Mt.Goxの破産によって仮想通貨「
Bitcoin(ビットコイン)」が一躍世間の注目を集めていますが、ビットコインの発明者である謎の人物「
中本哲史」は一体誰なのか?という謎解き競争もますます盛んになっています。そんな中、中本哲史の最有力候補が発見され、現在、取材攻勢を受けています。なお、この人物の本名は「ナカモトサトシ」です。
The Face Behind Bitcoin - Newsweek
http://mag.newsweek.com/2014/03/14/bitcoin-satoshi-nakamoto.html
There is A Bitcoin Car Chase Underway - Business Insider
http://www.businessinsider.com/there-is-a-bitcoin-car-chase-underway-2014-3
中本哲史が誰なのかはビットコイン最大の謎で、世界中でサトシ捜しが行われており、アメリカだけでも本名が「ナカモトサトシ」である複数の人物が「ビットコイン発明者である」と名乗りを挙げています。しかし、そのほとんどの人物がまったくビットコインにつながる証拠がない中で、ある一人の人物だけが、ビットコインに大きくつながる背景を持つことが分かっていました。
この人物は、Dorian・S・Nakamoto氏で、1973年にロサンゼルスの地方裁判所にファイルされた帰化人名簿によると、1949年7月に大分県・別府で母のアキコさん(現在93歳)の長男として出生。両親が離婚した後、1959年に母・弟とともにカリフォルニアに移住、23歳のときにカリフォルニア州立工芸大学を卒業し、そのときに本名をナカモトサトシから「Dorian・S・Nakamoto」に改名したとのこと。それ以来、40年以上、ナカモトサトシという名前は封印されていましたが、ビットコインとともに再び世に現れたようです。
Newsweekのリア・マグラース・グッドマン氏は、「Dorian・S・Nakamoto」の存在を発見して以来、2カ月にわたってNakamoto氏を調査し、彼の兄弟や子どもたち、元・同僚、ビットコイン草創期に関わったプログラマたちに取材をした結果、Nakamoto氏がビットコインの「中本哲史」であるとの確信を得たとのこと。
その取材によると、Nakamoto氏は、現在、カリフォルニア州ロサンゼルスに住んでおり、定職に就いているかは不明。しかし、大学卒業後は、カリフォルニア州南部にある航空関連会社Hughesエアクラフトに就職して技術者として働き、Hughesエアクラフトを退社後、東海岸へ移住し、ニュージャージ州のRadio Corporationへ就職、そこで二番目の妻であるグレース・ミッチェルさんと知り合い結婚したとのこと。また、防衛機器を政府に納入している
L-3 Communicationsのデービッド・ミーヒャCEOから「Nakamoto氏と軍・政府の航空機・軍艦に関連する仕事を行ったことがあるが、詳細については機密情報なので話せない」という回答を得たということです。
Photobucketに投稿されているNakamoto氏の写真。
政府関連の仕事をしていたことが明らかになっているNakamoto氏ですが、現在、Nakamoto氏と別居中の妻ミッチェルさんによると、1990年代に2度解雇されたことがあり、そのときに税金の滞納が原因で抵当に入れられていた自宅を差し押さえられた経験があるそう。また、Nakamoto氏の長女のアイリーンさんはNakamoto氏が政府や銀行に対してよい印象を持っていなかったと話しています。
グッドマン氏は、当初、Nakamoto氏の趣味である鉄道模型に関するメールを送りやりとりすることで接触を図ろうと試みました。鉄道模型についてはNakamoto氏は非常に饒舌(じょうぜつ)で、数学・物理を学んだ経験があること、日本やイギリスから模型のパーツを買い集めていること、自分を「オタク」と称しているなどについて熱く語っていたものの、グッドマン氏がビットコインを話題にしたとたん、メールは返ってこなくなったとのこと。
そこでグッドマン氏はNakamoto氏の自宅を直撃しコメントを求めました。コメントを拒否したNakamoto氏との騒動を聞きつけて警官二人が駆けつけ、グッドマン氏に「あんた、彼に何を聞きたいの?」と尋ねたため、「私はビットコインについて聞きたいのです。この人が中本哲史です」と応えると、警官は「何!?この人がビットコインの生みの親だって?見たところ、つつましい生活をしているように見えるけれど……」と驚いたとのこと。警官とのやりとりの間、うつむいたまま質問を拒絶するNakamoto氏の姿が非常に印象的だったそうです。
Nakamoto氏の自宅。
直撃取材は拒否されたグッドマン氏でしたが、その後、警官からNakamoto氏がビットコインプロジェクトに関わったことを認めた上で、「もう関係していないから議論することはできない。ビットコインは私の手を離れた」と話したことを聞いたそうです。
グッドマン氏は、他にもビットコイン草創期にビットコインコミュニティに参加したプログラマを取材して、そこから中本哲史の人物像を調査しています。その一人、オーストラリア人のガヴィン・アンドルセン氏は、ビットコインが一般公開される前から、1年間ほど週に40時間を費やしてビットコインのプログラムコードを洗練する作業に携わりました。当時、中本哲史と毎週コンタクトをとっていたアンドルセン氏でしたが、その頃から中本哲史は自分の匿名性を守るのに必死だったそうで、名前、出身、専門職、過去の経歴など一切の情報を明らかにせず、会話はプログラムコードを通じてしか成り立っていなかったとのこと。
アンドルセン氏は中本哲史が政治的な理由でビットコインを作ろうとしているという印象を受けたそうで、「中本哲史は、今日ある銀行などの金融機関が『鍵』を握ることで富を得ている金融システムが好きではなく、より平等なシステムを作りたいと考えていました」と話しています。なお、ビットコインを保有したことのあるアンドルセン氏は、投資した1セント(約1円)から800ドル(約8万2000円)のリターンを得たそうで、そのことについて「insane(常軌を逸している)」という感想を漏らしたとのこと。
グッドマン氏がNewsweekで「
The Face Behind Bitcoin(ビットコインの生みの親の正体)」という記事の中で「中本哲史はNakamoto氏である」と報じたことによって、Nakamoto氏の元には取材陣が殺倒することになりました。
BuzzFeedが撮影したNakamoto氏の様子は以下のムービーから。
取材攻勢は白熱しており、愛車のプリウスで逃げるNakamoto氏と取材陣のカーチェイスが繰り広げられ、最終的にNakamoto氏はビットコインとのつながりを否定したとのこと。