2014年03月12日

2014年F1規約: 空力学的変更 - 基本的な解説 1

2014 regulations: Aerodynamic changes

ダニール・クビアト(トロ・ロッソ)、バーレーンF1テスト

F1チームは、史上最大の規約変更を受け、まもなく2014年シーズンの開幕戦を迎える。この変更は、マシンの全体的効率を改善するため、マシンの空力学的ダウンフォースを制限するさらなる対策と相まって、パワートレイン規約を完全に転換するものである。

この規約変更は、1983年や1998年のときよりも、あるいはスリック・タイヤがF1に復活し、オーバーテイクを改善するために空力学的規約が事実上すべて書き換えられた2009年よりも、おそらく大きい。しかし、かつての規約変更の大半はドライブトレインあるいは空力学のいずれかに集中していたが、2014年の変更はマシンのあらゆる側面におけるかなり大きな変更が含まれている。

まずは、安全性向上とダウンフォース抑制のために課せられる空力学的変更を見ていこう。

フロント・エンドの空力学的変更

2014年規約の最初の草案では、FIAがF1マシンのノーズを低くしようとしていることが明らかだった。その後多くの変更が導入され、革新的アイデアのいくつかは廃止されたが、低ノーズのアイデアはそのまま残ったので、見た目が大きく変わった。

ハーヴェイ・ホスルスウェイトとジャン-クロード・ミジョーが、F1最初のハイノーズ・マシンであるティレル019を設計して以来、チームは高いノーズがマシンのアンダーボディから生じるダウンフォースを高めるのに役立つことを認識し始めた。その後の数年間で、チームは次第にマシンのノーズを高くするようになる、最終的に2012年にはノーズコーンの高さが最大になった。

これは当初ドライバーの視界にとって問題になったが、Tボーン・クラッシュのとき、他のマシンのノーズが、他のマシンのサイドポッドやコックピットの縁よりも高い場合に安全上の問題となることがわかり、初めて対策が真剣に検討されるようになった。FIAはノーズの高さを制限するという、シンブルで素晴らしいアイデアを提案した。重要なことに、モノコックの最大高さは変更されなかったので、これによって2012年のマシンが「醜い」段差ノーズを持つことが明らかになったときには手遅れだった。その後、2014年の大幅な規約変更を前に、2013年に1年だけの美的対策として化粧パネルの使用が認められた。

2014年はかなり低いノーズを義務づけるため、技術規約はモノコック前部の最大高さを550mmに指定している。しかし、モノコック自体の最大高さは以前と同じ625mmなので、2012年以降と同じように、ノーズの付け根で突然段差ができる可能性があったため、FIAはその後、モノコック前部とコックピット開口部の前部との間を直線的な表面にするよう強制しようとしたが、チームはこれを拒否した。

F1マシンのフロント、2013年と2014年の比較

もうひとつの変更は、ノーズコーン先端から50mmの位置の横断面の仕様である。技術規約第15条4項3は、この横断面は9000mm2より大きくなくてはならない、中心がマシンの基準面から185mm以上高くてはならないと規定している。これは、幅15cm高さ6cmのかなり平坦で幅の広い断面のノーズから、10cm×9cmのほぼ真四角の断面のノーズまでが可能であることを意味している。技術規約第3条7項8はさらに、ノーズコーンがそのセクションより後ろで狭くなるのを防止しているたため、モノコックの下にできるだけ空気を取り入れようとするチームが関心を持つであろう先端が太くネックが細いノーズは、事実上禁止される。

チームがどの方向を選ぼうと、ノーズ先端はフロント・ウィングに非常に近くなる。フロント・ウィングの最も高い面は、基準面から約120mmの点で約550mmあたりにある。これは、ノーズの下側を利用して、フロント・ウィングの中央部分の上とともに、ベンチュリ・チャネルを作り出すことができるかもしれない。効果がないとわかれば、ノーズコーンは、フロント・ウィングの20mm前まで延長するか、フロント・ウィングと40mmしか重ならない程度に短くすることもできる。後者の場合はかなり独特に見えるだろうが、前部衝撃テストに合格する短いノーズコーンを作るのは非常に難しい。

もちろん、第3条7項2によって、フロント・ウィングを支える2本の支柱を義務づけ、1980年代のほとんどのF1マシンや、しばしば美しいマシンとされる1990年代初頭のウィリアムズのマシンのように、ノーズコーンを直接フロント・ウィングに接続する可能性を排除しなければ、F1ではないだろう。

フロントエンドのダウンフォースを下げるために、フロント・ウィングの総幅も狭められ、両側がそれぞれ75mm短くなる。これによって、エアロダイナミシストにとってフロント・ホイールに向かう気流をコントロールするのが難しくなるだろう。この部分を正しく管理することは、マシン後部の空力学的パフォーマンスにとって同じように重要なのだ。外観的には、これはわずかな違いしかもたらさないが、ドライバーが接戦しているときにフロント・ウィングの破損を回避するのに役立つだろう。

今回多く見られた「アリクイ」スタイルのノーズコーン、この風変わりなレイアウトは、断面を最小限にしつつ、ノーズコーンの下にできるだけ多くの空気を流すようにしたものである。ノーズの最初の部分の急な傾斜のため、フロント・ウィング支柱はかなり長くなるが、これはメリットがある。というのも、これらは事実上、垂直翼として設計されているからだ。

F1マシン、「アリクイ」スタイルのノーズコーン

-Source: F1 Technical

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