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【茨城】風評被害、観光客減なお 原発事故、復興妨げに県内に甚大な被害を与えた東日本大震災は十一日、発生から丸三年となった。道路や港湾など、地震で損傷した県関連のインフラの復旧はほぼ終了。被災して使えなくなった水戸市役所も再建計画が進む。一方、福島第一原発事故の影響は今なお深刻で、復興の妨げに。風評被害による農林水産物販売額の落ち込みや、観光客減少は県の活力を奪い、人口減少に歯止めがかからない状態だ。 (成田陽子) 地震と津波による死者二十四人、行方不明者一人、震災関連死四十一人の数はこの一年間で不変。県内避難者は四百五人減り、四千九百七十人になった。 昨年発生した震度3以上の地震は五十八回で、二〇一二年の百七回からほぼ半減。百五十カ所近くあった県道と国道の通行止めは現在一カ所のみに。大きな被害を受けた県内四カ所の港湾はいずれも復旧工事が終わり、岸壁の使用を再開した。 震災で発生したがれきは二月末までに98・7%に当たる約八十六万トンが処理された。県廃棄物対策課は「今月いっぱいで処理が終わる見込み」としている。 最大の問題は、原発事故による風評被害の払拭(ふっしょく)。一三年の観光客数は前年比1・8%増だったが、震災前の水準には戻っていない。農林水産物は、原木シイタケやタケノコ、スズキやマダラ、イノシシ肉などで、放射性物質が基準値以上のものがあり、国の出荷制限が続いている。また、たとえ検査をクリアしたとしても、風評被害は解消されず、県は引き続き安全性のPRや販売促進イベントなどに力を入れる。 一方、県内人口は三年連続で一万人超の大幅減となり、二月一日現在で二百九十三万人を割り込んだ。災害に強い県土づくりや雇用創出などが大きな課題となっている。 ◆県内の震災データ●県内への避難者4970人(県民1139人、福島県3738人、宮城県64人、岩手県28人、千葉県1人) ●住宅全壊2628棟、半壊2万4327棟、一部損壊18万5877棟=いずれも1月31日現在 ●発生がれき87万3840トン=2月末現在 ●指定廃棄物(1キロ当たり8000ベクレル超)保管量3643トン=2013年11月末現在 ●震度3以上の地震502回(2011年3月12日〜14年3月8日) ●2013年県内観光客4806万1000人(2010年比92.7%) ●震災発生以降の人口減少3万7370人(県人口292万9584人)=2月1日現在 ●被害額2.5兆円(原発事故関連除く。日本政策投資銀行推計) PR情報
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