ラジオでレギュラー番組を持ち、人気アニメの声優を担当し、海外ドラマなどの吹き替えやナレーションにも挑む。ここまでなら声優としてくくられるが、水樹奈々(34)の営業品目にはそこに“歌手”が加わる。
もちろん先人にも、水木一郎(66)ら、声優でも俳優でも歌手でも才能あふれる人はいたが、歌手・水樹の強みは、アリーナツアーができる、スタジアムライブが開催できるまでに動員力を高めたことだ。
NHK紅白歌合戦にも5年連続出場していることが、アニメファンを飛び越え、一般への浸透度を物語っている。
声優プロダクション幹部はこう話す。
「水樹の登場以降、声優を育てる際は声の魅力はもちろん、全体的にビジュアルも非常に重視するようになった。それと歌唱力。声の仕事を取ると同時に、番組のオープニング、挿入歌、エンディングなど歌の仕事を合わせて取る風潮になってきた」
アニメソングは熱烈なファンを通じてアニメ文化の発展をけん引。今やクールジャパンのワンコンテンツだ。水樹は彼らと一緒にアニメソングを広めた、いわば解放者であり、アイドルでもある。
アイドルっぽい売り方をする以上、そろそろ自身のアーティスト生命の岐路がじわりと迫る年頃だ。だが、水樹を知る人物によると、「本人はあまり不安に思うこともないようで、『私には強い味方=ファンがいる』って。それが心強いようです」。
体力づくりには余念がないようで、腹筋は割れているといい、最近はホットヨガも始めたという。
「体にいいことは、なんでもやりますね。カレーが大好きなんですが、味もさることながら、香辛料が代謝にいいから、という理由もあるようです」(アニメ制作者)
4月には1年4カ月ぶりのアルバムをリリースし、6月からは恒例の全国ツアーに打って出る。
新しい声優像を次々に、肩ひじ張ることなく実現してきた水樹が、どんなアラフォー声優になり、結婚した上で50代、60代に向かっていくのか。第一人者の行方が気になる。