Financial Times

米国の力を試すウクライナ危機万が一にも中国が「プーチン」をやったら、米国と同盟国はどうするのか?

2014.03.12(水)  Financial Times

(2014年3月11日付 英フィナンシャル・タイムズ紙)

プーチン氏の強さの秘密は「ハイハイ不足」?米が身体言語研究

強気の態度を崩さないウラジーミル・プーチン大統領〔AFPBB News

数週間前は欧州の人間でさえ、ウクライナの出来事にあまり関心を払っていなかった。今では全世界が見つめている。というのは、ロシアによるウクライナ侵攻は一般に、米国主導の世界秩序に対する直接的な挑戦と見なされているからだ。

 もしロシアのウラジーミル・プーチン大統領が何の代償も払わずに済めば、中国やイランなどの国の政府は、米国に挑むリスクが低くなっていると判断するかもしれない。

 ワシントンのバラク・オバマ米大統領の政敵は、大統領はシリアでの武力行使を巡って怯み、イラン、中国との交渉で弱さを見せたと主張する。2008年の大統領選挙でオバマ氏に負けたジョン・マケイン上院議員は、ウクライナ危機は「無気力な外交政策がもたらした究極の結果であり、もう誰も米国の強さを信じなくなった」と述べている。

 だが、「弱いオバマ」という物語は大事な点を見落としている。これは、ソ連という頑なな敵との世界的な戦いにおいて歴代の米国大統領が揺るぎない決意を示すことを求められた冷戦ではない。

 ウクライナ危機はむしろ、新しい時代、すなわち、西側にとって最も危険なライバルが往々にして重要な貿易相手国でもあるグローバル化の時代の外交政策のルールを試す重要な試金石だ。

冷戦との継続性と決定的な違い

 冷戦との1つの継続性は、2014年のウクライナでは、1956年のハンガリーでもそうだったように、米国が武力を行使できないということを知っていることだ。オバマ氏が軍事対応の可能性を排除したように見えることは、大統領が弱いということではなく、正気であることを示す証拠だ。

 だが、冷戦時の数々の危機との決定的な違いは、最近では、ロシアとの対立、そしていずれ起きるかもしれない中国との対立は、世界が競合する政治・経済ブロックに分かれていた時には存在しなかった経済的な関係がかかわってくるということだ。まだはっきりしないのは、西側がグローバル化によって自分たちに配られた経済的なカードをうまく使う方法を見つけたかどうか、だ。

 問題は、西側の大国は自分たちがロシアを経済的に傷つけることができることを知っているが、ロシアに危害を与えると自国経済にも多大な2次的被害を及ぼすことも知っていることだ。欧米人はそれを受け入れる覚悟があるだろうか?

 経済制裁の潜在的威力に対する信頼は、イランを世界の…
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