中国:公募社債、初のデフォルト 太陽光パネル大手
毎日新聞 2014年03月08日 21時11分
【北京・井出晋平】中国の太陽光発電パネルメーカー大手「上海超日太陽能科技」(上海市)が7日、予定していた社債の利払いを行えず、同国の公募社債市場で初となる債務不履行(デフォルト)が起きた。中国ではこれまで企業の社債や信託商品などが投資家に自力で元利払いをできない危機に陥った際、政府や銀行が市場の混乱回避を最優先し救済の手を差し伸べ、デフォルトを避けてきた。市場では今回のケースについて「政府がデフォルト容認に転換した」との見方も出ている。
今回、社債の利払いができなかった上海超日太陽能科技は世界的な太陽光発電ブームに乗り事業を拡大したが、競争激化で2011年から最終赤字に陥っていた。今回払えなかった利息は8980万元(約15億3000万円)と少額な上、同社は破綻はしておらず、社債元本が返済される可能性はあるため、市場の反応は比較的冷静だった。
今回の社債利払い不能について、中国証券監督管理委員会は「市場経済化の典型例」(欧陽沢華・上場企業監督管理第1部長)と説明。国の救済が企業と投資家にモラルハザード(倫理の欠如)を招いていると批判してきた海外アナリストらの間には「市場規律重視への転換なら評価できる」との声がある。
一方で「投資家の間で債務不履行リスクへの警戒感が高まる」(米投資会社)のも確実。今後は経営悪化企業に対する市場の選別の目が厳しくなり、資金調達が難しくなることが予想される。また、中国では正規の銀行ルートを使わない資金調達「シャドーバンキング(影の銀行)」に由来する金融商品のデフォルト警戒感も高まっており、政府は市場規律を重視しつつ金融不安は回避する難しい対応を迫られている。