『勇者でした』連動企画

やまさと・りょうた●1977年、千葉県生まれ。大学卒業後、お笑いの専門学校NSC大阪校に入学。2003年にしずちゃんこと、山崎静代とお笑いコンビ「南海キャンデーズ」を結成。独特のツッコミが支持されるほか、日本テレビの朝の情報番組「スッキリ!!」のナレーターや、ラジオパーソナリティとしても活躍中。アイドル好きとしても知られている。

魔王を倒すと、勇者は仕事を失う!?

「はたらくって、冒険。」をコンセプトに、1人ひとりが日々の仕事の中で、小さな1歩を踏み出すことを応援するコンテンツ『勇者でした』
http://next.rikunabi.com/hero/

かつてロールプレイングゲームにはまった方なら、敵をどんどん倒していく勇者に憧れた人も多いはず。
でも、ちょっと待って。ラスボスの魔王を倒したら、勇者は仕事を失う…?
『勇者でした』は、魔王を倒した後の勇者のストーリーを楽しめるコンテンツです。
まだご覧になられていない方は、ぜひご覧ください。

懐かしいロールプレイングゲームの世界を表現した企画に絡め、今回、ゲーム好きで知られるお笑い芸人の山里亮太さんにお話を伺いました。

■みんな夢中になったゲームの世界

もう少し、もう少し…気づけば朝になってた、あの頃

昔からゲームは好きで、特に「ドラクエ」シリーズは全部やっているほど好きです!大学生の頃は最低限の授業だけ受けて、他は朝から始めて外が暗くなるまでゲームをやっていたくらいハマってました。
「ドラクエ3」は、今回のコンセプトにドンピシャですね。転職といえば、ダーマの神殿でしょ!あのシステムはたまらなかったです。

ロールプレイングゲームには、敵を倒してレベルを上げてボスを倒す、といった明確な目的があるじゃないですか。そして、大きな目的の前に、小さな目的がいっぱい連なっている。小気味よく中程度の達成感を味わい続けられるわけです。
例えば、「強い武器を買う」という小さな目的があったとして、頑張ってお金を貯めて買ってみると、戦闘がサクサク進んでレベルアップする。そうすると、「ここまでレベルアップしたから、あのダンジョン行けるかも?」という新しい小さな目的が出てくるんです。
目的を達成するごとに効率が上がっていくから、想定よりも次の、達成目的にいいところまで進めちゃう。そうすると、4分の3まで来たからあと4分の1を頑張ってクリアする、というリズムが繰り返されて、ずっと気持ちいい。もうひと達成してから寝ようと思っているうちに、朝になっていることもありました。

■動機なんてなんでもいい。スタートは100%に近いパワーでやる

レベルを上げて、ボスを倒す。ロールプレイングゲームみたいな芸人の仕事

芸人という仕事については、好きなことをやらせてもらっていて、こんな幸せなことはないと思っていますが、ターニングポイントは、日本テレビの情報番組「スッキリ!!」ですね。
それまでは、アイドルオタクの気持ち悪い奴、しずちゃんの相方っていうポジションでのオファーが多かったんです。それが、「謎の男」のナレーションで、今まで僕のことをあまり知らなかった方たちに、声だけでも聴いてもらうことができて、「あれ、こいつひょっとしたらちゃんとできる奴なんじゃないか」と思ってもらえるようになりました。 元々、自分を見てくれている人がいないわけじゃないですよね。周りの人たちは、僕のことを「今はこんな風だけど、絶対いつかみんなで山ちゃんの面白さを出そうな」って鼓舞してくれていたんです。そういう人たちが頑張って、「山ちゃんのおもしろさを見てもらえる仕事を取ってきたから」と言ってくれました。

ラジオの仕事も大好きなんですが、お笑い好き以外の視聴者の方に聞いてもらえる、見てもらえる初めての仕事が「スッキリ!!」だったと思います。 なんか、ロールプレイングゲームみたいかもしれないですね、芸人って。スキルという武器を身に着けて、応援してくれる仲間を見つけて、このボスを倒したらサブMCがいけるよとか。次はあのステージにいって、今度は「堅めな話ができるスキル」の習得に挑戦して、情報番組を狙おうとか。目的が結構わかりやすいので、もうロールプレイングですね。メッチャ楽しいです。

「モチベーションが上がらない」なんて当たり前。チャンスの時に頑張れるか

よく「モチベーションが上がらない」という言葉を聞きますが、何もないのに、自然にモチベーションなんてそうそう上がらないです。「モチベーションが上がらない」って言うのは、そう言えば努力できない自分を正当化できて、楽になれるからなんですよね。”モチベーションが高い状況”なんて、ゲームで例えると、スーパーマリオでスターを取っている状態。それぐらいスペシャルな状態なんですよ。本来なくて当たり前の状態なのに、みんなそれが自然にやってくるのを待っているんですよね。
だから転職に関して、「いま仕事のモチベーション低いんだよね」とか、そりゃ、こないよ。ステージ1個だから。だから、チャンスが来た時にモチベーションが上がるのを待つんじゃなくて、新しいことをやろうとする自分を「俺ってすげーな」って頑張れることが一番大切だと思うんです。

人間は本来サボる生き物ですから、放っておくとサボってしまう自分を、サボらせない武器とバックグラウンドを作るのが一番。自分自身をサボらせない武器を、「嫌いだからあそこに戻りたくない」にするのか、「お金が欲しい」にするのか。頑張れるきっかけさえあれば、動機は何でもいいと思います。

満足だと思える仕事につくのは本当に難しい。だから僕は、新しいことを始める時は、スタートから力の出し惜しみをしないで、最初から全力で向かった方が良いと思います。新しいことを始めるのに、スタートで50%くらいしか力を出せないと、たぶんいい結果にはならないんじゃないかな。
僕が考えるに、スタートで100%に近い力を出せるかどうかは、以前の場所を本当に嫌だと思えるかどうかにかかっていると思うんです。
嫌なことから逃げる時に、人は全力で頑張るじゃないですか。逆に、そこまで全力で嫌いだと思えないんだったら、今の仕事は、そんなに駄目じゃないってことかもしれない。
だから、次に向かって100%全力でやろうと思えない時は、一回冷静になって「ひょっとしたら俺って、今いる場所でやっていけるのかも」って思った方がいいのかもしれない。今いる場所を本当に嫌いだったら全力で走れるはずですからね。

■変えようという意欲を持てるのはすごい才能です

肩の力を抜いて転職の入口に立つきっかけに

みんな、働くことを考えなくていいノンストレスな時期の楽しかった思い出があるわけじゃないですか。この『勇者でした』は、それを思い出して童心に返りながら、今の悩みに対して前向きに受け止められる感じがします。 転職という大きな人生の悩みに、真顔で「こういう選択肢があって」とかしこまって説明されるよりは、肩の力を抜いて入口に立てるのはすごくいいと思います。転職って、入口に立つにも、すべてを捨てる覚悟で一大決意をしないといけないイメージがあるけど、選択肢のひとつとして、気楽に入口に立つくらいがいいのかもしれませんね。

自分のやりたいことを状況に合わせてどう表現するか

昔、学生寮にいた時にずっとバンドをやっていた先輩がいたんです。そういう人ってたいてい歌で食べていきたいと言うと思うんですが、先輩は葬儀屋さんに就職しました。
先輩に「山里。俺の夢もう終わったと思ってるんだろう?」と言われたので、「いや、先輩はずっと音楽でやっていくつもりだと思ってましたけど、そういうもんだと思います。就職って」って言ったんです。そうしたら、「いや違うぞ。俺、葬儀屋で音楽の部署作るから」って言ったんですよ。それで、本当にその葬儀屋さんで音楽葬を企画して、今でもやっているんです。

その先輩はずっと、「自分の中に一個でっかいものがあったら、状況が変わっても、”この状況だったら、自分のもっているもの、やりたいものをどうやって実現できるんだろう?”という発想を持つようにすれば、ずっと自分のやりたいことを続けることができるんだ」と言っていました。
「お前も人を笑わせたいとか、面白いことをしたいんだったら、いわゆるお笑い芸人としての仕事じゃなくても、人を笑わせたいというスピリッツを現状とどんなふうに結びつけられるかを死ぬ気で考えればいいんだ。そうすれば、永遠に自分の夢は見ることができる」って。

特に転職とかそうかもしれませんけど、これだけはどうしてもやりたい、というものを自分の中に持っておくと、どんなに状況が変わっても前向きになれると思いますよ。
例えば僕だったら、医者でありながら、俳優や道化師もやるパッチ・アダムスみたいに、いろいろな仕事の場で笑いを提供する仕事ができるかもしれないじゃないですか。

何かをしようと思った自分を評価した方がいい

今自分の仕事が楽しい僕は、転職について考えたことはないんですが、他の人の転職を見ていると、ポジティブですね。楽しそう。
ドラクエもファイナルファンタジーも転職するのは楽しかったじゃないですか。仕事の幅を増やすためにレベルを上げて、スキルを覚えて、クリスタルをいっぱい取りに行ったりして。職業の幅が増えた時の楽しさって、たまらない。

今現在仕事をしていて、更に違う可能性に挑戦するんだから、転職って基本的にポジティブなアクションですよね。自分や状況をより良く変えようということは、その意欲を持てるだけでも、その人のすごい才能なんだと思います。みんな結果ばかり気にするけれど、何かをしようと思うだけでもすごいことなんだって、思った方がいいですよ。
だから、転職を選んだ自分をすごいヤツだと思って、「こんな俺が転職するんだから」と、もっと自分でうぬぼれてもいいんじゃないですかね。
自分が選んだ道で、その選択を進み続けて、そして選んだことのために死ぬ気で努力できたら、そこには楽しい人生しかないと思います。何かしようと思えた、自分のその天才っぷりを信じて頑張ってほしいですね。

EDIT:田中美穂 / DESIGN:マグスター / HAIR MAKING:”baku”(Les Doigts)