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「魔装生徒! ユキま! 四話 TS有り注意(ネギま+GS)」

球道 (2007-07-08 16:07)
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麻帆良学園で、教師として生活しはじめて、一年半。

いろいろな事があったと思う。


目を瞑れば、思い出す……。


あんなことや〜……。

こんなこと〜……。

ほ〜ら、あれだってこれだって、それだって、い〜思い出じゃないか〜。


高等部に遊びに行っても、大学部に遊びに行っても!

いつもいつも、何かしら邪魔が……っ!


一回くらい大学生のおねーさん達とお茶したかった……っ!

この世界も、俺と言う人間の幸せを拒むのかっ!!


良く枕を血の涙で濡らしたものである。


それも、まあ、良い思い出。

気が付けば、おっかなびっくりやっていた教師って仕事も、それなりに楽しくやっていけている。

実は、天職だったのではなかろうか?

日々成長していく、青い果実達…、じゃなかった……。

次世代を担う若者達!! ああ! 教育って何て素晴らしい!!


そういえば、一年半って、美神さんとこでバイトしてた期間よりも長いよな……。

何故だろう、八年間くらい美神さんの所で働いていた気がするのは。


2−A副担任、体育教師、横島忠夫。

それが、今の俺の肩書きだ。


ガラガラガラ〜。

「横島せんせ〜」

「はいは〜い、如何した?」


「3−D何ですけど、今日は何をやるんですか?」

「ん、3−Dだな、……ん〜」

そう言って、手帳を捲る。


二学期も残り少なく、各教師、二時間ずつは好きなように使っていい事になっている。

他の教師達は、生徒に自由時間を上げたり、色々やっているようだが、横島は、別の理由でカリキュラムを組む。


3−D、3−D……。


85、82、79、83、75、87……。

アベレージ83・9……。

横島の目が、一瞬光る。

「うん、今日は体育館が空いてるから、バレーボールをしよう、体操着で体育館に集まってくれ」

「はい、わっかりました〜」


「それじゃ、三時間目に、な」

「しつれいしま〜す!」


よっしゃ! 目の保養時間GET!!


……、後は……!


「大山先生! すみませんが、三時間目何ですけど、体育館使っても良いですか?」

「ああ、横島先生! 大丈夫ですよ! 三時間目は一年生ですからな! 体力をつけてやらんと!! がははははははっ!!」


「ありがとうございます、大山先生、いつ見ても良い筋肉してますねー」

「がはははは! わかりますか? ボーナスでラットプルダウンマシンを買いましてな! やっと効果が出てきたところなんですよ!!」


あ〜、三時間目が待ち遠しいなぁ、っと!


魔装生徒!

ユキま!


第四話


昼休み 麻帆良学園 中等部 屋上


ふは〜、今日も良い具合に揺れとったな〜、眼福眼福。

あいつらも、後、半年で高等部……、今が勝負時じゃ〜!!


例えばっ!


『……、如何した、○○……、こんなところに呼び出して?」

伝説の……、じゃなかった、世界樹の下で、俺と○○は……。

『先生っ! 私、先生のことがっ!』

いきなり胸に飛び込んでくる、○○……、俺は優しく受け止める。 「おいっ! ちょ、ちょっ、馬鹿!」

『……、○○』 「こら、○○って誰だ、こら! 横島!」

『……、すきっ』

顔を見られたくないのか、胸に顔を埋めて、○○は呟いた。

ぽふっ……。 「わ」

○○の頭を撫ぜる、優しく、慈しむ様に。 「わわわっ! いきなり何をするっ!」


『○○……、俺は……』 「だから、○○って誰だっ!」

『いいの、わかってる……、先生は、先生だもん』

瞳に涙を溜めた○○が、顔を上げて、俺の顔を覗き込む。

真剣な顔で、見詰め返す、俺。 「ちょ、いきなりそんな真剣な顔されたら……!」

『……恋人、だなんて、欲張りなこと言わないっ』


『だから! だからっ!!』


『……、私に……っ、思い出を、くだ、さい……!』

○○の瞳から、涙がひとしずく、零れ落ちた……!!


…………。


『いいとも〜〜!!』 「よ、よこしまっ!?」

○○は、目を瞑り、顔を上げる。

俺は、そんな○○の頬に触れ、顎に触れ、唇に触れ……。 「〜〜〜〜〜〜っ!」

そして、その唇に……。 「よ、よこしま……っ!?」


「何をやっとるか〜!!!」


「どわぁっ!!?」

「ひゃぁん!!?」


いま少し、と、言うところで、現実に引き戻された。


「横島、お前、とうとう幼女趣味に目覚めたのか?」

現実に引き戻したのは、伊達雪乃、俺の親友であり、教え子でもある。

その雪乃が購買部のビニール袋を片手に、こちらを睨んでいる。


ちなみに、こいつは男だ。

今は、女の姿形をしているが、れっきとした男、否、漢だ。


いくらものすっごい可愛らしい外見で、生物学的に女であっても。

時々見せる、ちょっとした仕草にときめいても。

向かい合って喋る時に、唇の動きに目が奪われることが多々あっても。


こいつ、伊達雪乃、否、伊達雪之丞は『漢』なのだ。

三度の飯より修行好きで、ただの正拳突きで熊を十数メートル吹っ飛ばす戦闘狂。

それが、性別がちょっと変わったくらいで、変わるものか、否、変わらない。 反語。


……、最近、一日一回それを思い出さねば、ソレを言い聞かせねば、俺はこいつが漢であることを忘れてしまいそうで、正直、怖いのだ。

その位、今の雪之丞は…………。


って、いかんいかん、今の俺はあらぬ嫌疑を掛けられた身だった、ソレをまず否定せねば。


「それはそうと、雪、俺はロリコンじゃない!」

「いや、説得力皆無だ、お前」


如何言うことだ?

「……む?」

と、俺は何かを抱えているらしい。

やーらかくて、ふにふにしてて、いーにおい、金色の……、何、か。

横島の腕の中には、金髪の美幼女。


「あ、エヴァちゃん、如何したんだ? そんなところで」

「〜〜〜〜〜! このっ!」


金髪の少女、エヴァンジェリン・A・K・マクダウェルは一瞬で、横島の懐から、飛び退り、

「変態教師がぁ〜〜っ!!!」

やくざキック。


「ぶぽうっ!!?」

風を切り裂くような蹴りは、横島の鳩尾に、足跡を穿った。

「ぐふぅっ」

崩れ落ちる、横島。


「こいつめっ! こいつめぇっ! もう少しでっ! もう少しでえっ!!」

げしっ、げしっ、と、横島を踏みつける。


「危なかったな、エヴァ」

と、サンドイッチを頬張りながら、ケタケタと笑う伊達雪乃。

「〜〜〜っ!」

−お前が邪魔しなければっ−

等と、声に出しかけ、口篭る。


――それじゃ、私がソレを望んでいたみたいじゃないかっ!!


「ふ、ふんっ! もういい」

ぐり、と、最後に横島を踏みつけ、足を離す。


「それと雪乃、貴様、待っててやったのに先に食べるとは、何事か!」

「……うるへぇ、俺をパシリにしやがったくせに何言ってやがる」

焼きそばパンを頬張りながら、悪態を吐く。


ここ一年で俺達は良く行動を共にする様になっていた。


エヴァンジェリン・A・K・マクダウェルは、少々、否、かなり特殊な生徒である。

吸血鬼、それも、真祖だ。 と言われても正直なところ、ピンとこない、俺の知る真祖って言ったら、ピートの親父だしなぁ……。

なんでも、彼女は15年前に強力な魔法で呪いを掛けられてしまい、魔力を封じられ且つ、麻帆良学園に括られている、らしい、……、良く解らないが。

それで今は一介の女子中学生兼警備員として生活している、俺も雪之丞も警備の仕事をしているから、同僚でもあるって訳。

それに、彼女は俺が副担任をしているクラスの、生徒でもあったりする。

まあ、一年半の間に色々あって、この三人と、エヴァちゃんの従者の茶々丸ちゃんを含めての、四人で過ごすことが多くなったって訳だ。


「……、ほら、横島も、何時までもねっころがってんじゃねぇよ、汚れるぞ」

雪乃が横島に向かって、ビニール袋を投げる。


「……ててっ、死ぬかと思った」

ビニール袋を空中でキャッチしながら横島が、起き上がる。

ビニール袋の中身は、焼きそばパンとカツサンド、それと、たこ焼きパン(だし醤油味)だった。


「……、むぅ、茶々丸がメンテナンスの日でなかったら、こんなもの……」

グチグチと文句を言いながら、カツサンドに嚙齧り付くエヴァ、モクモクハムハム、カツサンドと格闘している。


「人に買いに行かせといて、文句ばっかり言うんじゃねぇよっ、このチビがっ! そうだ横島、これ借りた、サンキュ」

「何をぉ!? 貴様だってチビだろうが!! 人よりちょっと身長が高いからっていい気になるなぁっ!!」

「へっ! 10cmはちょっとじゃねぇだろーがっ!!」

「130cmも139cmも変わらんと思うがなぁ。 って、雪! お前また俺のカード使いやがったな!?」

「差は9cmだろうっ! サバを読むな!」

「だまれっ! 139.53だっ! 四捨五入だ、四捨五入!! 財布を忘れたんだ、仕方ないだろ?」

「……、ふん! 私はどうせ吸血鬼だからなぁ、年をとっても身長は変わらん……、この体は当時10歳のままだ……」

「仕方ないって、お前なぁ……、お前いつ、持ってったんだよ……」

「けっ! 何が言いたい! いつって、三時間目休みに体育教官室に行ってロッカーの中から……」

「ふっ、私が言いたいのはだ「お前、それは駄目だろ、普通」


「私が言いた「いいじゃねぇか、俺とお前の仲だしよ、……、そうだ、お前、ロッカー汚すぎるぞ、少しは片付けろ」


「私が「別に、ロッカーの中に納まってるから問題無いだろ」


「わた「周囲三メートル、据えた匂いがしたぞ、ファブれ」


「げ、そろそろ洗濯しねぇと「黙れっ!」」


「んあ??」

「エヴァちゃん?」


「そして聞けっ! このエヴァンジェリン・A・K・マクダウェル! 本当だったら、私にはまだ、成長する余地があった筈だ!」


「つまり! 実年齢二十歳で、成長の終わったお前とは、違うってことだっ!!」

どどーん……!

「ははははははははははははは!!」


…………。

………。

……。


沈黙が痛い。


「……何の話だ?」

「……? さあ?」


「ふざけるなぁっ!! さっきまでこの話をしてただろうがっ!?」

「あ……、胸?」


「身長だぁっーーーー!!」


吼え、暴れだすエヴァンジェリン。

抑え役の茶々丸が居ないため、当社比1.8倍の大暴れである。

屋上で始まる、追いかけっこ。


「待てっ! 貴様ら! 今日と言う今日は泣かしてやるっ!」


「ふははははは! この体育教師を捕まえることが出来るか〜!」

「殺す! 殺す! 殺す〜!!」


混沌と化した屋上……。

実は、これが彼らの日常だったりする。


「……、吸血鬼って成長しねぇんだから、成長する余地も何も……、つーか実年齢ってエヴァこそ終わってるじゃねぇか」

屋上の給水塔の上に避難していた雪乃は、二人の追いかけっこを見ながら、溜息を吐く。

「……、ああ、だから『本当だったら』で『余地があった筈』なのか……、ぷふっ、不憫なやつ」

負け惜しみじゃねーか、と、苦笑する雪乃。


そこに……、

「不憫……? くくく、良い度胸だ……!」

ぐわし、雪乃の肩にもの凄い力がかかる。

「げっ、エヴァ! いつの間に!?」

給水塔の下ではピンク色をした何かが、横たわっている。


「伊達雪乃……! 覚悟は、いいな……?」


ミシミシッ、と、肩が悲鳴を上げる。

「〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜っ!!」

屋上に響き渡る声に成らない叫び、もとい、断末魔。


それから昼休み終了まで、二人がエヴァンジェリンに謝り続けたのは、言うまでも無い。



伊達雪乃は、教職員用の寮に来ていた。

麻帆良学園の教師、用務員、その他諸々の独身男性の寮である。


何故、彼女はこんなところに居るのか?

それは……。


「ふろっふろ〜♪ お風呂〜♪」

入浴の為である。


色々と、解らないことがあるだろうから、説明しよう!


彼女は今、麻帆良学園の寮に住んでいる。 女子寮だ。

そして伊達雪乃、彼女は元々、伊達雪之丞、男なのだ。

いくら肉体が女だとしても、心は未だ、男である、男でありたいと願っている。


入寮前、雪乃は他生徒との相部屋を当たり前のことながら拒否。

「ば、馬鹿か!? 俺は男だって言ってるじゃねえか!!」

「しかし、それじゃあ、空いてる部屋なんか物置部屋しかないぞい?」

そんな近右衛門の言葉に、

「じゃあ、物置部屋でいいじゃねえか!」

と、言うことで、物置部屋に若干の手を加え、雪乃の部屋にすることになった。


さて、此処からが問題である。

スペースの関係で、この部屋にユニットバスは設置されなかった。

つまり、雪乃は寮で風呂に入る場合、必然的に大浴場を使わなくてはいけない事になる。

「俺は男だっ! 男だぞ〜っ!!」

と、相部屋ですら断った人間が、大浴場を使用することが可能であろうか?


答えは勿論、否、である。


雪乃は安心して入浴できる場所を探した。

探して探して、まさに灯台下暗し。

近場に、事情を知っていて、風呂付の物件に住むことになった人間を見つけたのだ!


つまり……。


「あれ? 鍵掛かってら、アイツまだ帰ってねえのか……、大変だな」

雪乃はゴソゴソとポケットに手を突っ込み。

「あ、あった」

鍵を取り出し。

ガチャ。

「ただいまー」

横島の部屋に侵入し……。

「さってと、風呂風呂……」

制服を脱ぎだした。


つまり彼女は入浴のたびに、横島の部屋を訪れるのであった。


「しかし、毎日来るのだりいなぁ……」

でも、毎日風呂入らねぇと、何か気持ちわりぃんだよなぁ……、と、愚痴る。


手早く、且つ、丁寧に体や髪を洗い終え、湯船に浸かる。

浴槽の淵に顎を乗せ、一息。


「……そうだ、横島、家とか買ったりしねぇかな?」

そしたら、一緒に住んで……、そうすりゃ、風呂にこまんねぇのにな……。

溜息を吐く。


…………。


「……、ローンで何とかなんねぇ、かな……?」

横島の収入と、貯金……、あと俺の収入と、貯金……。

指折り数える雪乃。

「…………、頭金くらいは出るよなぁ」


「残高、確認してみるか……?」

思い立ったが吉日。

雪乃は浴槽から一息に飛び出し、バスタオルを体に巻きつけただけの状態で、部屋に戻る。


「たしか通帳は……、箪笥の……、あー、あったあった」

そのままの格好で、ぺたん、と腰を下ろし、横島の通帳と睨みあう。

「……、頭金は折半で……、となると、共有財産って事になるのか……?」


「……、爺さんに郊外の土地を借りて……、そう言えば、エヴァの家って幾ら位したんだろう……?」

そう言いながら、携帯電話を手に取る。


「…………、あ、茶々丸か? ちょっとエヴァに聞きてぇ事があってよ、エヴァは起きてるか? ああ、代わってくれ…………」


「あ、エヴァか? 俺俺、いや、詐欺じゃなくってな……、お前んち建てた時、幾ら位した、とかって解るか? ……、知らない?」


「あー、あの家ってやっぱり全部爺さん持ちだったのか、じゃあいいや。」


「ん? ああ、ちょっとな、ところでさ、一軒家建てるのって、幾ら位掛かるか解るか?」


…………。

………。

……。


その日、帰ってきた横島が、雪乃の格好と、発言に、腰を抜かすほど驚いたのは、仕方の無いことでは無いだろうか。


「……、あ、爺さん? ちょっと頼みたいことがあってよ……、時間良いか? ちょっと土地を貸して欲しいんだけどよ……」


あとがき


只今、二年生の二学期終盤です。

次回辺りで、ネギが出てくるかと。


エヴァが壊れ風味ですが、一年以上横島達と一緒にいたらこんな感じだろう、と言う妄想の暴走です。

横島達が関わらなければ、ネギま本編とほぼ変わらないエヴァなので、心配無用です。


※ラットプルダウンマシン 主に広背筋、副次的に上腕二頭筋に効果がある、トレーニングマシンの一種。

紅蓮さん、Februaryさん、wataさん、ふらっぺさん、DOMさん、箒柄さん、asaさん、アイクさん、梅2号さん、Tシローさん、弟子二十二号さん。
感想、つっこみ、誤字報告、etc,etc,ありがとうございました。
此れを糧に、精進しようと思います。

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