2014年3月7日00時02分
聖光学院編では、卒業生43人に登場していただいた。開始以来、予想を上回る反響があり、中でも多かったのが、様々な分野で活躍する異能なOBの紹介だ。最終回ではその中から、5人の学生時代を振り返る。
アラブ首長国連邦(UAE)ドバイの不動産開発大手ナキールでプロジェクトディレクターを務める中田光和(64、1968年卒)。初代校長の故ブルーノ・カロン、英語を教わったトマス・トランブレらカナダから来た教師との6年間が印象に残る。「国籍、人種、文化は違っても人間の本質はみな同じと教わった」。世界経済の浮沈にもまれ、都市開発が進むドバイで、多国籍企業を相手に大型案件を手がける。
ニューヨークを拠点にするフォトジャーナリスト常盤武彦(48、84年卒)。高校時代、ジャズピアニスト山下洋輔のエッセーに興味を持ち、学校に隠れてジャズクラブやジャズ喫茶に出入りした。もっと究めたいと、国内の大学からニューヨーク大へ。卒業後、撮影にインタビューにと、本場でジャズシーンを追いかける。「中学時代から校内にカナダ人ブラザーの先生たちがいた。外国人にも気後れしないのは、その頃の経験がベースにあるから」と話す。
常盤と同期の楫野(かじの)圭一郎(48、84年卒)は、兵庫県宝塚市でカプリ島やアマルフィなど南イタリアに特化した旅行会社を営む。思い出すのは入学式。講堂への入場と同時に吹奏楽部がエルガーの「威風堂々」を演奏した。今も続く聖光の伝統だ。楫野はそのとき「新しい世界に踏み込むんだ」と感じ、その思いが鮮烈に残る。「今でもあの曲を聴くと『よっしゃ、頑張るぞ』と思う」。大学卒業後、技術者として勤めたキリンビールを02年に退職。旅行業界という異なる世界で活躍を続ける。
作家で経済評論家の大塚将司(63、69年卒)は文芸グループに所属して短歌などを作っていた。日本経済新聞社時代、三菱銀行と東京銀行の合併をスクープし、新聞協会賞を受賞。現在は経済、金融、メディア論などをテーマに幅広く評論活動をしている。2006年に卒業後久しぶりに同期の日本画家山本直彰(63、69年卒)と出会い、意気投合。今、自身の著書の装丁を依頼する仲だ。その山本は1年の時は軟式野球部、2年から美術部。教師にも仲間にも恵まれたという。今は武蔵野美術大学で日本画を教えている。
キリスト教精神に基づき、攻めの教育で進化を続ける聖光学院。今年10月には新校舎が完成し、新しい歴史を刻み始める。
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聖光学院は今回で終了です。故人を含め敬称を略して紹介しました。佐野憲太郎(東京・学習院高等科)と佐藤太郎(岩手県立一関第一高校)が担当しました。
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