略はCBの金利部分と新株予約権の部分を分離するというものだ。市場でCBを購入し、その金利部分を「アセットスワップ」という方法で日本の大手銀行などに、買い戻しオプション付きで売却する。このオプションについてプレミアムを支払うため当初は若干の損失が出る。発行企業の株価が上がり始めたら金利部分を買い戻し、それとインプライド新株予約権とをリパッケージしたCBとして売却する。購入価格と売却価格の差からオプションのプレミアムを差し引いたものがファンドの利益になる。同ファンドは昨年末時点で約1億1500万ドル相当の日本のCBを扱っていた。

日本の低金利のためスワップで支払うプレミアムも低い。日本株先物の市場は充実しているが、期間の長いオプションはない。また、CBを使ったこのような戦略で競合する投資家は比較的少ないと、ロナガン氏は説明。「長期の株式相場上昇に賭けるこれが最善の方法だ」と述べた。

欠点は成績の振れの大きさだ。昨年は5倍近いリターン、12年もプラス101%の好成績だったが、08年はマイナス94%。「クレージーなファンドだ。ボラティリティがとんでもなく高い」とロナガン氏は指摘する。

興奮と快楽

ジャパン・シンセティック・ワラント・ファンドは05年に設定された。日本株の変動を何倍にも増幅させる戦略のせいもあり、運用資産は1億2500万ドルにまで増えたこともあれば、わずか200万ドルになったこともあると、スリワースキ氏(63)は振り返る。同氏によれば、資産が減ってしまった時も、規制上と法的な枠組みを維持するために存続させた。スリワースキ氏はその上でこう語る。「潮目が変わっても、生き残っていなければ話にならない。日本市場の上昇が生み出す興奮と快楽のすべてがこのファンドにはぎっしり詰まっている」。

原題:Japan Synthetic Warrant Fund Gains 398% Using ConvertibleBonds(抜粋)

記事に関する記者への問い合わせ先:東証 Rocky Swift rswift5@bloomberg.net

記事についてのエディターへの問い合わせ先:Michael Serrill mserrill@bloomberg.netJon Asmundsson

更新日時: 2014/03/12 09:44 JST

 
 
 
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