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CIOが語る次のIT 日経コンピュータ

証券の基幹システム刷新、最大手でも共同利用を選ぶ

野村証券 経営役 吉村 潤 氏

2014/03/10
大豆生田 崇志=日経コンピュータ (筆者執筆記事一覧
吉村 潤 氏
1987年3月に中央大学法学部卒業。同年4月に野村証券入社。2010年12月に経営役。IT統括、IT基盤、国内IT、業務企画担当。1963年6月生まれの50歳。
(写真:寺尾 豊)

 ITと言うと、どうしても最先端のテクノロジーに目が向いてしまう。しかし、ビジネスをどう変えていくかが、実はITの価値を決める。まさにITと業務改革は一体で考える必要があり、それがシステム開発プロジェクトを成功させる鍵だ。

 私は2009年4月から、基幹系システムを刷新するプロジェクトの全体責任者を担った。新たなシステムはゼロから開発せず、野村総合研究所(NRI)が証券業界向けに提供していた共同利用型の「STAR(スター)」を全面採用することにした。

 STARは、証券業務のバックヤードを支えるシステムだ。プロジェクトには4年近くを費やし、2013年1月にSTARの利用にこぎ着けた。その直後の4月に日本銀行が金融の「異次元緩和」に踏み切ったことで株式相場が活況を呈し、システムの処理量も大幅に伸びているが、問題なく稼働している。

 プロジェクトの成功の鍵はどこにあったか。実は、私はそれまで横浜駅西口支店長を務めており、営業現場は分かってもITは全くの素人だった。プロジェクトにはその他、本社業務や商品開発、そしてITなどを長く担当し、いろいろな知見を持ったメンバーが集まった。

 ビジネスに携わる側は、どうしても「あれを作れ」「これを作れ」とシステムの要件を膨らませがちだ。一方、ITに携わる人は頭脳明晰のため、要求されたことを最新のテクノロジーで全部作ろうとするから、システムは肥大化し「お化け」になる。

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