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【芸能・社会】佐村河内守さん謝罪会見 サングラスなし、長髪バッサリ…2014年3月8日 紙面から
作曲者偽装などが問題になっていた佐村河内守さん(50)が7日、東京都内で問題発覚から初めて記者会見し、「このたびは私のウソで多大なご迷惑をかけ申し訳ありませんでした」と謝罪した。聴覚については、公的検査で聴覚障害はないとの診断が出たことを明らかにした上で「音がねじれ、会話は聞き取れない」と釈明。会見も手話通訳を介して行った。また、今回の問題の発端となった作曲家新垣隆さん(43)の発言には事実と異なることがある、と名誉毀損(きそん)で訴える意向もあることを明言した。 作曲者偽装が明らかになって約1カ月。騒動となって初めて公の場に現れた佐村河内さんは、これまでの“天才作曲家”のイメージを一転させていた。スーツ姿。トレードマークのサングラスをはずし、ヒゲを落とし、長髪も短くしていた。左手には白いサポーターも、つえもなかった。 2時間半に及んだ会見冒頭で佐村河内さんは、ソチ五輪で佐村河内さん作曲とされる作品を使用したフィギュアスケートの高橋大輔選手ら関係者に向けて「深くおわびします」と頭を下げ、謝罪の言葉を繰り返した。 そして、持参した身体障害者診断書を公表。聴覚障害に該当せず、「感音性難聴」との記載があることを示した。「障害者手帳は返納しました。障害者年金を受け取ったことはありません」ときっぱりと言い放った。 「両耳が聞こえない」とされていた聴覚については「3年ぐらい前から聞き取れることもあったが、聞き取れないことがほとんどでウソ偽りはない。手話通訳はこれからも必要です」。さらに「今回のことで、手話通訳の方も私とグルと疑われ、申し訳ない」とも話した。 ゴーストライター役の新垣さんと続いてきた18年間の“密約”。佐村河内さんは「オーケストラにあこがれたが、自分では書けなかった。私が設計図を描き、新垣氏が音にしていった」。そして「私にゴーストライターがいることは妻にも誰にも話していなかった」と断言した。 注目を浴び始めたころを振り返り、「自分が制御できないくらい大きな存在となって、本当のことは言い出せなかった。いつかばれるとは思っていた」。“天才”を演じてきた後ろめたさをにじませた。 18年間、新垣さんとの報酬などを巡るトラブルはなかったという。ただ、「耳が聞こえないと感じたことはない」などと発言した新垣さんについて「彼とのやりとりはファクスと口話術、筆談だけだった。新垣氏はウソを言っている」と語気を強めて反論。ほかにも事実と異なる点があるとして新垣さんを名誉毀損(きそん)で訴える用意があることも明かした。 騒動発覚後は横浜市内のホテルを転々としていた。現在の自らを評して「全く信用がない人間」。妻に離婚を申し出たが断られたという。今後の身の振り方については、「音楽はありえない。全く考えてません。まずは関係者に謝り、田舎で自給自足の生活でもするのか…」などと話した。 ◆聴覚障害には該当せず佐村河内さんは記者の質問に即答する場面も多々あり、「本当に聞こえていないのか?」との疑念の声もあがった。佐村河内さん側とは別に手話通訳を同伴した記者が、「質問に手話で答えてほしい」と要求すると、佐村河内さんは立ち上がり、手慣れたようすで手話で応じた。 ◆発言の要旨佐村河内守さんの冒頭発言の要旨は次の通り。 私のウソで非常にご迷惑をお掛けしたことを謝罪します。障害者手帳は検査の結果、返納しました。障害者年金は一度も受け取っていない。 私が(2月に報道機関に送った)謝罪文で、3年くらい前から言葉が聞き取れるくらいまで回復したと書いたので誤解されたが、手話通訳を必要としていることにウソ偽りはない。 新垣隆氏と私の音楽の関わりは、2人だけの秘密で行われてきました。なぜこのタイミングで(新垣氏が)暴露したのか、大きな疑問。彼が「こんなことやめましょう」と何度も言ったことはありません。言ったのはただ一度、18年間でつい最近のことです。 私が内容や構成を説明してギャラを提示するが、彼は必ず首を横に振ります。私が値をつり上げると、彼は笑顔で「いいですよ」と、これが18年間の真実です。 ◆一問一答−−(五輪で自身の曲「ヴァイオリンのためのソナチネ」を使用した)高橋大輔選手についてどう思ったか 責任を感じている。競技はつらくて見られませんでした −−今の耳の状態は 音はかすかに聞こえます。私の障害は音がゆがんで聞こえる。言葉がねじれて聞こえたり、語尾の方が曲がっている感じ −−新垣氏は「ずっと(耳が)聞こえていたと思う」と言っていたが 耳に関することは新垣氏はウソを言っている −−「新垣さんがギャラをつり上げた」と言ったが、何倍までつり上げたのか ケース・バイ・ケース。楽曲の長さとか編成で委嘱料は30万円から高くて100万円 −−「音は聞こえる」と言っていたが、ドレミファソラシドなどは聞き分けられるのか 絶対音感はありませんので、相対音感で感じることはできる −−補聴器を使う選択肢もあるが、試したことは 補聴器は3つ持っている。髪を伸ばして、隠していた時期もあった −−サングラスをしていないが 自分の顔を全国のみなさんにさらして、謝罪しようという気持ちがあった −−(関連曲をつくった)被災地や、広島の被ばく者を利用したとは思わないか (そういう気持ちは)断じてない −−損害を被った関係者がいると思うが損害賠償のつもりはある ◆「むちゃくちゃな論理」告発記事執筆の作家・神山さん会見には騒動の発端となった「週刊文春」(文芸春秋)での告発記事を執筆したノンフィクション作家の神山典士さんも来場。佐村河内さんは、神山さんとの質疑では感情をたかぶらせる一幕も。会見終了後、神山さんは「謝りながら名誉毀損(きそん)とむちゃくちゃな論理」と語った。一方、新垣さんはこの日、同誌編集部を通じて「私が謝罪会見や『週刊文春』の手記で述べたことは全て真実であり、それらを変更することはありません」とするコメントを発表した。 <感音性難聴> 難聴は耳の中の原因箇所によって三つに分類され、「感音性−」は音の振動を信号に変え、脳に伝える「内耳」「聴神経」などの障害によって起こる。長時間の騒音やヘッドホンの使用などが原因のことが多く、一般的には医学的治療は難しいともされる。鼓膜を含む「外耳」から「中耳」にかけての部位の損傷などで起こる「伝音性難聴」と、その両方の障害で引き起こされる「混合性難聴」がある。 <作曲者偽装問題> 広島市出身の被爆2世で「全ろうの作曲家」としてテレビや新聞などで取り上げられていた佐村河内守さんが、「交響曲第1番 HIROSHIMA」などの楽曲を別人に作らせていたことを、代理人を通じて公表。これを受けて桐朋学園大非常勤講師の新垣隆さんが記者会見し、佐村河内さんのゴーストライターを18年間務めていたと明らかにした。佐村河内さんのCDは出荷停止に、関連書籍は絶版となり、全国ツアーも中止されるなど影響が広がっている。 <佐村河内守>(さむらごうち・まもる) 1963(昭和38)年9月21日生まれ、広島県出身。役者を目指して上京したが、一時ロック歌手として活動。その後、ゲームソフト「鬼武者」の曲が国内外に高く評価され、耳が聞こえないことを公表していたため、米TIME誌に「現代のベートーベン」として紹介される。03年の「交響曲第1番『HIROSHIMA』」で一気に注目を集め、08年には広島市民賞を受賞。今年2月に代作問題が発覚したため同賞は取り消しとなった。 PR情報
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