政治

自民党憲法改正草案:「国防軍」表記を修正へ 公明反発で

59日前

 自民党は2012年4月にまとめた憲法改正草案の見直し作業に着手する方針を固めた。公明党の賛同を得やすくし、与党統一の改憲案作成につなげるのが狙い。改正草案に盛り込んだ「国防軍」を「自衛隊」に修正することなどが議論の焦点になる。

 自民党の改憲草案は、戦力の不保持をうたった現行憲法9条2項を削除し、「自衛権」を条文に明記。「我が国の平和と独立並びに国及び国民の安全を確保するため、首相を最高指揮官とする国防軍を保持する」と規定した。

 しかし、現憲法から一足飛びに「国防軍」を実現するのは容易ではない。自民党の石破茂幹事長は「『自衛軍』でもかまわない」との立場だが、党憲法改正推進本部幹部は「いずれにせよ『軍』を付けるのは難しい」と述べ、現実を踏まえて「自衛隊」にとどめる案が浮上している。

 自民党が改憲草案を見直さざるを得ないのは、野党時代に作った案だという事情もある。当時、護憲派と改憲派が混在する民主党政権との違いを鮮明にしようと保守色を前面に出したことが、公明党の主張との隔たりを生む背景になった。自民党は9条以外にも、緊急事態法新設や、改憲の発議要件の緩和などの中から優先順位の高い項目を選び、改憲草案の部分修正に着手する方針だ。

 しかし、特定秘密保護法制定や安倍晋三首相の靖国神社参拝などで公明党は「安倍カラー」に警戒感を強めている。公明党は現行9条を維持したうえで自衛隊の存在を明記する「加憲」の立場で、9条2項の削除は認めない構えだ。自民党が改憲草案の「国防軍」を書き換えただけでは、歩み寄りは難しい。

 逆に、自民党が公明党に配慮し過ぎれば、足元の党内で反発が広がる可能性もある。【念佛明奈】

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