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【芸能・社会】

オペラの沙羅 世界へジャンプ!!

2014年3月6日 紙面から

アルバム「花のしらべ」でCDデビューした小林沙羅。当分、ウィーンと日本を行き来する音楽活動が続く

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 オペラ界の新星、小林沙羅(30)が、5日発売のアルバム「花のしらべ」でCDデビューした。多彩な活動を展開中で、各方面からデビューが待たれていた。

 昨年10月29日、東京ドームで行われたプロ野球日本シリーズ第3戦の試合前、国歌を独唱。澄んだ歌声、豊かな声量は、テレビの音声でも心に響く歌声だった。

 「トゥーランドット」のリュー、「ヘンゼルとグレーテル」のグレーテルなどオペラの舞台を踏んできた。「ナマの舞台は、そこにいたお客さんと時間を共有する、残らないよさ」にこだわり、記録として残るCDには、二の足を踏んできた。

 が、多くの人から「CDはないの?」と聞かれることもあって、次第に「今の自分を残しておくことにも意味がある」と思い、決断。すべて自分で選曲した花づくしの歌曲をピアノだけで歌い上げた。国や時代にとらわれず、いつも人の心のそばにあるいろんな花の表情をそろえることで等身大の自分を重ねたという。

 「バラ」(トスティ)は、華やかで美しさが際立つ。リヒャルト・シュトラウスは論文のテーマにしたほど好きな作曲家だが、「乙女の花」は今回のために学んだ。日本語で歌った「からたちの花」(山田耕筰)は、「昔から歌っていて、なかなかたどり着けない。これからも歌い続けていきたい曲」と言いながらも、凜(りん)とした空気が漂う。

 小さい頃から歌が好きで、17歳の時、合唱部の顧問から「いい声をしているから」と音大受験を勧められ、本格的に声楽の道に。もともと女優にあこがれ、バレエや日本舞踊を習ったり、坂東玉三郎主宰の東京コンセルヴァトリーで学んだこともある。オペラと出会ってから、「私がやりたかったことが全部ある」とのめり込んだ。

 高校時代の恩師の親友が宮城県石巻市在住だった関係で、被災地の湊小学校で音楽の授業をするなどチャリティー活動も大事にしている。NHKの復興支援ソング「花は咲く」も入れたほか、自ら作詞作曲した「えがおの花」も。震災後、いろんなことを考えた言葉にならない思いやなぜ自分は歌うのか、かぜで歌えなくなった時にノートに詩をつづったら、自然にメロディーも浮かんできた運命的作品だ。ただし、「聴いた人が自由に受け取ってほしい」。

 少女時代から詩が好きで、音楽とコラボする活動も続けている。「今までだれもやったことのないようなことをやってみたい」という沙羅。将来立ってみたい舞台は?との質問には、ちょっと間を置いて「スカラ座(ミラノ)とか言っちゃおうかな」とほほ笑んだ。28日に、東京・紀尾井ホールでリサイタルを開く。

 ●小林沙羅(こばやし・さら) 1983年5月25日生まれ。東京都武蔵野市出身。東京芸大卒、同大学院修士課程修了。在学中にオペラ「こうもり」のアデーレ役でデビュー。2011年度文化庁新進芸術家在外研修員。12年ウィーン国立歌劇場「ジャンニ・スキッキ」ラウレッタ役で欧州デビュー。オペレッタのオスカーシュトラウス声楽コンクール2位。映画「のだめカンタービレ」に歌唱出演。家族は両親と弟、犬。趣味は、散歩、料理、読書、美術館巡りなど。ウィーン在住。

 

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