メダルが全てではない、でも「メダルなんか」でもない 私たちが受け取ったもの(安積咲) <ソチ五輪コラム>
冬季五輪が終わりました。フィギュアスケート競技に於いて、ショートプログラムで16位という絶望にも近い状況に立たされながら、翌日のフリースケーティング3位という驚異的な結果を出した浅田選手は、その奇跡のような演技で日本中を感動させていました。メダルは得られなかったものの —— いえ、メダルに関係なく、ここまで日本中を熱狂させた選手の存在を、私は他に知りません。(安積咲)
○バッシングの通例を覆した
この五輪の前に、「メダルを逃した選手は税金泥棒か」などという、聞くに耐えない議論がネットで巻き起こりました。以前は好成績を収められなかった選手に対し、心無い批判が浴びせられる事もありましたし、そんな過度なメダルへのプレッシャーや評価が選手を追いつめかねないと、懸念する声もありました。
しかし、今回の浅田選手に対し、その成績を批判する報道はまず見当たりませんでした。新聞や雑誌には彼女の笑顔と、その演技を讃える見出しが並んでいます。テレビ番組も同様です。浅田選手の人気と実績を十分に認識していたとはいえ、この変化に私は驚きました。表向きはメダルだけが結果ではないと語られていても、人々の関心は成績上位者に向けられる、それが普通だったと思います。でも浅田選手は、そんな通例を覆して見せた選手、と言えるかもしれません 。
こんな変化が今後も、他の競技や選手たちへも続けばいいと思うのですが、私には一つ気になる点がありました。浅田選手の競技内容に感動しているワイドショーやゲストコメンテーターの何人かが、「メダルよりも価値のある」や「メダルなんか」といった言い方をした事です。
確かに彼女の演技は歴史にも残る好演技でした。確実に世界中の多くの人たちの気持ちを揺り動かした演技でした。でも、メダルを得た演技にもメダルを得るだけの、意味と価値があると私は考えています。それを軽んじるような言い方が過剰になることに、違和感を覚えます。浅田選手の演技や精神力に深く感銘し、讃えたい気持ちが迸るあまりに「メダルよりも」とつい口にしてしまう。それも分からなくはないですが、それは結局順位にこだわり、逆の格付けを課している事にはならないでしょうか。
今回のフィギュアスケート女子の後半グループ選手たちには、ミスの少ない素晴らしい演技が続出しました。それぞれの選手のベストに近い演技が続き、この五輪でパーソナルベストを更新した選手もいました。そんな中で得られたメダルには、やはり相応の価値があり、それぞれの選手たちの努力や栄光が込められていると思います。
私は前のコラムにも書かせていただいたように、鈴木明子選手への思い入れが特に強く、順位に関係なく彼女の演技を愛おしく思ってきましたが、それでも試合毎の結果は結果です。メダルに届かなかった試合でも、「メダルよりも」という言い方はしないようにしたいと思ってきました。メダルや順位が関係ない演技に感銘しているからこそ、メダルを得た演技や選手に対する敬意を忘れないようにしたいのです。メダルを得た演技にも、そうではなかったけれども人の心を掴んだ演技にも、それぞれ価値があったのだと伝えるような報道なら、これまでの報道ぶりとの変化をもっと嬉しく受け入れられたと思うのです。
そんな五輪のフィギュアスケート報道の中で、冷静に選手たちの演技を解説していたのが、この五輪の前に現役を引退したばかりの安藤美姫選手でした。
○かつて、ひどくバッシングされた
競技前、多くのメディアが浅田選手のメダルを煽り、そのライバル選手となる数人の選手ばかりをクローズアップさせた取り上げ方が多かった中で、安藤選手は出来る限り、多くの選手へ言及するよう気を配っていました。派手な大技ばかりを必殺技のように目立たせようとするテレビのワイドショーの中でも、演技構成上何が難しいかというネガティブな指摘を恐れず、誤解のないよう丁寧に説明していました。その上で、各選手の良い持ち味についてもコメントすることを忘れませんでした。日本選手に焦点を絞らせがちな流れの中でも、国に関係なく「どの選手も素敵な演技をしますので」と発言し、より多くの選手を見てもらいたいと強調しました。競技中には、自身のツイッターで、ほとんどの選手の演技への簡単な解説や、愛のこもったメッセージを、リアルタイムで送っていました。
そして競技結果が出た後も、その冷静な指摘は変わりませんでした。感動に盛り上がるテレビのゲスト出演者の中で、一歩間違えれば視聴者からの批判にもつながりそうな、浅田選手の演技内容での不完全な部分への指摘もしっかりと伝えていました。それは批判ではありません。ただ事実を伝えた上で、その挑戦と、成し遂げられた素晴らしい演技には、強く賛辞を贈っていました。その上でもちろん、全ての選手の健闘を讃え、長く共に戦ってきた日本の選手たちへのエールも忘れていませんでした。
これは、安藤選手が長く、メディアの煽りや批判を受けてきたからこそ、できることなのかもしれないと、私は感じました。
安藤選手は、8年前のトリノ五輪で、今の浅田選手とは対極の扱われ方をしてしまった選手だと言えるでしょう。
競技前に、4回転ジャンプでのメダルを有力視され煽られたものの、最終成績は入賞にさえも届きませんでした。荒川静香選手の金メダルが賞賛される陰で、多くの批判が彼女に向けられました。4回転への挑戦は失敗に終わり、それでも「楽しかった」と発言した彼女に、酷い誹謗中傷も浴びせられたのを覚えています。「あんな失敗をして楽しいなんてふざけている」と、いわゆる「税金泥棒」のような批判も集まりました。よく競技人生を続行できたと思うほど、そのバッシングは酷いものだったと、私は感じていました。
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