【ロシア・ソチ13日(日本時間14日)発】フィギュアスケートの男子ショートプログラム(SP)で羽生結弦(19=ANA)が歴代最高得点の101・45点を叩き出し、首位に立った。国際スケート連盟(ISU)公認大会では史上初の100点超え。歴史的偉業を成し遂げた19歳は、14日(同15日)のフリーで日本勢今大会初となる金メダルに王手をかけた。
「団体戦のときとは比べものにならないぐらい緊張していたし、不安もあった」。そんな言葉が信じられないほど、ミスをする雰囲気すら感じさせない完璧な演技だった。
最初のジャンプの4回転トーループをしっかりと決めると、スピンの後のトリプルアクセル(3回転半ジャンプ)も難なく成功。続く3回転―3回転のコンビネーションも完璧に決めると、観客からこの日一番の歓声が起こった。
残るはステップとスピンだけ。偉業の予感にリンクが異様な雰囲気に包まれるなか、羽生はその後も華麗に舞い、右手を突き上げてフィニッシュ。初の100点超えとした歴史に残る名演は、割れんばかりの拍手とともに幕を閉じた。
実はこの日の朝の練習直後、羽生は思いがけない事態に見舞われていた。ミックスゾーン(取材エリア)を「ごめんなさい」とノーコメントで通り過ぎようとしたその時だ。スケート靴にブレードカバーをつけて歩いていた羽生が足を滑らせ転倒。ブライアン・オーサー・コーチ(52)も「アー・ユー・オーケー?」と慌てて駆け寄ったほどだった。
周囲には嫌な空気が流れたが、フェンス越しに中をのぞき込むと、羽生は倒れ込んだまま「アーハッハ!」と高笑い。すっくと起き上がると「よし、もう転んだ」と控室へと消えていった。
これでもうSPでは転ぶことはない…という超プラス思考。実際、コンディションに何ら影響はなく、演技後にオーサー・コーチは「もう昔の話だよ」と振り返った。
その強心臓ぶりは群を抜く。他選手の場合は日本スケート連盟から派遣されたスタッフらが取材を取り仕切るが、羽生は「今日は(質問は)3つで」などと自分で仕切る。この日の演技後のミックスゾーンでも「あと1つでお願いします」と自ら終了を告げた。こんな芸当ができるのは、今大会に出場する日本選手団のなかでも羽生だけ。あどけなさも残る顔立ちとは裏腹に、多くの報道陣に囲まれても臆することなく自分のペースを守ってきた。
技術的にも伸び盛りの19歳は、約2年前からオーサー・コーチ率いる名門「クリケット・クラブ」で“スケーティングの達人”と呼ばれるトレーシー・ウィルソン氏(52)に学んだ。効果は表れ、演技構成点でも高い得点が出るようになった。「この1年のスキルアップはすばらしい。ある意味で、彼は本物のスケーターになった」(ある国際審判)と大変身を遂げた。
健康管理にも気を使った。以前は食が細かったが、スタミナ切れを経験し食事の大切さを痛感。和食党の羽生がたくさん食べられる「鍋」で、野菜や肉などをバランス良く摂取する。ソチ入り後も鍋を作ってパワーをつけている。また、幼いころからぜんそくの持病があるが、心肺機能を鍛えるためソチでもマスクを着けて練習。常に自分を鍛えることを怠らなかった。
「五輪だから特別なことをするわけじゃない。フリーでも自分のやりたいことをやりたいようにやりたいと思っています」。今大会日本人初の金メダルはこの男で間違いない。
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