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豊田ならではの独特のレコーディング方法に、強い関心を示す峯田。
銀杏BOYZのフロントマン峯田和伸と、孤高のミュージシャン豊田道倫の対談後編。前編【「街は静かだけど、心のノイズは増えている」】では、互いの作風に対する思いや、銀杏BOYZの新作がノイジーな仕上がりとなった背景について会話が展開した。後編では、豊田特有のレコーディング術から、90年代のロックシーン、さらには東日本大震災後の音楽観まで語り合った。
豊田「ミュージシャンは曲を把握していないほうが、意外と力を発揮する」
峯田:ところで豊田さんの新しいアルバム(豊田道倫 & mtvBAND『FUCKIN' GREAT VIEW』)。あれ、マスタリングはAbbey Road(編注:イギリスのアビーロードスタジオ)ですか?
豊田:Abbey Road。1曲、1万4000円くらいでできる。ただ音源送るだけっていう。でもあんまり変わんないかな、ちょっといい感じっていう。仕上がり早いし、プリセットって噂もあるよ(笑)。あと今回のレコーディングは一発録りしたから、修正も利かないし、どうしようもない状態ではあった。で、どうしようかと思って、Abbey Roadに。だから困ったんじゃない? 「これは商品にはならない、けど商品にしなきゃならない」っていうプレッシャーで(笑)。
峯田:今の話は聞かなかったことにします。Abbey Roadでやったっていう、そこだけでいいです。1曲1万とか聞きたくない(笑)。でも一発ってことは、演奏しているじゃないですか、みなさん。あわせて歌も一緒にですか?
豊田:もちろん。もう、ブースもなんもないからね、音も全部回っちゃうから、まぁええわっていう感じ。年のせいか、もう、なるべく早く終わりたい。歌い直しもしない。そんな力ないから、みんなもう。今回、僕のメンバーも曲いっさい把握していなくて、来たときに曲を渡して、1回2回やって、もう録音。で、みんなが曲を把握する頃に「はい、もう次いきます」みたいな。あんまり把握されちゃうと、僕が負けちゃうから(笑)。
峯田:そういうレコーディングの仕方は毎回やられているんですか?
豊田:いや、今回初めて。一回それやってみたかったんだ。ボブ・ディランもどうやらやっていたらしいんだよね。全員集まって、一回バーっとやって、みんな何も把握してなくて、「この曲はなんなんだ?」って感じで弾いているのが、もうたまんなくて。
峯田:なるほどな~! やってみよう、今度。
豊田:意外とミュージシャンはそのほうが力発揮するんだよ。瞬発力っていうか。みんな間違っても良いって思ってやってるから。
峯田:曲の終わり方が一個一個かっこいいんですよ。偶然の、しょうがねぇや、ここでしか終われねぇっていう、その男気が感じられるんです。ちゃんと終わり方決めてなくて、「誰々が終わったからここで終わるんだろうな」っていう。素晴らしいと思いました。なるほど、今の話聞いて合点がいきました。そのへんはあえてこういう風にしようっていうより強いですよね。偶然性があって。もしかしたら豊田さんが曲を作ったときに思っていたグルーヴは出ないかもしれないけど、たとえば5戦して、2勝3敗しかできないかもしれないけど、その2勝はすごいです。
豊田:まぁ野球もね、べつに3割打ったらいいから。10曲中3割。隙もあるんだよ。峯田くんの銀杏BOYZのCDは、ライブミックスは置いといて、あのスタジオ盤はバンド使ってないの?
峯田:半分くらいは使ってないですね。最初カオシレーターでデモ作るんですよ。で、それをPCの技術でやろうかって、ある程度作ってもらって、俺も最終的に入って、ここもう少しこうしようっていうぐらいで。半分そんな感じですね。んで、俺の頭の中では、パソコンで作った曲とかもありつつ、次の銀杏の曲はもっと本当に肉々しいというか、バンドサウンドで一発録りで。今回で枠は作れたんで、次はあえて真ん中にブシュっとやるようなヤツを出したいと思っているんですけどね。
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