海外の消費者心理学の専門家が語る、WEBサービスをユーザーの習慣の一部にする方法[後編]
7 3月
グロースハックの必須分野である消費者行動心理学の専門家、Nir Eyal氏が提唱する、「hooked」というモデルは、ユーザーがついそのプロダクトを使ってしまうという”習慣”を形成するための理論であり、オンライン、オフライン問わず、さまざまなサービスに応用できる。
前回、前編として彼の「hooked」モデルを紹介したところ、大きな反響を頂いたが、今回はその後編。
1000回以上シェアされた前回記事はこちら
「hooked」モデルのおさらい
「hooked」モデルとは、WEBサービスがユーザーの習慣の一部になる際には”あるパターン”があることに着目し、それを以下の4つのステップに分け、その他の様々なサービスに応用可能にしたモデルである。
「hooked」モデルの4つのステップ
1,トリガー・・・内的トリガーと外的トリガー
2,アクション・・・次のリワードに対する、シンプルな行動のこと
3,リワード・・・今回説明
4,インベストメント・・・今回説明
3つめのステップ:リワード
OldsとMilnerという2人の学者が、マウスの脳の中の一部に電流を流して刺激し、それが行動にどのような影響を与えるかという実験を行った。
その結果、マウスは目の前にあるボタンを押すのを辞められなくなったという。
これはその後、人間に対する実験でも同様の結果が得られた。
ここから分かるのは、脳の一部に、刺激をもとに行動に影響を与える部分があるということだ。
そして、2人の心理学者による更なる研究の結果、以下の3つの事実が分かった。
1,刺激を与えるために電極は必要ない。
2,その行動を辞められなくなるのは、心地良い刺激が得られるだけでなく、ストレスを弱めることができるからだ
3,実際に物を得た際に脳が活性化するのではなく、”得られそうだ”と予想することで活性化する
特に3の事実が重要で、人間は”分からないこと”に対して、強烈な魅力や刺激を感じて、それが実際の行動にも強く影響するのだ。
したがって、WEBサービスも、「次に何が起こるか分からない。ワクワクする!」という状態をつくることで、ユーザーに行動を起こさせることができるのだ。
習慣化を促すWEBサービスにおける3タイプのリワードをNirが提示してくれたので、紹介する。
1,ソーシャルリワード
2,ハントリワード
3,セルフリワード
1,ソーシャルリワード
他人とのやりとりからくる、この先どうなるか分からないという要素によるリワード。
例えば、Facebookで投稿した際に、その先に何を知ることになるのかは分からない。
何人の人がいいね!してくれるか、コメントをくれるのかなど分からない。
2,ハントリワード
人間は本能的に、狩猟、つまり探すという行為が好きだ。
ハントリワードとは、より多くの情報を自分で探していく、というリワードだ。
Twitterを例に説明してみよう。
タイムラインをさかのぼって見るときに、「これはつまらない、次もつまらない、3つ目は面白い!」という行為を我々はしているはずである。
3,セルフリワード
自己マスタリー、極めていくことに関連するリワードのこと。
例えば、ビデオゲームを一人で遊んでいるとする。
次のレベルにアップするためにレベル上げをするという行為は、自分が物事を極めていく、コントロールする、という意味でセルフリワードである。
私は、テレビゲームをやらないって?
実はみんなある”テレビゲーム”をやっているよ。
“メールボックス”で。
受信ボックスを毎日確認しては、未読をなくしてますよね。
これは自己マスタリーと全く同じです。
※注意事項
これら3つのリワードは、ユーザーのかゆいところに届くものでなければ機能しない。
例えば、ポイントやバッチをあげるても、ユーザーが喜ばなければ意味がない。
ユーザーがそのリワードを得るためにWEBサービスに訪れる、その中で、もっとそのリワードを得たいと思わせることが重要。
4つめのステップ:インベストメント
これは、ユーザーがシステムの中にあるものを投入して何かを期待するというもので、
すぐに結果がでるというものではなく、時間をおいて効果がでるものである。
イメージしやすいように例を挙げながら、代表的な2つのインベストメントを見ていこう。
1,次のトリガーを導くインベストメント
よくよく考えてみると、LINEでメッセージやスタンプを送っても、その場では何も得られない。
バッチやポイントを得られる訳ではない。
しかし、それらを送る度に、次のトリガーをロードするようになっている。
一言でいうと、「返信」のことだ。
2,価値を保存するインベストメント
パソコンやイスなど、通常のものは時間とともに価値がなくなっていく。
しかし、習慣化したWEBサービスは時間とともに価値が上がっていく。
例えば、コンテンツやデータを保存するというWEBサービスを考えてみよう。
Dropboxではファイルを置けば置くほど、Pinterestではお気に入りの画像をPinすればするほど、そのWEBサービスの価値は上がっていく。
これら4つはサイクルとして循環する
Facebookを例に説明しよう。
Facebookでは通知などの外的トリガー、退屈や孤独感といった内的トリガーによって訪問が行われる。
そこでのアクションは、単純にスクロールして見るなどである。
リワードとして、ソーシャルとハントの2つが機能している。
ソーシャル要素で先が読めないことに加えて、タイムライン上の情報を”宝探し”するというワクワク感である。
そしてユーザーは投稿や、投稿へのコメントを行うことでインベストメントを行っている。
そしてこのインベストメントは見事に次のトリガーとなっており、これらはサイクルとして循環し続ける。
セミナーの翌日、NirはVASILYを訪れて、iQONに関する様々なフィードバックをくれた。
その中で一番印象的だったのは、iQONのインベストメントの弱さだった。
トリガー、アクション、リワードの3ステップは上手くいっている。
“退屈”という内的トリガーと、Push通知などの外的トリガーがうまくワークし、アプリ内のスクロールなどのアクションも機能しており、お気に入りのコーデスクロールして見つけるというハントリワードもワークしている。
しかし現状、大多数のコーデを投稿しないユーザーにとって、インベストメントとして機能する機能がない、その結果うまくサイクルが回っていないというフィードバックを受け、改めてなるほどと唸ってしまった。
今回の主催者であるリクルートさんのご好意で、それ以外にもNirと話す機会があったため、その内容はまた後日記事にできればと思います。
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