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森林認証で林業経営がどう変わったか?〜国内最初の認証取得森林 |
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森の見える家造り〜森林認証で林業経営がどう変わったか? |
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現代の生活は極めて安楽で、我々の快適さへの要求は際限がないように見えます。しかし今は限られた地球資源をその自覚が無いままに求め続けている自分たちの生活を本来の豊かさと言って良いかを考える時期が来ています。悲観的に見ればすでに遅すぎるのかもしれませんが、我々は常にあきらめずに状況を好転させる努力を続ける必要があります。
自由貿易の中で日本は現在も世界中から品物を買いあさり、木材はその象徴的な品物で、以前から日本の木材輸入は一部で無秩序な森林伐採を引き起こしています。フィリピンはラワンのすばらしい森林を持っていましたが、日本の需要を満たす伐採を続けた結果、今では木材輸入国になっています。木材を伐採したことで今のフィリピンの森林地帯は貧困を脱皮したか、現状を見れば答えは明らかです。しかし、今でも日本の消費者は購入している木材が、社会的影響を配慮した生産を行っているかどうかなど知るよしもなく使っています。
世界中の木材使用の約半分は生命の維持に必要な燃料に使われています。森林の破壊は森林に依存している人々の生存を脅かすことになるのです。日本に輸入される木材は世界の木材貿易量の内20数%を占め、非常に大きな割合となります。木材は本来地球に優しい物質ですが、その生産された森林が貴重な天然林であったり、再び植林をしない管理が前提であったりする森林からの木材であれば、決して地球に優しい材料にはなりません。
これらのことを考えると、少なくとも国内の現在ある人工林の木材を有効に利用し、木材輸入量を少しでも減らして行く必要があります。WTOでも自由貿易の前提には環境、森林、労働政策等が適切に機能していることが必要であると言われています。木材貿易はより自由になりましたが、各国の森林に関わる政策は残念ながら全てが適切とは言えません。 |
このような問題を民間レベルで解決しようとする活動がFSC認証(Forest Stewardship Council)です。ドイツのボンに本部を置く国際的なNGOであり、適切に管理された森林を審査認証し、そこから生産された木材などを他の木材と混じらないように加工流通までも認証することで、FSCラベルの商品を購入すればその消費は適切な森林管理を支持することにつながる活動です。
私の経営する速水林業の森林は2000年の2月にこのFSC認証を取得しました。FSC認証取得後は、今までの販売ルートと全く違う方々から問い合わせを頂くことが多く、その上、私どものヒノキの高齢良質材が、他のヒノキ材と比較してなぜ高いかを理解して頂ける方が多くなりました。このような方々は新しい価値観を持って木材に接しているということが判ります。当然こちらもそれらの期待に応えた上に、価格に見合う物を提供する必要があります。 |
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図3 よく手入れされた速水林業の森 |
認証は現時点では特にプレミアムがつくことは無いのですが、新しい市場への参入機会を獲得する大変有効な武器となります。また、認証を取得した森林管理技術を高く評価して頂くこともあり、今後このような森林管理ノウハウの提供という新しい分野が出来るかもしれません。内部の問題としては従業員の環境意識の高まる切っ掛けになりますが、これは単に認証だけの問題ではなく、常に倫理的な行動を要求する必要はあります。
最も嬉しいことは住宅の新築や増改築、マンションの内装など施主から直接指定があったり、相談頂いたりすることです。また、林業関係者以外の人々が森林を訪れて頂くことが多くなりました。以前から年に1000人近くの見学者が訪れていましたが、最近では環境意識の高い消費者の方々が森林を直接見て、建築材を決めるという事も増えて参りました。 さて、国産材は高いと言う話が多いのですが、決してそんなことはありません。たとえば10.5cmの四角で長さ3mのスギの乾燥した柱は1本1,900円、ヒノキで3,000円、スギの集成材で2,200円、それに比較して欧州産のホワイトウッドの集成材で2,200円です。
家は一坪で1.5本から1.7本の柱を使いますから、35坪の家で多くても60本です。柱をスギに変えても安くなることはあっても、間違っても50万や100万円高くなることは無いのです。しかし住宅メーカーにとってはほんのわずかな差額や加工し易さが重要で、国産材を使いたいという施主がいても、それに対応しない事が多く、住まいを求める立場とは少々異なった判断が働いています。
もう一つ家を建てる方々にお知らせしたいことは、輸入材の材木名と本来の木の名前、そして木の性質が判らないままに使われることがあると言うことです。国産材の呼び名は、スギ、ヒノキ、マツ、カラマツなど単純で、使う場合も概ね木の性質を理解して使っています。ところが輸入材の場合は丸太の輸入が盛んだった頃、ダグラスファーは丸太の樹皮や材の表面がマツに似ていて米国から来るのでマツでベイマツ、ヘムロックは栂に似ているからベイツガでした。製品で輸入される様になると木の表面が白いからホワイトウッド、赤いからレッドウッドと呼ばれ、SPF材はなんと3種類以上の樹種をまとめて呼んでいます。困るのは建築に関わる人がこれらの関係を知る機会がないままに、性質を理解しないで値段や形状、色などで使い道を決めていくことがあるのです。
このような状況は、施主にとっては不幸ですが、それと共に使う木材とその木材が伐られた森林との関係を遠くしてしまう要因にもなっていると思います。
今後は「森の見える家造り」が大事になってきていると思いませんか?
速水林業WEBサイト http://www.chiiki-kankyo.net/hayami/ |
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