三菱東京UFJ銀行員に
4億円詐取された79歳資産家女性
【全文公開】
半沢直樹もビックリ
現金4億円をすべて食いつくす
〈ブックメーカー投資 360億円集め配当中止〉
読売新聞がこう1面で報じたのは7月27日。メディアが続々と「投資詐欺」と報じ、少なくとも被害者は6000人にのぼる見込みだ。
社会部記者がスピーシーの詐欺のからくりを語る。
「イギリスには『ブックメーカー』という政府公認の賭博業者がおり、サッカーの試合結果などで賭けを行っています。スピーシーは『ここで特殊な賭けをすることで、勝率100%になる』と謳い、月3~10%の高配当を投資家に約束。しかも新たな投資家を紹介すれば紹介料が出るので、マルチまがいです」
本誌が入手した出資者リストによれば、中村さんの投資額は被害者中でも最高額。三菱東京UFJのYとK、およびSは最高の金ヅルを籠絡していたのだ。
Sが被害者の中村さんに渡した「借用書」。常識外れの金利を約束しているが、日付すら入っておらず、なぜか中村さんの実印が押されている(右)
スピーシーはその後、「インドネシア鉱山事業の収益で返還する」として返金をはじめたが、それも現在は止まっている。中村さんへの最後の返金は今年7月1日。わずか2万円だ。
「KとSは『配当は再開する』とか、『とにかく大丈夫』と言うばかり。不審に思いましたが、しばらく我慢しました」(中村さん)
その間、KとSは中村さんのご機嫌取りに専念する。中村さんの誕生月の昨年7月には、KとSの出身地の福島県白河市へ3名で1泊旅行に出かけた。
「誕生日おめでとうと言って、花束をくれたのです。ウチは夫婦で商売して子供がいなかったので、花束なんてもらったことがない。感激しました。写真もたくさん撮り、アルバムにしてくれたのです」(同前)
そのうち、Sは1人で中村さんの自宅に来るようになった。Kは、中村さんの家に来ると「ただいま」と言いはじめた。2人は中村さんを「ユキちゃん」と呼び、食事に出かけた。だが、支払いは中村さんだった。
「ある時、Sが『インドネシアで事業をはじめた』と言い出しました。『予想以上にすごい』と繰り返し、『お金を出して欲しい』と無心してきました。
『インドネシアの物価は日本の10分の1だし、お金になるの?』と聞くと、『ドルに換算するので大丈夫』と、よく分からない説明をされました。KとSは『自分たちもスピーシーで損している』と言っていたので、つい同情してしまったのです」(同前)
年が明けて今年2月、中村さんは生命保険を解約して現金2300万円を用意。Sは2000万円を紙袋に入れて持ち出していった。
数日後、Kが「Sを助けてやって欲しい」と言って、中村さんが家に置いていた300万円を持って行った。Kが持ち出した300万円は、契約書も借用書も無い。これで中村さんの手持ちの現金はすべてなくなった。
「もうお金が残っていなかったので、最後に300万円を持っていかれたのが本当に痛かった」(同前)
彼らが中村さんから現金を持ち出したのはこれが初めてではない。昨年4月末、Kは中村さんが家に置いていた現金1000万円を持ち出している。これも契約書がなく、行方知れずなのだ。
投資で失った分と合わせると、被害総額は4億円以上にものぼる。