「Tech MomのNew Wave from Silicon Valley」

ロボットベンチャー買収でグーグルが目指す「賢い世界」の姿

ハードウェア・ブームの次の波を推理する

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2014年3月10日(月)

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グーグルのロボット部門を率いるアンディ・ルービン氏(写真:AP/アフロ)

 少し前の記事(黒髪の子供たち「アメリカお受験」の夏)に書いたように、我が家の子供たちは夏休みに「テック・キャンプ」というものに参加している。

 アップルのスマートフォン「iPhone」向けアプリ制作やマインクラフト(パソコンゲーム)の加工など、子供たちがいかにも好きそうなコースがいろいろあるのだが、どうやら今年の一番人気はどちらでもない。まだ夏休みまで半年近くあるのに、既に「ほぼ満員」になっているコース、それは「ロボティクス」だ。去年まではこんなことはなかった。

 このキャンプはかなりお値段も高いので、親も必死に考える。単に子供自身が「やりた〜い」というだけでそう気軽に行かせてたまるか。つまり、テクノロジー業界にいる親たちが、 将来の仕事に役立つ分野が何と考えているかの先行指標なのだ。今の中学生や高校生が大人になった時に、ロボット技術者ならば就職に有利、と考える親御さんが急増しているということらしい。

 ロボット産業は、日本が世界のトップというのが長年の常識だが 、それは自動車工場などの製造現場で使う「産業用ロボット」の話。ここでは確かに日本が「需要」も「供給」も世界最大で、メーカーとしても安川電機やファナックなどがトップに君臨している。ただし、産業規模としては世界の年間売り上げが87億ドル(2012年、IFRによる)で、これは先日フェイスブックがメッセージアプリのワッツアップ(WhatsApp)を買収した金額のざっと半分だ。

 「サービス・ロボット」と呼ばれる産業用以外のロボットはそのさらに半分程度、種々合わせて46億ドル程度(同上)の市場規模で、そのかなりの部分が軍事用ドローン(無人飛行機)で占められる。おなじみのお掃除ロボット「ルンバ(Roomba)」やホンダの「アシモ(ASIMO)」など、私たちが「ロボット」といって想像するような楽しいものはほんのわずかな部分に過ぎない。 そんなニッチなままでは、高いお金を出して子供をロボティクスのコースに入れようと思う親がそれほどいるとは思えない。

クジラの作る大きな池

 ところが最近、その小さな池に巨大なクジラが飛び込んできた。昨年後半、グーグルがロボット関係企業を8社買収し、同社モバイル部門を離れたアンディ・ルービン(関連記事:アンディ・ルービンの辞任とグーグルの憂鬱)をトップに据えたロボット部門を設立したのだ。


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