2013年の休廃業・解散を産業別にみると、建設業の8535件(構成比29.5%)と最も多い。建設業の倒産件数は5年連続で前年を下回り続けており、2013年は休廃業・解散が倒産の3.5倍にも達した。公共投資が拡大し、民需も住宅需要などで活況を取り戻しているが、「長引いた業績低迷で体力が脆弱化したところに、昨今の人手不足、労務費や資材高騰が重なり、先行きの見通し難から事業継続を断念したケースが増えたとみられる」(商工リサーチ)という。
次いで、飲食業や宿泊業などを含むサービス業他が6497件、小売業3991 件、製造業2857件と続く。サービス業他は、零細規模の飲食業などが多く、小売業も価格競争が厳しさを増しているという。
地区別の休廃業・解散をみると、9地区のうち北海道と東北を除く7地区が前年を上回った。増加率では北陸の29.4%増を筆頭に、四国17.6%増、中部13.3%増の順。震災の復興工事が進む東北は、前年の2200件から1768件へと約2割減ったのが目立った。
4月以降さらに増える恐れ
倒産も休廃業・解散も、圧倒的多数は中小企業であり、問題はアベノミクスの恩恵がどこまで浸透しているのか。その点で、衆議院調査局が1月に発表した企業動向等に関する実態調査(2013年11月末実施、1万493社回答)で、「アベノミクスにより貴社の業況にどのような影響が出ていますか」との設問に、「好影響があった」との回答が大企業では4割近くあったのに対し中小・小規模企業では2割強にとどまっており、休廃業などを押し上げる一因になっている可能性がある。
いずれにせよ、倒産と休廃業・解散を合計した件数でいえば、2008年のリーマンショック以降、年間約4万件の高水準が持続していることになり、商工リサーチは「中小・零細企業の実態を把握するには休廃業・解散の動向にも目配りが必要だ」と指摘している。
中小企業団体からは「円安による原材料価格の上昇を価格に転嫁できないなど厳しい状況にあり、4月の消費税増税による景気の落ち込みで、倒産も休廃業も増える恐れがある」と警戒する声が出ている。