大震災3年:灯籠に思い込め 各地で追悼行事

毎日新聞 2014年03月09日 22時07分(最終更新 03月10日 02時49分)

閖上小学校の旧校舎校庭に並べられた慰霊の灯籠を見つめる親子=宮城県名取市で2014年3月9日午後6時24分、梅村直承撮影
閖上小学校の旧校舎校庭に並べられた慰霊の灯籠を見つめる親子=宮城県名取市で2014年3月9日午後6時24分、梅村直承撮影

 東日本大震災から3年となる11日を前に9日、大きな被害を受けた岩手・宮城・福島3県の各地で追悼行事があった。

 津波で750人以上が死亡・行方不明となった宮城県名取市閖上(ゆりあげ)地区では9日夕、震災時に住民の避難路となった道路や、避難先だった閖上小の旧校舎校庭に灯籠(とうろう)を並べて照らす追悼イベントがあった。市民ら500人以上が犠牲者の冥福を祈った。

 閖上中の卒業生や被災者らでつくる実行委員会が主催。全国からのメッセージが書かれた2100個を、地区内の日和(ひより)山から同小旧校舎近くまでの道路脇約1.2キロに並べ「光の道」を描いた。昨年は強風で実施できなかったが、今回は事前に風防実験などを行い、風雨に強いプラスチック製の灯籠を開発した。

 校庭にも紙の灯籠1200個とキャンドル2500本で縦約30メートル、横約50メートルの「天の川」を浮かび上がらせた。知人を失った同市のNPO職員、石橋優子さん(34)は「被災者を忘れないでほしい。これからも現地を見に来てほしい」と話した。

 岩手県大槌町安渡(あんど)の町内会と公民館は9日、仮設住宅が並ぶ高台の旧安渡小校庭で、地区独自の追悼式を営んだ。参列した約150人は震災発生の午後2時46分、消防団の半鐘の音に合わせて大槌湾に向かって黙とうし、花々を手向けた。

 安渡地区は人口約1950人の1割以上にあたる218人が津波の犠牲となった。同町消防団長の煙山佳成(けむやま・かなり)さん(75)は、妻昌子さん(当時73歳)、義母タマさん(同92歳)、長男隆之さん(同40歳)を亡くし、同地区だけで10人以上の消防団員仲間を失った。「最近、亡くなった家族らに助けられているな、見守られているな、と感じる瞬間が多くなった。仏壇に感謝を伝える日々です」と手を合わせた。

 親族を多数失った小国兼太郎さん(90)は「鎮魂の気持ちで、毎日、刺し子制作に向き合っています」と涙を浮かべた。【橘建吾、高尾具成】

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