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【社会】

青梅の梅 見納め 「梅の公園」1260本も伐採へ

昨年3月の梅まつりで、満開の梅が咲き誇る青梅市の「梅の公園」。公園内の梅の木全てが伐採されるため、今回を最後にまつりは当分開かれない(同市観光協会提供)

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 全国有数の梅の名所・吉野梅郷(東京都青梅市)の代表的梅園である「青梅市梅の公園」の梅が、今月で見納めとなる。梅郷の恒例イベント「梅まつり」も今回でひとまず終幕。梅の木を弱らせる「プラムポックスウイルス」(PPV)の感染拡大防止のため、市はシーズン終了後に園内の千二百六十本余りをすべて伐採する。 (小松田健一)

 梅の公園は一九七二年に吉野梅郷内に開園し、九二年に整備を完了した市内最大の梅園。約四ヘクタールの傾斜地に、最も多い時で、百二十種千七百三十九本の梅が咲き誇っていた。

 梅郷では毎年三月に「梅まつり」が開かれ、十万人が訪れる。ことしも一日に始まったが、大雪の影響で花はほとんど咲いていない。今月中旬に見ごろを迎えるという。

 二〇〇九年に梅の木では世界初とされるPPV感染が市内の梅園で見つかり、公園内でも一〇年に感染木を確認。市は公園で新たな感染が分かるたびに伐採を重ね、現在は八十種千二百六十六本まで減った。昨年六月の調査では三十九本の感染が判明し、国が定めた感染拡大防止の方針に従うと、感染木の周囲を含め約五百本を伐採しなければならなくなった。

 感染木を触るなどしても人体には影響ないが、大量伐採で景観が大きく変わるため、市や周辺の梅園所有者、観光関係者らが対応を協議。公園内は全て伐採して「一からの再生を目指す」ことを決めた。植物防疫法の規定で国が三年間、感染がないことを確認しなければ、新たな梅の木は植樹できない。約四十年前から続く梅まつりも今回を最後に、当面は開催できない。

 市は代わる花として、開花時期が重なるスイセンやフクジュソウなどを公園内に植え、春先の来客に楽しんでもらおうとしている。新年度予算案には梅まつりに代わる集客行事の検討や植樹に備えた梅の苗木の買い付け費用として六千五百九十五万円を計上した。

 竹内俊夫市長は「梅の季節だけではなく、年間を通して人を集められる観光を育てたい。地元の皆さんと一緒になって取り組んでいく」と話している。

 

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