「国がコメの生産量を絞って米価を維持する生産調整(減反)をやめても、米価は安定する可能性が高い」――。農林水産省は11日、こうした試算をまとめて自民党の部会に示した。農水省は「主食用米の需要に応じた生産が進めば、全体として需給は安定していく」と説明。消費者に大きな影響はないとの見方を示したが、現場では補助金で米価が上がるのでは、と懐疑的な声もでている。
政府は2018年度に減反をやめる方針。14年度からは家畜向けの飼料用米などに転作する農家への補助金を手厚くする考えだ。農水省は減反廃止が定着したあとの10年後の主食米の需給で3通りの試算を示した。
試算は10年後の主食用米の需要が703万トンと仮定。メーンシナリオでは飼料用米などへの転作が予想通りに進めば主食用米の生産は需要とほぼ同水準になるとした。
農家が補助金をもらうために飼料用米などを大幅に増産すれば、主食用は13万トン不足するとした。コメ農家の間では飼料用米の種を買い付ける動きが広がっており、主食米の価格が値上がりする可能性もある。転作が進まない場合は主食用の生産が730万トンに膨れ、需要を27万トン上回るとの試算も示した。
農林水産省、農水省