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10 Mar 2014 05:14

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「艦これ」が火付け役! タブレット市場に異変

東洋経済オンライン 3月9日(日)6時0分配信

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「艦これ」が火付け役! タブレット市場に異変

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「艦これ」が火付け役! タブレット市場に異変
大ヒットとなったゲーム「艦隊これくしょん―艦これ―」(C)2014 DMM.com/KADOKAWA GAMES All Rights Reserved.

 「いわゆる“ガラパゴス”ではないが、日本はユニークな市場ということなのでしょう」。世界的に事業を展開する大手PCメーカー幹部はこう苦笑する。

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 日本のタブレット(多機能携帯端末)市場において、米マイクロソフトのOS「ウィンドウズ」搭載型の存在感がにわかに高まっている。

 調査会社BCNによれば、2月のウィンドウズ搭載型タブレットの国内シェアは15%(台数ベース)。1年前は3%台のシェアで低迷していたが、昨年後半から急上昇した。販売台数の増加率も、前年同月比で5倍を超える伸長ぶりだ。

 これは世界的に見ても日本だけの事態だ。米調査会社ガートナーが3月3日に発表した全世界のタブレット販売統計では、ウィンドウズ搭載型のシェアは2013年暦年でわずか2%。10〜12月を抜き出してみても「日本以外は、この傾向に変化がない」(ガートナーの佐藤篤郎シニアアナリスト)。

 PC市場では確固たる地位を築いているウィンドウズだが、「タブレットにおいては消費者の興味を引くようなエコシステム(ハードとアプリが相互に活動して市場を作る生態系)がいまだ確立されていない」(同)。ウィンドウズを尻目に世界で躍進するのは、米グーグルの「アンドロイド」――。これが世界の大きな勢力構図だ。

■ 軍艦が美少女に

 なぜ日本だけでウィンドウズタブレットが人気になっているのか。

 昨年後半のOSバージョンアップ、新型CPUによる性能向上、また単価4万円台(8インチ)でOfficeソフトが標準搭載されているコストパフォーマンスのよさなどが一因として考えられるが、これらは日本に限った話ではない。日本だけで特筆すべき伸びを示している背景には、昨年から大きな人気を集めているPCゲームの存在がある。

 DMM.comと角川ゲームスが共同開発した「艦隊これくしょん―艦これ―」がそれだ。旧海軍の駆逐艦や軽巡洋艦、戦艦などを美少女キャラクターに擬人化した「艦娘(かんむす)」たちを育成し、敵艦隊と戦わせるシミュレーションゲームである。

 2013年4月のサービス開始以降、わずか半年で登録ユーザー数は100万人を突破。現在は170万人を超えている。艦これを取り上げた関連書籍は飛ぶように売れ、14年中にテレビアニメ化も予定されるなど、メディアミックス展開が加速している。

 艦これはウィンドウズでの動作が推奨されているブラウザゲーム。ノートPCを開いてプレイするには不便だった電車内や、くつろいだ体勢でもゲームが楽しめるよう、多くの艦これプレイヤーがウィンドウズタブレットをこぞって購入した。

■ ファン御用達で爆売れ

 艦これをプレイするのによいのはどのタブレットか――。パソコン誌の「週刊アスキー」が昨年12月、読者を対象にこんな人気投票をネット上で実施した。1位に選ばれたのは中国のPC大手レノボが同月に全世界で発売した8インチタブレット「Miix2 8(ミイックスツー エイト)」だった。同種の製品の中では350グラムと軽量で、かつバッテリー持続時間も10時間と比較的長持ちすることが好感された。

 「艦これ定番タブ」としての評判を獲得した影響は非常に大きかった。BCNの集計によれば、Miix2 8は昨年12月のウィンドウズタブレットの国内販売ランキングでぶっちぎりのトップとなり、今年2月でも首位に立っている。

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最終更新:3月9日(日)8時0分

東洋経済オンライン

 

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