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実は安泰じゃない地方公務員 「長時間労働&低賃金」のダブルパンチ

地方公務員といえば、仕事がラクで給料も安定している――。そんなイメージを持つ人も多いだろう。しかし、そんな「聖域」に守られていた彼らにも、徐々にコストカットの手が忍び寄っているようだ。

報道などによると、政府は公務員の給与を削減しなかった地方自治法に対して、「がんばる地域交付金」という公共事業の補助金を減らすという。

給与を減らさなかった市町村に「制裁」

12~13年度にかけて、国家公務員の給与は平均8%ほど下がっており、地方自治体にも同様の措置を求めていた。しかし13年10月の総務省調べでは、26.7%の自治体がこの削減に応じていなかった。

そこで、応じなかった自治体に対して、国は補助金を1000万円前後減らすという。新藤義孝総務相は4日にこの削減について、

「行革努力をしている市町村に加算する考え方で、ペナルティー(制裁)の意味ではない」

と説明しているが、これはあくまでも建前だろう。

実は2013年度の地方交付税は、6年ぶりに減らされており、同時に公務員給与削減の要請もしている。多くの自治体は「ない袖はふれない」ということでやむなく従ったが、拒否した自治体は財政調整基金(貯金)の取り崩しなどで賄ったという。

14年度は16兆8900億円で、さらに1700億円削減される。景気回復によって地方税収入が増えていることなどが理由とされているが、これには地域差もある。潤っていない自治体は、さらに人件費を抑制せざるを得なくなると見られる。

非正規公務員は「時給800円台」

正職員の採用を抑制し、非正規職員で労働力を補おうとする自治体も多い。自治労の最新の調査(2012年)によると、全職員に対する非正規職員の比率は33.1%。公務員の3人に1人の計算だ。賃金は時給・日給で800円台、月給で14~16万円が最多層だったという。

こうした実態には「官製ワーキングプア」との批判も強い。自治労は非正規の「処遇改善」を訴えており、今後は正規職員との待遇格差も是正されていく可能性もあるが、人件費の総額が伸びない中で、正規職員はぬるま湯に浸かっていられなくなる。

実際に、2ちゃんねるやツイッターなどでも、若い地方公務員からの書き込みが多く見られる。しかし人件費削減の波がすでに押し寄せているのか、大半は長時間労働やコストダウンに対する悲鳴などネガティブなものだ。

「5月の残業110時間…大卒県庁行政職な」
「(政令市の)公務員ですが毎日8時半出勤24時帰りです。これで手取り20万ちょいだから笑える」
「地方公務員の給料の低さ見せてやりたい。現実知らないで公務員叩きしてる奴らは事実を知る気もないんだろうけど」

ましてや、いったん地方公務員になってしまうと、よほど専門性を磨かない限り「転職しづらい」というデメリットもある。地方公務員になれば安泰という時代は、徐々に幻想となるかもしれない。

キャリコネ・企業インサイダー
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