私は人事・採用担当者でもなんでもないですが、就活をしているアイドルヲタはぜひ面接などの自己PRで、ヲタ活をアピールしていただきたいと思います。 なぜそう思うか、ということをヲタ活を通して自然と行われている行動で分析します。あくまで、ヲタ歴一年足らずとしての一個人の考え方ですし、私の就活は20年近く前なのでこれが就活に役立つかどうかは全くわかりませんが、参考になれば幸いです。 ・逆風かつ競争の激しい業界における販促ノウハウを知っている 元々音楽業界はCDの売上がミリオンヒットを連発していた頃ほどではなくなり、一時期はそれを配信事業が補ってましたが、配信事業も伸びるかといえばそうではなく、今ではライブ事業が支えている図式になっています。 ただ、CDそのものは、新たな販促手法により復活していると考えます。それは、客単価を上げるということ。ただ最初は客単価を上げるというと、DVDなどの特典をつける、ということが多かった気がします。 アイドルグループ界における客単価の増加策が画期的だった(と思う)のは「同一人物による複数買い」を発掘したことなんですよね。ただ、この手法はK-POPの日本盤でも行われていました(これが先鞭だった気もします)。タイプによって収録曲を分けてましたね。 つまりは、「熱烈ファン」への販促手法ということですね。熱烈ファンならたくさん買ってくれる。買いそろえてくれる。 アイドルグループにおいては「握手券」がまさに客単価を上げる、です。ヲタは握手会に参加したいから、CDを買う。いや、別に握手会参加有無関係なく同じCDを何枚も買う方はいらっしゃるでしょう。それは、CDというものが、アイドルグループを支えるツールだからです。CDにそういう定義付けを与えた(元々そう思っていた人もいたでしょうけれど)のは、アイドルグループにおける販促戦略の一つの意義だったと思います。 そういった販促の最前線にいる、ということはあなたにとって強力なノウハウを知らず知らずの間に身につけていることになります。 たとえば既に同じCDを対象とした握手会などの特典会に参加しているのに、「ツーショットチェキをプレゼント」とか新たな特典が追加されて、「えーっ、でも買うしか!」と思ってまた買い増すという経験はたぶんあると思いますが、それこそが販促ノウハウです。 ライブツアーのチケット販売前にニコ生で過去のライブ映像を配信したり。リハーサル風景を流してそこでチケット販売を告知したり、なんてのもありますよね。なにせアイドルグループも競争が激しいので、ライバルに負けじと販促も必死です。 競争が激しいので、新たな販売手法が続々と誕生しています。つまりアイドルヲタは、販促の最前線にいるわけです。たぶん追いかけていれば自分のグループや他のグループで「その手があったか!」というものが必ずあるはずです。それがまさに差別化戦略であり、競争の激しい業界に一番大事なことです。 こういう「売る」ノウハウって、非常に大事です。どの企業もモノを売ることが企業活動の基本。その最前線にいるということは、貴重なことなのです。 ・熱烈ファンの気持ちをわかっている この場合のファンというのは何もアイドルグループに限りません。 あなたがアイドルグループ以外にハマっている、大好きなものって必ずあると思います。たとえばコンビニはローソンがいい、ビールは一番絞りがいい、コーラはペプシ、チョコはガーナチョコ… 今、企業がなにより大事にしたいのはこういった熱烈ファンです。自社商品を熱烈に愛してくれる人たち。なぜかというと、そういう人たちはリピーターとして商品を何度も購入する、だけでなく、それを周りに広めようとするからです(この点については後に触れます)。 そういう熱烈ファンをいかに作っていくか。実際にあなたがそのアイドルグループにハマった過程こそがまさに、熱烈ファン誕生の過程なわけです。 注目するようになったきっかけ、ファンになったきっかけ、そしてその後熱烈ファン(ヲタ)になったきっかけ…それぞれあると思います。その過程こそが、まさに企業が熱烈ファンを生み出すノウハウとして生きてくるというか、実体験を生かせるわけです。なによりあなたは熱烈ファンの気持ちをわかっているのですから。 たとえば他にも似たようなグループはたくさんいるのに、このグループを推そう、この子を推そうと思ったきっかけ(いわば運命の出会い)というのは必ずあるはずです。そのきっかけを、逆に今度はあなたが企業に入ることで生み出せるかもしれない。きっと面接官はそんな期待を抱くと思います。 ・お金の使い方を知っている ヲタ活をする上で大事なのは、バランスです。当然収入には限りがあります。バイトしている学生の方にはなおさらです。好きなだけ、つぎ込むだけつぎ込めるというわけではありません。極力ヲタ活にお金をかけつつなにかを削減するということになります。 そこでヲタの方が非常に詳しいのは、遠征ノウハウ。格安高速バスの使い方、そして交通と宿泊がセットになったツアーパックの活用、LCC…たとえば何日前に申し込めば何%OFFとか。そういうノウハウはみなさん非常によくお持ちだと思います。 ただ単にお金を使うだけではない。切り詰めるところは切り詰めている。要はいかに浮いた分をアイドルに対してつぎ込むか、ということなわけですが、使う一辺倒ではなく切り詰めるところは切り詰める、という配分、収支のバランスを取っているというのは大事なことだと思います。 ※借金までしてヲタ活している人って基本的に聞いたことがないので。 あと、最近個人的に思ったのですが、お金というのは経済活動への参加券なわけです。そして、アイドルの追っかけにお金をつぎ込んでいるということは、積極的に経済活動に参加しているということです。それも、日本国内の。あなたがつぎ込んでいるお金は、たとえば海外に長期滞在した人よりは国内につぎ込んでいるわけです。それはつまり日本の経済の仕組みを知っている、いつの間にか関わっているということです。遠征ノウハウで言えば、格安高速バス、LCC、ツアーパック…追っかけをしているからこそこの存在を知り、活用しているわけですよね。これは大きいです。 あと、たぶんヲタの方はたとえばCD1枚を1000円とすれば「1000円あれば握手券一枚だな」と通貨を脳内変換すると思うんです。そういう話って面接官には新鮮な発想なので受けると思います。 ・情報収集力 上記にもつながりますが、結局は情報収集力なんですよね。アイドルグループの最新情報、といってもそれはリリース情報とかだけではなく、急遽決まったイベントの情報とか、テレビラジオ雑誌WEBの出演情報とか、欠かさずチェックしてますよね。それはツイッターを使ったり、友人とLINEしたり、等々。結局は追いかけたいから、イベント情報とかは漏れのないよう全てフォローするわけです。つまりは情報収集術に長けているということです。 それはなにもアイドルだけにとどまりません。先ほど述べたような旅行術。新たに登場した格安切符とか、とかくお金のかかる遠征に欠かせないそういう節約術も、しっかり追いかけているわけです。 よく日経トレンディにある企画ですよね、こういう旅行節約術。アイドルヲタはそれを身をもって実践しているんですよ(笑)。 ・営業力と宣伝力 ヲタの方は同時に他の人も巻き込もう、ヲタを増やそうともしていると思います。好きなアイドルグループのヲタが増えれば、それだけCDも売れ、ライブに来る人も増え、結果的に売上を増やすことでアイドルグループを支援していることになります。 そのために何をするかというと、たとえばそのアイドルグループのツイートをRT等拡散したり、ツイッターを活用しているわけです。今の時代、SNSによるマーケティングは欠かせません。ツイッターによる拡散こそが何よりそのアイドルグループに興味を持ってもらうツールですし、どうやったら拡散されるか、といったことも身をもって体験しているわけです。 他にも、フェスとかで他のアイドルグループのヲタの人に「こっちも宜しくお願いします!」と言ってCD配ったりしてますよね。それはまさしく営業力です。そしてたとえば友人とかを連れてきたりして彼もヲタになってくれたら…営業でいえば @他のアイドルヲタや知人へのCD配布等、売り込み=チラシ配りや飛び込み A興味を持ってくれた=見込み客の獲得 BAでリリイベ等に足を運んでくれた人へのフォロー=アテンド CCDやライブチケットを買ってくれた=受注 Dその後何回も足を運んでくれるヲタに育った=お得意様 これをそのまま車の営業で言えば @街頭でのチラシ配りやポストへの投函、DM発送 A電話やメールでの問い合わせが来る Bその人がショールームに足を運んでくれたのでお出迎えとフォロー C購入してくれた Dその後買い替えたり、知人にも勧めてくれた そう、ヲタは営業マンであり、宣伝マンなんですよ。 ・握手会で培われたコミュニケーション力 握手会で推しに話すネタって、たぶん最近のツイッターやブログのこととか、メディア出演の感想、そしてその推しの興味のあることの関連話とかすると思うんですよ。いや、別にそうでなくても、「今日のライブよかったよ」とかそういう話もすると思うんです。 結局は握手会で楽しい時間を過ごしたいからですよね。推しに喜んで欲しい=自分のことを覚えて欲しい、そしてそれによって自分も喜ぶ… これこそコミュニケーション力です。もちろんメンバーによっては、とか、日によっては塩対応となることもあるでしょう。でも、そういうときにいかにそれを回避するか。塩の時はどうしたらいいんだろう、そんなノウハウも自然とたまってくるのではないでしょうか。 相手が塩の時でも少しでも楽しくしようとする。それこそまさに大切なコミュニケーション力です。あと、当然初めて行った現場で握手会デビュー、なんてこともあるでしょう。それはいわば新規への飛び込み訪問みたいなものです。そんな状況でもあなたはきっと、楽しい握手会にしようとすると思います。たとえば、そのメンバーが好きなマンガのグッズを持って行くとかして、覚えてもらおうとしますよね? つまり、相手の心に残るようにする。それも立派なコミュニケーション力です。 ・なにより「人を想う」 アイドルヲタの方々を見て感じたのは、推しという「人」をなにより愛しているということ。恋愛感情だけじゃないんですね。まあ恋愛感情だからこそ、その人を心から想うようになるのかもしれませんが。 今日あの子調子悪そうだな…とか、MCでもなんか元気ないな…とか、追い続けていれば推しに対して誰しも抱く感情だと想います。それはつまり、その人のことを想っているわけです。で、調子が悪いから今日は握手会ではあまり話さないようにしよう、とか、いろいろ考えるじゃないですか。他にも、その子の地元の凱旋公演だから盛り上げに行こう!とか。 それって何より人のことを想っているわけです。 ・無名なグループのことこそ語れ! 面接で何が大事かというと、別に話の中身とかではなく、要はその中でどれだけ自分を出せるかということと、そのためにいかに会話が盛り上がるかということ。 面接官は話の中身というよりは、それを話しているときのあなたを見ているのではと思います。だいたい人というのは見た目でだいたいは想像がつきますし、口を開いて少し話しただけで「こういう人だ」と思います。面接官は話の中身ではなく、あなたという人を見ています。 どんなにすごいエピソードの話をしたところで、それが採用につながるかといったら必ずしもそうではないと私は思います。たとえば0円で世界一周したとしましょう。面接官はその中身ではなく、どういう経緯、きっかけでそれをしようと思ったのか、が、むしろ聞きたいのではと思います。それをするにいたった経緯に、その人、というのがよく見えるからです。 だから、大事なのは話の中身ではなく、その中にいかに自分というエッセンスを振りかけるか、です。 そしてまた、面接官もいわば握手会におけるメンバーと同じで、たくさんの人と、流れ作業のように面接を行っています。ある意味似たような人ばかりと話すわけです。握手会だって基本はそのアイドルに興味があってCDを買った人が並んでいるわけです。面接も、その企業に興味があって受けに来た人。一緒です。そしてもちろん塩対応の面接官だっているわけです(笑)。 そうなったときに大事なのは、他の人といかに違いを出すか、ということ。「あ、なんか変な人来た」。これだけで他とは違うインパクトを残せます。面接官も、似たような話をたくさん聞いているわけです。学生時代に思い出に残ったことは?あー、また海外旅行の話かあ…とか。 そんなときに「僕はアイドルグループのヲタやってました!」と言えば間違いなく「変な人来たな」と思うでしょう。ただ、それは必ずしもマイナスイメージにはならないと思います。というよりそれがマイナスイメージになる会社だったら、あなたには合わない会社ですし、仮に就職したとしても、ヲタである自分を受け入れていない会社なので絶対後々合わないことが出てきます。 ありのままの自分を受け入れてくれない会社に勤めることほど苦痛なことはありません。たとえば自分を偽って結婚したとしても、絶対ボロは出てきますから、相手が「こんな人じゃなかったのに」と思って幻滅します。それと同じです。 で、ヲタとしての自分を語るときにぜひやって欲しいのは、自分が本当にハマったアイドルグループの名前を出すこと。これは有名なアイドルグループである必要は全くありません。たとえば「アプガだなんて言っても相手はわからないだろうな」と思う必要はないのです。「私はアプガヲタです」と言えば「アプガって何ですか?」と確実に聞いてきますよね。そこで会話がスタートし、あなたの思い入れを語れるわけです。 本当にハマっている=思い入れがあるわけで、たくさん話せますよね?まああまりたくさん話しすぎても、面接にははがしはいないのでそこは自分で時間の判断の見極めが必要ですが(笑)。そこでアプガの魅力を10分も話したところで採用に近づくとはとても思えません。とはいえ、無口な人よりはたくさん話す人の方が印象はよいと思います(そうじゃない企業もあるかもしれませんが)。 あと、たとえば「私はももいろクローバーZのヲタです」より「私はモノノフでした」と言った方が、面接官は「え?」と思います。「モノノフってなんですか?」と確実に聞いてきますよね。これが大事なんです。要は、いかにツッコミどころを与えるか、なのです。 これは別にアイドルグループの話でなくてもいいのですが、面接において一番自分がアピールしたいこと、思いを伝えたいことを必ずしも相手が聞いてくれるわけではありません。そこは自分でツッコミどころやネタを用意しておくというか、会話の中で必ず聞かれるようにしておくことが大事です。 ・最後に 面接という数分の中で自分を出すというのは本当に大変です。 でも、それは数秒というもっと時間の限られた握手会で、みなさんは経験してますよね?みなさん、握手会で、いかに自分を出すか、つまり自分を覚えてもらうか、いろんなことを考えているわけですよね? それに比べたら、面接なんて全然長いわけです。はがしもいません。そう考えると、少しは気が楽になるのではないでしょうか。 握手会も面接も、要はいかに相手に「自分を残すか」ということです。では、どんな自分を残したいか?だったら、自分が一番夢中になっていたことをアピールした方がいいわけです。 たぶんヲタ同士で話しているときに、推しの魅力とかを話しているときの人の目ってものすごく輝いていると思うんですよ。その姿って、どこか微笑ましく感じると思うんですよ。つまりそれは、あなたが同じことを面接官に話しているときは目が輝いているということです(痛いと感じるときもあるかもしれないけれど)。 今回書いていて思ったのですが、アイドルヲタはとにかく人と人との輪の中にいるんですよね。ずーっと家に引きこもっている人(在宅ヲタという意味ではありません)よりは、全然外部との接触があるわけです。いろんな人と関わるわけです。そしていろんな人を想うわけです。それは同時にお金を使うことで得られるものでもあったりします。お金を使うことで経済活動に積極的に関わることで、自然と身についたものがある、ということです。 就職活動ということはイコール企業への就職なわけです(弁護士とか目指している人にヲタ活が役立つかどうかはわかりませんが 笑)。企業とは、経済活動を行っている組織なわけです。 そして、就活ではとにかくありのままの自分を出すことを意識してください。絶対に自分を偽らないでください。自分に合わないキャラを演じても結局ボロが出ます。それはたぶんいろんなアイドルグループを見ていれば気付くことかもしれないですね。「アイドルヲタか〜」と言って不採用にするような企業に、自分を偽って入ったところで後々苦労します。握手会で自分を偽ったとしても絶対ボロが出ますよね?(笑)。たぶん握手会って自分の素の姿が出ていると思うんです。推しの子が好きだ、という素の姿が。 だから、ヲタ活はやっぱりいろんな意味で自分を成長させていると私は思います。就活に限らず。 そして、ヲタの方には面接でぜひ最後にこれを言っていただきたい。 「僕はアイドルを追いかけていたのではありません。アイドルという一人の人間を追いかけていたんです。」 みなさん頑張ってください! |
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