千葉県柏市JR柏駅近くの住宅街で、3日深夜2人が死傷した連続通り魔事件は5日、殺人事件現場から20メートル付近に住む李聖寿(イ・ソンス)通名:竹井聖寿(せいじゅ)容疑者(24)(自称無職)が強盗殺人容疑で逮捕され幕を降ろした。
李容疑者は捜査関係者に「感情が高ぶった」「金を取る目的で刺した」などと供述。素直に容疑を認めているという。しかし事件の翌日、報道陣に「犯行の全てを目撃した」と臆面も無く証言していたのは、他でもない李容疑者本人だった。
李容疑者は饒舌に報道に応じ「実はビデオに撮っていたが、証拠の流出になるので報道関係者に渡すのは止めて欲しいと警察に言われているので、今は出せない」などと虚偽を報道関係者に証言した。「そんな事は聞いてないし、話してもない」というやり取りが報道関係者と捜査関係者の間であった。
実際、お粗末な茶番劇ではあった。李容疑者の証言を、鬼の首を取ったが如く勢いよく報道して、まんまと騙された格好になった三頭身の報道陣であったが、報道陣に思わず口走った竹井容疑者の嘘と矛盾した証言により、捜査線上に李容疑者が浮かび上がったとも解釈できよう。
家宅捜査により、自宅マンションでは会社員の池間(いけま)博也さん(31)を殺害した凶器なども発見され、結果的に事件の早期解決となった。
これが自宅マンションの一階に住む31歳会社員を殺害し、4人の男性を次々と襲い傷つけて、金品を強盗した基地外通り魔男(24)の幕引きなのか。
「チェックメイト」
警察に任意同行を求められると、李容疑者はそう呟いた。
チェスで「詰み」を意味する「チェックメイト」だが、李容疑者は何を言おうとしていたのか。
あたかも連続通り魔事件は、ただのゲームだったとでも言いたげな李容疑者は、警察に任意同行された際、報道陣に向かい何かを伝えようと必死に叫び続けた。
虚偽証言といい、李容疑者は最初から最後まで何かを必死に演じているようだった。
しかし、李容疑者のチェスの代償はあまりにも大き過ぎた。
自称無職の李容疑者のバカなチェスに付き合わされた挙句の果てに、殺されてしまった31歳の会社員の命は、もう二度と帰ってこないからだ。[峰 不二子]