優勝力士が右手に握る大鯛(おおだい)。あのでっかいマダイは、部屋の師匠が持つ人脈の結晶だ。時に10キロを超える「力士のマダイ」は天然モノ。一つの漁協で、年に数えるほどしか水揚げされない“珍魚”だという。ところが値段はというと、「あんなもの二束三文」と水産関係者は、ばっさり。大鯛を巡るラプソディー(狂詩曲)とは……。

■各部屋が自前で準備

 大鯛は協会が手配して優勝部屋に回す、のではない。各部屋の自前だ。旭天鵬が涙の優勝を飾った一昨年の夏場所。2匹の大鯛がハレの席にお目見えせず、ひっそりと食べられた。