STAP細胞:発表直後から疑問点…論文取り下げ提案

毎日新聞 2014年03月10日 20時47分(最終更新 03月10日 21時31分)

スクリーンのSTAP細胞を指さす理化学研究所発生・再生科学総合研究センターの小保方晴子・研究ユニットリーダー(左)と若山照彦・山梨大教授=神戸市中央区で2014年1月28日、川平愛撮影
スクリーンのSTAP細胞を指さす理化学研究所発生・再生科学総合研究センターの小保方晴子・研究ユニットリーダー(左)と若山照彦・山梨大教授=神戸市中央区で2014年1月28日、川平愛撮影

 刺激を与えただけで細胞が万能性を持つという「STAP細胞(刺激惹起<じゃっき>性多能性獲得細胞)」の発表は、生物学の常識を覆す成果と位置付けられ、著者の小保方晴子・理化学研究所研究ユニットリーダーが30歳の女性だったこともあり、大きな注目を集めた。一方、発表直後からインターネットで論文に使われた画像に不自然な点があることが指摘された。

 「自分がやった実験が何だったのか、分からなくなった」。10日、毎日新聞の取材に、論文の著者の一人である若山照彦・山梨大教授は語った。若山教授は、STAP細胞の万能性を証明する重要な実験を分担した。

 ネットで指摘されたのは、STAP細胞の作製を報告した英科学誌ネイチャーの論文で▽STAP細胞から作ったとされるマウスの胎盤の画像が他の条件で作ったものと似ている▽遺伝子の働きを調べた画像に別の画像から切り張りされたような跡がある▽論文の補足部分がドイツの研究チームが2005年に発表した論文と10行以上ほぼ同一−−など。

 さらに今月9日、小保方さんの博士論文に載ったSTAP細胞とは無関係な画像が、ネイチャー論文にも使われていた疑惑が浮上。若山教授は10日、「博士論文に関する指摘には衝撃を受けた」と漏らした。若山教授によると、小保方さんが12年12月のセミナーでSTAP細胞について発表した際も、博士論文の画像を使っていたという。「私が研究の正当性を信じるためにも、やり直すのが大事だと考えた」と語った。

 一方、共同研究者の丹羽仁史・理研プロジェクトリーダーは「論文の表現上のミスは理研とネイチャー誌に報告済みだ。根幹部分が真実であることは疑っていない」と説明している。【須田桃子、西川拓】

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