Kaveri/Richland/Haswellの3機種比較! eX.computerで試すAMDの新APU "Kaveri" (2) ベンチマークで3モデルの性能を徹底的に検証

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Kaveri/Richland/Haswellの3機種比較! eX.computerで試すAMDの新APU "Kaveri"

2 ベンチマークで3モデルの性能を徹底的に検証

日高彰  [2014/01/29]

PCMarkやゲームベンチでKaveriがHaswellを超える

まずは、PCの総合力を試すベンチマークソフト「PCMark」から、最新版のPCMark 8 v2.0を利用してテストを行った。PCMarkにはテスト項目の組み合わせによりいくつかのパターンが用意されているが、今回は一般ユーザーのPCの用途をまんべんなくテストする「Home」を選択した。これは、Webブラウジング、テキスト編集、画像編集、ビデオチャット(動画の再生とエンコード)、ゲームの各用途について、実際にデモプログラムを動かして処理性能をテストするものだ。

PCMark 8 v2.0

総合結果は、Kaveriが2955、前世代のRichlandが2676、そしてインテルのHaswellが2770で、いきなりKaveriがHaswellを抜いてしまった。新世代APUの登場で、ついにインテルよりも安くて速いAMDのマシンが登場したといえそうだが、あわてずに各項目を詳しく見てみよう。実際のところ、Webブラウジングのテスト(Web Browsing JunglePinおよびAmazonia)とテキスト編集のテスト(Wriitng)では、KaveriよりもHaswellのほうが、1割前後ではあるが高速に処理を完了させている。大きく差が付いたのは画像編集(Photo Editing)と動画のエンコード(Video Chat encoding v2)だ。

PCMark 8 v2.0 Home 3.0 (accelerated)
機種
(CPU)
RM5A-B61/E
(A10-7850K)
Richland搭載モデル
(A10-6800K)
Haswell搭載モデル
(Core i5-4670)
Home Score 2955 2676 2770
Web Browsing - JunglePin 0.354s 0.342s 0.312s
Web Browsing - Amazonia 0.133s 0.131s 0.127s
Wriitng 5.63s 5.56s 5.03s
Photo Editing 0.287s 0.367s 0.445s
Video Chat playback 1 v2 30.0fps 29.9fps 30.0fps
Video Chat encoding v2 34.0ms 65.0ms 69.0ms
Casual Gaming 18.0fps 16.6fps 20.4fps

PCMark 8 v2.0では、GPUを画面の描画以外にも活用するための「OpenCL」と呼ばれる仕組みに対応しており、GPUによる支援が可能な処理についてはOpenCLを利用して高速化を行っている。KaveriはこのようなGPUの利用法への最適化を大きなセールスポイントとしており、ここでの差の付き方もGPUの効果である可能性が高い。動画エンコードのテストでは2倍のスピードが得られており、CPUだけで処理すると重いタスクも、GPUとの協調動作によって軽々とこなすことができる様子が見て取れる。もちろん、GPUによる高速化が可能なソフトは、まだそれほど多くはないが、例えばAdobeは「Photoshop CS6」でOpenCLに対応するなど、メジャーなソフトでのサポートも進みつつある。Kaveriが従来のCPUに対して差を付けられるシーンも一層広がりそうだ。

そして、GPU性能がプレイの快適さを直接左右するゲームだが、今回は国産の著名タイトルである「BIOHAZARD 6」「ファイナルファンタジーXIV: 新生エオルゼア」「ファンタシースターオンライン2」「ドラゴンクエストX」の各ソフトでベンチマークテストを行ってみた。

結果を見ると、ファイナルファンタジーXIV: 新生エオルゼア以外の3タイトルでKaveriのスコアがトップとなり、RadeonのAMDとして面目躍如たるところを見せた。また、現在A10-7850K/A10-7700K用のグラフィックスドライバは、まだベータ版扱いの段階となっており、ドライバの更新によりさらにスコアが改善される可能性もある。

BIOHAZARD 6 ベンチマーク

ファイナルファンタジーXIV: 新生エオルゼア ベンチマーク キャラクター編

ドラゴンクエストX ベンチマークソフト

そのほか、代表的なベンチマークソフトである3DMarkも試してみた。3DMarkではIce StormとCloud GateのテストではHaswellに軍配が上がり、Fire StrikeではKaveriのほうが上回るという結果だった。3DMarkの各テストの総合スコアは、GraphicsとPhysicsの両スコアから算出されているが、PhysicsスコアはCPUのパワーに大きく左右されるため、現状ではインテルCPUのほうに分があるようだ。GraphicsスコアはIce StormとCloud GateではHaswell、Fire StrikeではKaveriがそれぞれ勝っているので、描画内容によってGPUにも得手不得手があるものと考えられる。

CINEBENCH R10のCPUベンチマークは、Haswellが大きく差を付けて勝つ結果となり、やはりGPUを除いたCPU部分の性能はHaswellのほうが上だ。ゲームは行わず、GPU支援に対応していない画像編集・動画エンコードソフトなどCPUのみで重たい処理を行うといったユーザーは、インテルCPU搭載モデルを選択するのがいいだろう。なお、新旧のAPU同士で比べると、シングルスレッドのテストでは従来のRichlandが勝っているにもかかわらず、マルチスレッドのテストになるとKaveriのほうがわずかに上回っている。Richlandのほうが最大動作周波数が高いため、シングルスレッド性能がKaveriを若干上回るのは不思議ではないが、それがマルチスレッドで逆転するということは、アーキテクチャの刷新によってマルチスレッド処理の効率が上がったか、あるいはTurbo Core機能がより効果的に作用したといった理由が考えられる。わずかな差ではあるが興味深い結果である。

CINEBENCH R10ではRichlandからKaveriへの進化でマルチスレッド性能の改善が見られた

今回テストに利用した3台のマシンでは、いずれもエアロストリームのミニタワーモデル用筐体を共通して採用している。本サイトでも紹介する機会が久しくなかったので、次のページではその中身を詳しくチェックしてみよう。

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