宮崎駿監督のアニメ映画「風立ちぬ」。受賞こそ逃したものの、米アカデミー賞の候補作になったことを喜ぶ一家がイタリアにいる。零戦設計者の主人公・堀越二郎の飛行機への憧れを、夢の中で励まし続けた飛行機設計士ジャンニ・カプローニ氏の子孫だ。そこには、カプローニ氏が第2次大戦後に「戦争協力者」として否定されたことへの苦い思いがある。

 ■きっかけは「紅の豚」

 レトロな複葉機に水上機。まるで宮崎作品のような空間が広がっていた。イタリア北部トレントにある「ジャンニ・カプローニ航空博物館」。カプローニ社製など約30機の飛行機が展示されている。

 「祖父と主人公の堀越、そして宮崎監督はみな似ていると思います。職人肌で、創造が大好きという点で」。カプローニ氏の孫でトレント近郊に住むイタロ・カプローニさん(40)は話した。