岩手、宮城両県は、沿岸で計画する巨大防潮堤の34カ所で、高さを当初の計画よりも引き下げることが朝日新聞の調べでわかった。行政主導で建設を急いできたが、「景観を損ねる」など住民の意見を採り入れ始めた。入札不調で着工が遅れていることから住民と協議する時間が生まれ、見直しは広がりそうだ。

 東日本大震災で被災地の防潮堤は8割が壊れ、国や被災自治体は計約1兆円をかけて再建する。2011年秋に宮城、岩手両県がたてた整備計画では防災面を重視し、多くの防潮堤を震災前より高くし、最大で15・5メートルにする予定だった。

 ところが、住民から「海が見えず、逆に危険だ」などの声が出始め、住民との協議で高さを見直す場所も出てきた。岩手県では135カ所の整備計画のうち21カ所で、宮城県では275カ所のうち調整中を含め13カ所で下げる。