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陸前高田に「希望のかけ橋」 宅地造成の象徴…土砂運搬コンベヤー完成

「奇跡の一本松」の横に建造された土砂運搬用のコンベヤー
「奇跡の一本松」の横に建造された土砂運搬用のコンベヤー
Photo By スポニチ

 死者・行方不明者が1万8000人以上に上った東日本大震災は11日、発生から3年を迎え、地震発生時刻の午後2時46分には黙とうをささげるなど、日本各地が犠牲者への鎮魂の祈りに包まれた。東京電力福島第1原発事故の収束は見えず、約26万7000人が今も避難生活を続けている。この間、何が変わったのか。被災地を歩いた。

 午後2時46分、小雪が舞う陸前高田市にアナウンスが流れた。「犠牲者を悼み、1分間の黙とうを行います」。響くサイレンの音。前かがみに手を合わせていた女性が静かにつぶやく。「もう3年たつんだね…」

 震災前に駅前通りがあった市の中心部は、いまだに何もない。目に入るのは、宅地造成のため山間から切り崩した土砂と木の山。そしておびただしい土煙。重機の作業音と、行き交うダンプのエンジン音だけが響く。路傍には供え物や、座り込んで手を合わせる人の姿。ここだけ、時の流れが遅れているかのようだ。

 全人口の約4分の1にあたる4782人は、仮設住宅暮らしを余儀なくされている。市の新たな都市計画では、高台などに宅地を造成し区画整理を行うことが優先。かつての中心部が後回しに見えるのは無理もない。

 ここから2キロほど海岸側にある「奇跡の一本松」に足を延ばした。驚いた。すぐ横に、レインボーブリッジ(東京都)のような橋が架かっている。地元で「希望のかけ橋」と呼ばれ、全長3キロ。運んでくるのは人や車ではない。山間の宅地造成で出た土砂だ。コンベヤー式になっており、24日から稼働する。

 市によると、ダンプで運搬すると10年かかるところを、3〜4年に効率化できるという。急ピッチに進む宅地造成の象徴でもある。家族で仮設住宅に暮らす阿部トシヱさん(72)は「早く家が建てられそうなのはうれしい」と話す一方「こんな橋が駅前通りの近くに立ってるのはやっぱりちょっと寂しいねぇ…」。

 中心部跡地には、鮮やかな七色に塗装されたバンガローが目をひく。ちょうどこの日オープンした。経営するジャズ喫茶を津波で流された冨山勝敏さん(72)が跡地に建築。昨年7月着工から「どうにか3・11に間に合った」と冨山さん。「レインボー・サライ」と名付け「かつてにぎわったこの場所に少しでも人が戻る手助けになれば」と建設を進めてきた。

 駅前通り周辺は大型モールを中心とした商業地域に生まれ変わる予定。かさ上げのための土盛り工事も始まりつつある。来年度には「希望のかけ橋」が山間から運んでくる土砂を使い、土盛りが本格化。新しい街づくりに向け、ゆっくりだが、確実に前に進んでいる。

[ 2014年3月12日 05:30 ]

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