伏見区の醍醐小学校では11日午後、児童らが震災復興を願って、隣接する醍醐寺の「太閤しだれ桜」のクローン苗木を植樹した。同小の5年生4人は9日、岩手県宮古市を訪れ同じクローン苗木を植樹してきたばかりで、被災地との交流を深めている。

 醍醐寺では、慶長伏見地震(1596年)の2年後に、豊臣秀吉が盛大な花見を開いたことで知られる。境内には桜の子孫にあたる「太閤しだれ桜」があり、組織の一部から住友林業がクローン培養した苗木を、同寺が震災後の2012年に宮古市に贈っている。

 今回、寺の紹介で児童らが宮古市の崎山小学校を訪問。醍醐小で1年かけて育ててきた、高さ1・6メートルの苗木を校庭の一角に植樹し、防潮堤で追悼法要も行ったという。

 11日の植樹式では、同じクローン苗木を醍醐小の東門前に植えて、復興ソング「花は咲く」を合唱した。宮古も訪れた藤本虎之介さん(11)は「大きな防潮堤が倒れているのを見て津波の力に圧倒された。震災を決して忘れないとの思いを込めて植えました」。

 苗木には3年後には花が咲くという。同寺の仲田順和座主(79)は「桜と一緒に自分の命について考えてみて、一時ひとときを一生懸命生きましょう」と呼びかけた。