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福島 自主避難者74%戻らず
3月7日 18時09分

福島 自主避難者74%戻らず
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原発事故の影響で、避難区域以外の福島県の自治体から全国に避難している自主避難者について、今後も元の地域に戻ることは難しく移住や避難先での定住を検討している人が74%に上り、中には、いったん福島に戻ったものの、再び避難しているという厳しい決断をした人もいることがNHKが行ったアンケートで分かりました。

原発事故の影響で、国が居住などを制限するために指定した避難区域以外の福島県の自治体から県外に避難している自主避難者は、少なくとも2万5000人に上っています。
NHKでは、事故から3年になるのを前に、全国にある自主避難者の支援団体などを通じて、アンケートを行い、307人から回答を得ました。
その結果、今後の生活拠点をどこにするのか尋ねたところ、「もともと住んでいた地域」が26%だったのに対し、「今、避難している地域」が59%、「全く新しい地域」が15%で、今後も福島県に戻ることは難しいと考え、移住や避難先での定住を検討している人が、合わせて74%に上りました。
その理由について複数回答で尋ねたところ、「被ばくの影響への不安」が61%、「放射線への不安」が49%、「自分の心身の状態が変化した」が38%でした。
また、移住や避難先での定住を検討している人の中には、避難先からいったん福島に戻ったものの、再び避難した「再避難者」が14%、含まれていることが分かりました。
福島に戻った理由については「家族との離れ離れの生活に疲れた」が30%、「家族や知人に戻るよう言われた」などが11%で、「再避難」した理由については、89%が被ばくの影響が心配になったことを挙げていました。
自主避難者の支援に取り組む「福島の子どもたちを守る法律家ネットワーク」の共同代表の河崎健一郎弁護士は、「事故から3年がたっても被ばくに対する不安が解消されていない。地元に戻る人も移住する人に対しても自主避難者の選択を尊重し、寄り添ったきめ細かな支援が必要になってくる」と話しています。

自主避難者の65%「家計苦しい」

今回のアンケートで、「家計の状況」について尋ねたところ、「苦しくなっている」と回答した人が全体の65%と、3分の2を占めました。
その理由について、複数回答で尋ねたところ、「交通費」が75%と最も多く、次いで「蓄えの変化」が62%、「収入の変化」が55%などとなっています。
その一方で、原発事故の前に暮らしていた地域に「戻りたい」と回答した人は15%だったのに対し、「戻りたくない」、「戻りたいが戻れない」が合わせて85%に上りました。
国はおととし、「原発事故子ども・被災者支援法」という新たな法律を作っていて、みずからの意思で避難した自主避難者も支援の対象になっています。
自主避難者は高速道路の一部無料化や、避難先での住宅の無償提供などの支援を国から受けられます。
河崎健一郎弁護士は、「避難する権利が法律で認められているのに、長引く避難生活で経済的に限界を訴えている自主避難者が多いので、きめ細かな支援が必要だ」と話しています。

37%「家族関係が悪化」

今回のアンケートでは自主避難者のうち、夫婦が離れて暮らす世帯の37%が、時間の経過とともに、「家族関係が悪化した」と感じていると回答しました。
このうち、夫を福島に残し、福島県の自治体と避難先で「二重生活」をしている世帯は、129世帯に上ります。
その理由については、複数回答で尋ねたところ、「職場・仕事の都合」が97%と最も多く、次いで、「避難や放射線への考え方の違い」が25%などとなっていて、家計を維持するために、夫が福島に残るケースが多くなっています。
二重生活を続けている人に時間の経過とともに、家族関係に変化があったか尋ねたところ、「良くなった」が6%、「変わらない」が57%と回答したのに対し、「悪くなった」と回答した人が37%でした。
具体的な変化については、「会話の量」について、71%が「減った」と回答したほか、「悩みを相談する頻度」について、「減った」と回答した人が60%でした。
一方、「ありがたいと思う気持ち」が「強まった」と答えた人が51%などとなっています。
さらに、事故後、離婚したり、離婚を検討したりしている人が23%いました。
河崎健一郎弁護士は、「長期化する避難で夫婦の間に放射能や仕事に対する考えの対立が出てきているのではないか」と指摘しています。

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