名門「理研」、STAP論文で崖っぷち
13時42分配信 ウォール・ストリート・ジャーナル
【東京】日本の主導的な科学研究機関である理化学研究所が1月下旬、新万能細胞とも言うべき「STAP(スタップ)細胞」の研究結果を公表した際、この成果は生物学上の「コペルニクス的な革命」だと称賛する声が上がった。
だが今やこの研究は、生物学にとってではなく、理研の名声にとって重大な問題と化している。この研究論文への疑問が外部から次々に出されたにもかかわらず、理研は1カ月以上にわたって研究成果を擁護し続け、今月11日になって論文撤回を検討すると発表した。
理研やハーバード大学などの研究者たちが英科学専門誌ネイチャーに発表した2つのSTAP細胞論文について、外部の科学者たちは論文の中の写真にいくつか問題があると指摘してきた。2つの論文では幹細胞を作り出す安全で驚くほど簡単な方法を見つけたと主張しているが、多くの科学者は実験で再現できないと疑問を投げ掛けていた。今月11日には下村博文・文部科学相が、論文をいったん撤回し、さらに研究したうえで出し直したらどうかと述べた。
2012年、京都大学の山中伸弥教授が人工多能性幹細胞(iPS細胞)の開発でノーベル生理学・医学賞を受賞したことで、日本の科学研究の評価は一気に高った。しかし今回のSTAP細胞論文をめぐる問題で、日本科学界の頂点に立つ理研の内部管理の弱さが浮き彫りになったと指摘する科学者もいる。
東京大学の米国人地震学者で、日本の科学政策を長年観察してきたロバート・ゲラ-教授は「彼らがあのプレスリリースを発表した際、研究所全体の信用を賭していたわけで、もっと慎重にチェックすべきだった」と言う。
日本には研究上の不具合や不正を審査する外部機関がなく、理研が自ら調査する立場に置かれてしまうと指摘する声もある。今週に入るまで、理研が取った具体的な対応は、理研の研究者たちが使ったSTAP細胞の詳細な作製手順だけだった。
日本分子生物学会の大隅典子理事長によると、理研の新たに公表した作製手順は当初の研究結果との矛盾があり、かえって逆効果だった。大隅理事長は「その内容はむしろ論文の結論に新たな疑義を生じるものだった」と同学会のウェブサイトで述べた。
STAP細胞論文をめぐって論議が徐々に高まるなか、論文の共同著者の一人である山梨大学の若山照彦教授が10日、「重大なミス」があるとして論文の撤回を理研に求めたことで、疑惑が一気に爆発した。若山教授はかつて理研で働いていた。
理研は翌11日、1月のネイチャー論文の発表以来初めて記者会見し、内部調査結果を14日に報告する予定だと述べた。
理研は1917年、ドイツのカイザー・ウィルヘルム協会をモデルにして民間財団として創設された。現在は文部科学省所轄下で運営する独立行政法人となっている。人員は3000人以上で、2012年度予算はドル換算で約9億ドル(900億円)。このうち、日本政府から90%以上の資金や補助金を受け取っている。
理研は当初、ネイチャー誌への論文掲載を大々的に宣伝し、1月の記者会見の際に論文の主要執筆者である小保方晴子研究ユニットリーダーを登場させた。若い女性科学者のイメージは日本で広く注目され、彼女はノーベル賞を受賞するかもしれないと言う国会議員もいた。
理研は、小保方博士のコメントは得られないと述べた。同博士は電子メールによる取材に返答しなかった。
研究者倫理を専門にしている愛知淑徳大学の山崎茂明教授は、「理研は民間研究団体として発足したが、現在は極めて多額の公的資金を得ており、国立機関と同等だ」と語る。「理研が打ち出した華々しいPR作戦は、研究資金を出している政府に向けたものだったかもしれない」
だが今やこの研究は、生物学にとってではなく、理研の名声にとって重大な問題と化している。この研究論文への疑問が外部から次々に出されたにもかかわらず、理研は1カ月以上にわたって研究成果を擁護し続け、今月11日になって論文撤回を検討すると発表した。
理研やハーバード大学などの研究者たちが英科学専門誌ネイチャーに発表した2つのSTAP細胞論文について、外部の科学者たちは論文の中の写真にいくつか問題があると指摘してきた。2つの論文では幹細胞を作り出す安全で驚くほど簡単な方法を見つけたと主張しているが、多くの科学者は実験で再現できないと疑問を投げ掛けていた。今月11日には下村博文・文部科学相が、論文をいったん撤回し、さらに研究したうえで出し直したらどうかと述べた。
2012年、京都大学の山中伸弥教授が人工多能性幹細胞(iPS細胞)の開発でノーベル生理学・医学賞を受賞したことで、日本の科学研究の評価は一気に高った。しかし今回のSTAP細胞論文をめぐる問題で、日本科学界の頂点に立つ理研の内部管理の弱さが浮き彫りになったと指摘する科学者もいる。
東京大学の米国人地震学者で、日本の科学政策を長年観察してきたロバート・ゲラ-教授は「彼らがあのプレスリリースを発表した際、研究所全体の信用を賭していたわけで、もっと慎重にチェックすべきだった」と言う。
日本には研究上の不具合や不正を審査する外部機関がなく、理研が自ら調査する立場に置かれてしまうと指摘する声もある。今週に入るまで、理研が取った具体的な対応は、理研の研究者たちが使ったSTAP細胞の詳細な作製手順だけだった。
日本分子生物学会の大隅典子理事長によると、理研の新たに公表した作製手順は当初の研究結果との矛盾があり、かえって逆効果だった。大隅理事長は「その内容はむしろ論文の結論に新たな疑義を生じるものだった」と同学会のウェブサイトで述べた。
STAP細胞論文をめぐって論議が徐々に高まるなか、論文の共同著者の一人である山梨大学の若山照彦教授が10日、「重大なミス」があるとして論文の撤回を理研に求めたことで、疑惑が一気に爆発した。若山教授はかつて理研で働いていた。
理研は翌11日、1月のネイチャー論文の発表以来初めて記者会見し、内部調査結果を14日に報告する予定だと述べた。
理研は1917年、ドイツのカイザー・ウィルヘルム協会をモデルにして民間財団として創設された。現在は文部科学省所轄下で運営する独立行政法人となっている。人員は3000人以上で、2012年度予算はドル換算で約9億ドル(900億円)。このうち、日本政府から90%以上の資金や補助金を受け取っている。
理研は当初、ネイチャー誌への論文掲載を大々的に宣伝し、1月の記者会見の際に論文の主要執筆者である小保方晴子研究ユニットリーダーを登場させた。若い女性科学者のイメージは日本で広く注目され、彼女はノーベル賞を受賞するかもしれないと言う国会議員もいた。
理研は、小保方博士のコメントは得られないと述べた。同博士は電子メールによる取材に返答しなかった。
研究者倫理を専門にしている愛知淑徳大学の山崎茂明教授は、「理研は民間研究団体として発足したが、現在は極めて多額の公的資金を得ており、国立機関と同等だ」と語る。「理研が打ち出した華々しいPR作戦は、研究資金を出している政府に向けたものだったかもしれない」
ALEXANDER MARTIN
最終更新:13時42分
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