堺連続強殺:服役中に犯行計画書…見破れず仮釈放

毎日新聞 2014年03月08日 07時03分

 堺市で象印マホービン元副社長ら2人が殺害された連続殺人事件で、強盗殺人などの罪に問われた西口宗宏被告(52)が別の事件で服役中に強盗殺人の計画を練り、ノートに書き留めていたことがわかった。拉致を意味する「RACHI」、遺体を隠す「SHORI」など。ローマ字で刑務官の目を欺いて仮釈放され、すぐに計画を実行したという。

 ◇ローマ字で「拉致」「処理」

 大阪地裁堺支部での西口被告の裁判員裁判で初めて明らかになった。検察側は死刑を求刑しており、10日に判決が言い渡される。

 西口被告は2011年11〜12月、主婦の田村武子さん(当時67歳)と象印マホービン元副社長の尾崎宗秀(そうしゅう)さん(同84歳)を相次いで殺害、それぞれ数十万円を奪ったとして起訴された。西口被告は保険金目的で自宅に放火した事件で懲役8年の判決を受け服役、同年7月に刑期を約1年残し、仮釈放されていた。

 公判で検察側は西口被告が服役中に使ったA4ノート数冊を証拠提出。数ページには、BANK、粘着テープ、ラップなど、ローマ字と日本語の表記が混在した単語がびっしりと書き込まれていた。

 被告人質問で西口被告は「人を拉致して殺し、死体を隠す処理をした上で、キャッシュカードで金を引き出すという意味だ。刑務所の検査でばれないようローマ字で書いた」と淡々と説明した。西口被告は田村さんを車に拉致して殺害し、山中で遺体を焼いて捨てたとされている。仮釈放の4カ月後だった。

 ノートは月1回、刑務官の検査を受けていたが、犯行計画であることは発覚しなかったとみられる。西口被告は「刑務所では犯罪の話題が飛び交っていた。人を襲う発想は仮釈放の3〜4年前に出てきた」と明かした。

 西口被告の仮釈放の条件は就職活動だったが、無視していた。

 法務省の関係者は「一般論として、所持品検査でノートの記述に問題があれば消すよう指導するが、単語の意味を読み取って再犯を疑うのは難しい」としている。【高瀬浩平】

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