東京電力福島第一原発事故の被曝(ひばく)で、福島県の子どもに甲状腺がんが増えるのか。結論はまだ出ず、不安は続く。

 ■がん検査、前例なく手探り

 福島県喜多方市の喜多方プラザ文化センターに2月下旬、就学前の子どもを連れた男女や、高校生が次々とやってきた。福島第一原発事故の影響を調べる甲状腺検査を受けるためだ。

 ついたてで仕切られたブースには、超音波検査器とベッド。枕元にはぬいぐるみが置かれている。母親と一緒に入ってきた4歳の男の子は、自分でベッドに横になった。

 福島県立医大の緑川早苗准教授(放射線科)が、温めたジェルを男児の首に塗ると、男児は歯を食いしばった。緑川さんは男児の首に器械を当てて、モニターを見ながら動かした。時間は2分足らず。「よく頑張ったね」と声をかけると、男児は「はぁ~」と息を吐いた。くすぐったくて、噴き出さないようこらえていたのだ。

 子ども1人につき8枚の写真を撮る。画像を県立医大に持ち帰り、複数の医師で診断する。迷う時には、外部の専門委の意見も聞く。検査結果が本人に郵送で届くのは約2カ月後だ。

 「子どもたちの被曝のことを考えると、不安が尽きない」。福島県…

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