不謹慎だと言われればそうなるだろう。
約2年付き合った一つ年下の彼女。
その時は別に付き合っていたわけじゃないけれど、共通の友達も多かったし、一緒に飲んだりすることもあった。
僕らが住んでいたのは千葉。地震の被害としては東北と比べたら大したことないとかいわれるけど、
数日交通網が麻痺していたのは覚えてるし、コンビニやスーパーから食べものが無くなって、米だけ食べてた数日間とかもあった。
電力消費を抑えるため、地域ごと時間を区切って意図的に停電させるものだ。
「大丈夫、怪我とかしてない?」
「食べ物ある?」
「寒くない?」
彼女はこう返した。
「暗いのが本当に怖い。電気が通ってないって怖すぎる。」
そりゃそうだろう。まだ3月の寒い時期の夜に明かりもない、暖房もない部屋に一人でいたら怖いのは当たり前だ。
実は当時の僕の家は駅のすぐ近くだったこともあって、計画停電の該当地域から外れていた。
不憫に思ったのと多少の下心で、
と伝えた。
そう言って鍵の隠し場所も教えた。
僕がアルバイトから帰ってきた24時頃ベッドに座ってたときもあった。
結局停電期間中は彼女が着替えに行くとき以外はずっと僕の家にいた。
僕は就職活動とか、バイトとかで昼間はほとんど家にいなかったけど、
「20時くらいに帰る」
計画停電も終り、彼女就職のための引越で千葉からは離れることになった。
僕はちょうど自分のロードバイクが盗まれたばかりだったので助かった。
「困ったらまたいつでも頼ってやw」
「もう大丈ですw」
とお互い照れ隠ししながらだったが、
「あん時はホント頼りになるし、不安だった私を一所懸命励ましてくれたりしてありがとう」
と言って貰えた。
返事はOKだった。
結婚も決まり、式の準備について話していたのが2014.3.11
「もう3年も前なんだね、あの停電なかったら付き合ってなかったよねw」
本当にそうだと思う。なんの因果か3.11は僕らの結婚の必須の要素だった。
世界は良く出来ている。