最初に書いておきますが、今回のものはまだ成功例が出ていないというもので、小保方晴子博士らのSTAP細胞論文を決定的に否定するものではありません。
小保方晴子STAP論文に不正疑惑 「不自然な画像」で理研が調査にや
小保方晴子STAP論文画像、不正・捏造・改ざん疑惑 マウスの胎盤などでも私は断定的な書き方をしていませんでしたが、こちらの追試は粗いところがありそうで、さらに慎重になった方がいいと思います。
前置きはこれくらいにしておいて、本題。海外の掲示板のようですが、日本人も含めて複数の研究者がSTAP細胞論文を元に追試、STAP細胞作製の再現を試みていることを報告しているようです。
STAP NEW DATA | Knoepfler Lab Stem Cell Blog
http://www.ipscell.com/stap-new-data/ どうも6つ(8つ?)のチャレンジがあって、今のところ全滅という結果らしいです。ただ、元ページは英語なので読む気がしません。ということで、下記の日本人の反応でも適当に拾っていきます。
STAP細胞追試掲示板の感想ツイートまとめ - Togetterまとめ
http://togetter.com/li/630003どちらかというと懐疑派の科学者のサイトにSTAP細胞の追試報告ページがある。今のところ失敗3例。まだ初回のトライだから再現性の有無は何とも言えない。
5つの研究チームにおいてSTAP細胞の再現性が取れていない模様。詳細なプロトコルが近々公開されると期待。
STAP追試実験の結果も集まりつつあるね。
しかも図入りで充実(?)してきた。
http://t.co/CS0yOTIFgF(引用者注:前掲と同じページ)
6個の報告、ぜんぶネガティブみたいだね。
以下はよくわからんかった感想。
真っ赤っ赤やないですか。STAP細胞の再現は難しい、ということなのかもしれないけど、成功した人はここには書かんと論文にするよなぁ。はてさて。
みんなで再現実験して結果を共有しようぜ、という査読なしブログでは失敗報告が相次いでいた。でも上手く行った人は論文投稿するよね。
単なる追試に論文の価値があるんですかね? また、「成功したよ」と言えないってことはないでしょう。そうなると、ヒトでのSTAP細胞について成功をほのめかせて写真を公開したハーバード大バカンティ教授は馬鹿みたいだということになります。(関連:
ヒトでもSTAP細胞作製に成功?ハーバード大バカンティ教授らが写真公表)
以下も変な気が…。
STAPの論文に沿ってやったけど再現できなかったって報告が出てきたのね。酸にさらして生き残った細胞の30%が幹細胞化するわけだからかなり低確率になるから実験系のスケール次第じゃ全くでない可能性もあるわけか
30%ならものすごい確率であり、低くありません。たぶん30%ってのは途中の確率のことでしょう。実際には「生後1週のマウス脾臓のリンパ球を使用した場合のSTAP細胞となる確率は7-9%」(
Wikipedia)と発表しており、しかもこれでもとても高い確率だと宣伝していました。
「7-9%」なら10回に1回も成功しないということです。そう考えるととても少ないように思えますが、1回の実験で1個しか細胞を使ってはいけないということはないですから、10人チャレンジでやっと1人くらいということにはならないはずです。
ケチばかりつけていましたが、以下のものは一番妥当だと思ったツッコミ。私が最初に「追試は粗いところがありそうで」と書いたのは、これらを読んだせいです。
STAP細胞の追試の結果が全部ネガティブだってなってるけど、誰もCD45+の血液細胞使ってねーじゃんw まずは論文の通りの細胞使えよw
なんで同じ血液細胞使ってないの
8つの追試全てがネガティブ。ただマウスTリンパ球のみという全く同じ材料を使っての追試がないことが引っかかる。そろそろそれも試しては?
これ見て「えー!?」と思いました。「追試」「再現性」と言っていたので、同じ条件でやっているんだと思いました。私が先ほど「再現したところで論文にならないのでは?」と言ったのもそういう理解です。
正直詳しくないのでよくわからないのですが、違う条件でやった場合は「追試」や「再現」と呼べない気がします。
あと、「コツがいる」発言もありました。
STAP細胞。追試( http://t.co/bY0A71in7Y )によると、Nanog-EGFP Tgを使うと「うまく増殖させられない」が「弱いGFP positive細胞塊」はいるらしく(自己蛍光かもしれんけど)、培養はコツが必要か。早いとこ詳細を公開して疑念を払拭するべき
ただ、論文に書かれている情報で再現できないというのは、論文に問題がある気がします。
私が勝手に思っていただけかもしれませんが、論文において実験方法を記載するのは、他の人が同じ条件で実験して再現できるようにするためだと考えていました。
「誰もできないけど、私ならできます」という実験は、魔術や秘術ならそれでも良いでしょうけど、科学としては意味がありません。誰にも再現できない研究結果は、人類の役にも立たないとも言えます。
Wikipediaの説明もどうぞ。
追試(ついし)とは、発表された論文,特許,試験等に基づいてその実験・分析を第三者が行い、真偽を確認する行為。
通常、とある説や、新物質(高温超伝導物質等)が学会にて発表された場合、第三者の追試を経て、同じ結果が出た後にそれが事実であると認められる。
追試が行われていない論文は、まず、その必要が無い程周知の事実であるか、もしくは、追試に値しない実験としての基準を満たしていない内容であることを示す。
再現性の
Wikipediaも。
再現性とは、ある事象がテーマとなった時に、それを成り立たせていると考えられる要素や要因に還元したときに、同じ要素や要因を条件として整えた時に、再びまったく同じ事象が起こる性質をそなえていること。
これを備えている時は、再現可能な実験内容と手順に従って、異なった実験から同じ結果が得られるのなら、実験結果は妥当なものとされ、その事象は科学的再現性があるとされる。(中略)
研究者や研究者グループによって作成された実験内容は、一般に他の独立した研究者たちによって評価されるものである。つまり、オリジナルの研究を行なったグループと同じように実験を繰り返して、同じ結果を生まれるかどうかが、他の研究者たちによって確認されなくては、その実験内容の正当性が認められない。
ごちゃごちゃ説明するの面倒くさいなぁと思いつつも、私はこれがあるから実験方法を事細かく書く必要があるんだろうなと思って論文を書いていました。(まあ、言うほど細かく書いていませんでしたけど)
この実験方法の不確かさについてはこういう記述もありました。
特許の問題から作成方法の詳細が伏せられた結果追試が上手くいかない、って事は無いのかなぁ。
正直特許絡みのことは考えたことなかったです。でも、それって論文としてアリなんですかね?
腑に落ちないところはありますが、ライバルたちに少しでも情報を与えないために敢えて曖昧に…というのは、競争の激しいところだとあり得るのかもしれません。ここらへんは保留。
上のまとめの他にSTAP細胞の追試について書いている掲示板も見つけました。気になったのはこれ。
BioTechnicalフォーラム [STAP細胞]
No.2782-96 - 2014/02/16 (日) 05:32:55 - 独り言
あらあら、スタップ細胞の風当たりが厳しくなってきてしまった。
韓国人さん達はメシウマ状態でしょうか。
いや、まてよ、そもそも追試するためには
マウスの交配1-7日
妊娠20日
出産後1-7日
スタップ細胞培養1週間かかるわけ。
まだNature発表から2週間しか立ってないんだから、現在の追試結果を出している人は、たまたま妊娠したマウスを他の実験のためにもっていて、ちょっと追試をしてみた程度。ましていきなりアダルト細胞やひと細胞で追試して、追試できなかったと言っているひともいる。まぁあと1ヶ月ぐらいしたら多くのラボの追試結果がでて、ハッキリするでしょう。
http://www.kenkyuu2.net/cgi-biotech2012/biotechforum.cgi?mode=view;Code=2782
とりあえず、最初の韓国人うんぬんは余計ですね。
小保方晴子STAP論文に不正疑惑 「不自然な画像」で理研が調査にで2ちゃんねるの不正追及スレでこういう人が湧いていたと書きましたが、自分で自分の発言の価値をおとしめています。
ただ、最後の"アダルト細胞やひと細胞で追試して、追試できなかったと言っているひともいる"はさっき書いた論文と違う方法を試しているという話であり、妥当っぽいです。
気になったのは間の部分の話。そんなに時間かかるって話でしたっけ?と
Wikipediaを確認。「STAP細胞の作製に要する期間は2-7日」とありました。これはもともとSTAP細胞の重要な宣伝文句でしたから当然です。
一応、上記のレスでの「スタップ細胞培養1週間」がこれに当たるだけとも考えられます。それ以外にいろいろと準備があるから再現実験はまだできるはずがないという主張です。
しかし、これにしてもSTAP細胞を作る専用のマウスを交配の段階から作らなくちゃいかんということになり、そんな主張していたっけ?と疑問に思います。大体にして、これ人間でやる場合どうするの? STAP細胞用にヒトの「交配」から始めるんでしょうか?
引用した時点ではそこまで変だと思わなかったのですが、ちょっと考えるとすごく変な気がしてきました。掲示板での反応はこちら。
No.2782-97 - 2014/02/16 (日) 05:44:35 - yyy
> たまたま妊娠したマウスを他の実験のためにもっていて、ちょっと追試をしてみた程度。
>
「その目的のために特別に交配・妊娠させたマウスでないとだめ」と言うことは原理的にあり得ないのだから、たまたま持ってるのも同じで良い、と言うか同じでなくてはいけないのでは? と思うのですが。
その辺の理屈が理解出来ませんね。
仮に、「特定のstrainのマウス出ないとダメ」「実験を意識して念じながら、特別にその目的のためだけに交配・妊娠させてないと上手くいかない」とか言うのなら、当初の話とはかなり異なりますね。
No.2782-98 - 2014/02/16 (日) 10:18:44 - おお
飼育環境、餌は微妙な違いをもたらす可能性がありますね。
No.2782-99 - 2014/02/16 (日) 11:47:53 - 平成の無責任男
>[Re:98] おおさんは書きました :
> 飼育環境、餌は微妙な違いをもたらす可能性がありますね。
細胞実験であれば、FBSのロットによってMAPKのベースレベルが変わったという報告は聞いたことがあります(記憶違いかもわかりませんが、確か論文もあったと思います)。
しかし、ごく普通の飼育環境、餌を使った場合で、実験結果に影響を及ぼすほどの違いがもたらされたという話を私は聞いたことがありません。私はこれは無視しても良いファクターかと思っていました。
そのような例を報告した文献等あるでしょうか?例えば、A社とB社のnormal chowを使ったところこのような表現型の違いが出た、などの。もしそういう文献など知っていたら教えて下さい。
うん、やっぱりこれは屁理屈くさいですね。
ただ、前述のように再現実験やっている方の条件がネイチャー論文と異なっているという指摘が複数あり、そちらの方は妥当性のあるツッコミだと感じます。
しっかりした追試でなおかつある程度の量が出るまで、早まったことは言わない方が良さそうです。
追加
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小保方晴子STAP論文画像の捏造を疑う人に批判殺到、韓国人認定も 関連
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