自転車事故:防止には自転車レーンが効果 栃木

毎日新聞 2014年03月07日 10時00分(最終更新 03月07日 10時24分)

青色に塗装された自転車レーンを走る学生たち=宇都宮市内で2013年12月25日午後2時25分、松本晃撮影
青色に塗装された自転車レーンを走る学生たち=宇都宮市内で2013年12月25日午後2時25分、松本晃撮影

 自転車事故率1、2位が続く香川県とは対照的に、栃木県の順位は2008〜12年の5年間で23位から28位に改善した。人口10万人当たりの死傷者数は97.2人から65.2人に減り、減少率は32.9%と全国平均(19.1%)を大きく上回る。その理由を探ろうと宇都宮市を訪ねた。

 「早くから自転車政策に取り組み、自転車専用通行帯(自転車レーン)などで車道走行を促した結果ではないか」。市の自転車計画策定に携わった古池(こいけ)弘隆・宇都宮共和大教授は解説する。

 人口51万余の宇都宮市は、00年国勢調査によると、自転車を主な交通手段とする人が20%いて、全国平均の15%より高い。市は03年度から自転車利用・活用基本計画に基づき、自転車用走行路の整備に取り組んだ。特に力を入れているのが、左側一方通行となる自転車レーンを車道の両側に設けることだった。歩行者や車と分離され、安全性が高いとされる。

 森本章倫(あきのり)・宇都宮大教授らの研究によると、06〜09年に利用が始まった市内の自転車レーン13路線のうち12路線で事故減少の効果があった。12年度末現在、栃木県内の自転車レーンの総延長は115キロで、2位の神奈川県(36.3キロ)を引き離して全国トップだ。

 ただ、全国的に見ると、自転車レーンの整備はハードルが高い。「駐停車ができない」と沿道住民が反発したり、自転車の車道走行に危機感を抱いた警察が慎重になったりするケースもある。それでも、市道路保全課の窪田靖係長は「歩行者や自転車の安全確保には、歩道上に自転車を混在させるより自転車レーンの方が良い」と強調した。【馬場直子】

 ◇都道府県別の自転車レーンの総延長(キロ)

 (2012年度末現在、警察庁調べ)

栃木  115.0

神奈川  36.3

長野   22.2

福島   22.1

東京   14.0

埼玉   12.5

千葉   10.2

静岡    9.2

福岡    6.6

京都    5.8

宮城    5.1

愛知    3.3

山梨    3.1

茨城    2.9

石川    2.6

島根    2.5

兵庫    2.4

福井    2.2

宮崎    2.2

秋田    2.1

岡山    1.9

広島    1.8

岩手    1.7

三重    1.6

大分    1.4

鹿児島   1.1

山形    0.8

鳥取    0.7

愛媛    0.5

山口    0.5

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