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さよなら不屈の魂 小野田さんお別れの会 若者ら2000人 戦友と再会誓った「靖国」で
2014.3.12 21:59
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奇跡の生還から数カ月たった昭和49年夏の夜10時過ぎ、警視庁広報課長を務めていた徳宿さんの自宅に、小野田さんが突然訪ねてきたことがあった。
警視庁機動隊がルバング島での捜索を行っていたため、お礼をしたいという相談だった。話は日本社会の変化に及び、一晩中語り明かした。小野田さんは「古びた衣服を繕うのに、ジャングルの中で針一本からつくる生活をしていました。どんなに日本の社会が変わっても生きていける自信はあります」と毅然(きぜん)とした表情で答えたという。
「唯一苦しんだとすれば、国民と靖国神社との関係の変化だったのではないか」と徳宿さんは話す。
帰国当時、田中角栄首相から贈られた見舞金を靖国神社に奉納した小野田さんは「軍国主義の権化」などと誹謗(ひぼう)中傷にさらされた。「仲間との約束の地である靖国神社を思う気持ちに、何の罪があるのでしょうか」。小野田さんの寂しげな横顔を、今も鮮明に覚えている。そう語った数カ月後、小野田さんは新天地を求め、ブラジルに渡った。
お別れの会には、元航空幕僚長の田母神(たもがみ)俊雄さん(65)や、テレビドラマで小野田少尉役を演じた俳優の中村獅童(しどう)さん(41)らも参列した。
東京都中野区の八児(やちご)雄三郎さん(88)は「戦後抜け殻のようになっていた私の精神に、もう一度生き抜いてみせると自信を取り戻させてくれた人だった」と話した。戦争を知らない20~30代の若い参列者も多く、東京都文京区の大学2年、河内(かわち)徹さん(21)は「亡くなったニュースで初めて小野田さんのことを知った。戦争で大変な思いをした人々への感謝を忘れずに生活したい」と静かに手を合わせた。
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