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ART

現代アートの祖マルセル・デュシャンを継ぐ、古橋まどかの精神

インタビュー・テキスト:島貫泰介 撮影:西田香織(2014/03/10)

全3回続いた『第8回shiseido art egg』の入選者インタビュー。最後に登場する古橋まどかは、なんとアーティスト活動歴1年、今回が人生初の個展になるという、まさに新進気鋭のアーティストだ。イギリスで建築と美術を学び、マルセル・デュシャンと民藝運動に影響を受けたという彼女は、身の回りにある品々を使って、インスタレーションやさまざまなプロジェクトを行う作家として、頭角を現しつつある。本邦初となるインタビューを通して、古橋の目指すもの、アーティストになった経緯を聞いた。

PROFILE

古橋まどか(ふるはし まどか)
1983年長野生まれ。2013年ロイヤル・カレッジ・オブ・アート美術修士課程修了。主な展覧会に、『5 Under 30』(Daniel Blau、ロンドン)『Show RCA 2013』(Royal College of Art、ロンドン)、『RCA Secret』(Dyson Building, RCA、ロンドン)、『All I Want is Out of Here』(October Gallery、ロンドン)等。現在、名古屋在住。
古橋まどか | Madoka Furuhashi

そういうヘンテコな現代アートの面白さを、たとえば私の祖母にでもわかるように伝えていきたいと思っているんです。

―古橋さんは今年の『shiseido art egg』入賞者3人の中で、最後の個展を飾るわけですが、じつはアーティスト活動を始めてまだ1年だとか。

古橋:はい。個展もまったく初めてなんです(笑)。

―そうなんですか!? だとすると、古橋さんがどんなアーティストで、どんな作品を作ってきたのか、を知っている人は、まだほとんどいない状況なわけですよね。まずは最初に作品やテーマについて、お伺いしてもよろしいでしょうか?

古橋:テーマというと「現代美術」そのものになります。大学まではデザインや建築を勉強してきたのですが、その前からずっと美術に興味があって、その方面に進みたかったんです。それでいろんな方に後押ししていただいてロンドンにあるロイヤル・カレッジ・オブ・アート(以下RCA)に入って、そこでまず考えたのが「美術とはなにか?」ということです。そのなかでも特に気になったのが「現代」というカテゴリー。近代美術とは違って現代美術には明確な定義がないところが面白いなって。

『shiseido art egg 古橋まどか展』展示風景 撮影:高見知香
『shiseido art egg 古橋まどか展』展示風景 撮影:高見知香

―古橋さんは、どういった手法でそのテーマを追求していこうと考えたのでしょうか?

古橋:まずはリサーチすることから。現代美術の始まりはいつだったのかということが気になって、美術史の勉強を始めて辿りついたのが1917年、マルセル・デュシャンが名を偽って公募展に小便器を提出した年でした。その作品は当時は展示に至らず、1つの試みとして終わったようですが、再評価され始めた1950年代あたりから、なんでもかんでもあらゆる物が美術作品と見なされるような風になってきて。

―そうですね。

古橋:なかには美術館に所蔵されるような作品が、ゴミと間違えられて捨てられてしまったりもする。それは惜しまれるべきなのでしょうけれど、一般には「え、あれが芸術なの?」って思われても仕方ない。なんともヘンテコというか……すごく滑稽なものが現代アートだと思っています。でも、そういうヘンテコな現代アートの面白さを、たとえば私の祖母にでもわかるように伝えていきたいとも思っているんです。

古橋まどか
古橋まどか

―事前にいただいた資料を見ると、「ファウンド・オブジェ」と呼ばれる、どこかで見つけた、拾ってきたような物を組み合わせて作品にしていますね。それもデュシャンが提唱した「レディメイド(既製品をほぼそのまま美術作品にする手法)」の思想に沿っているんですね。

古橋:そうですね。今回『shiseido art egg』で展示する作品は、祖母の家に残されていた物を素材にしていますが、取るに足らない日用品とか、忘れ去られて家の片隅にコソっとあるような品物を美術として見せたいというところが出発点です。「自分が愛用していた金魚鉢」なんて、どう間違っても美術館には所蔵されませんよね。でも、それがどこかで間違いが起きて持ち込まれてしまった、みたいな状況が面白いと思うんです。

『shiseido art egg 古橋まどか展』展示風景 撮影:高見知香
『shiseido art egg 古橋まどか展』展示風景 撮影:高見知香

―なるほど。その過程において家族や場所の記憶というのは、大きな要素でしょうか?

古橋:大きいですね。ただ、物自体から場所の記憶を感じとることは難しいので、作品に写真を使うのです。物が収集された場所も含めて、1つのアイデンティティーとして示せればと。


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