県議会は十一日、原子力発電・防災対策特別委員会を開いた。大量の機器点検漏れ問題で事実上の運転禁止命令を受けている高速増殖原型炉「もんじゅ」(敦賀市)について、安全環境部の岩永幹夫企画幹は「新たに高レベル放射性廃棄物を減容化、低毒化する役割を期待されており、国としてもしっかり位置付ける必要がある」と述べた。
山本正雄委員(民主・みらい)の「核燃料サイクルの見通しが立たないから、国はもんじゅを十分に位置付けられないのでは」という質問に答えた。
もんじゅは、高速中性子を使って投入した以上の燃料を生み出す「夢の原子炉」として開発されたが、相次ぐトラブルや不祥事で運転再開の見通しが立っていない。
ただ、高速中性子は高レベル放射性廃棄物の量を減らし、毒性を弱める効果もあることから、エネルギー基本計画の政府案で、もんじゅは「核のごみ」を処理する炉としても位置付けられた。
まだ閣議決定はされておらず、岩永企画幹は「減容化、低毒化の点で、高速中性子を使える炉として、もんじゅは西欧圏で一番期待されており、国もしっかり位置付ける必要がある」と強調した。
一方、本来の高速増殖炉の役割について、「二〇五〇年までに実用化する」という従来方針は政府案に盛り込まれず「研究成果の取りまとめ」にとどまったため、岩永企画幹は「今の時点でそこまで必要ではないかもしれない」との見解を示した。
(西尾述志)
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