【北京=阿部哲也】「そんな話を聞きたいんじゃない」「テロ情報はどうなったんだ」――。中国・北京で開催中の全国人民代表大会(全人代)で、新疆ウイグル自治区トップの張春賢・党委書記が記者団に囲まれて一時騒然となった。中国では少数民族問題を背景にテロが頻発しており、同自治区が6日開いた記者会見では関連情報を求める記者が多かった。しかし自治区側が国営メディアに限って指名。無関係な質問ばかりを受け付けたため、海外記者を中心に不満が爆発した。
中国では1日に雲南省で170人超が死傷する無差別殺傷事件が起きたばかり。中国政府は事件直後から「新疆の独立を狙う組織のテロ」と断定。このため追加情報を期待する記者が多かった。しかし自治区幹部が経済改革の成果を延々と説明。予定時間が少なくなったところで、記者団が激高した。
人民大会堂内の会場は警護担当官と報道陣の押し合いとなり、厳戒態勢の全人代では珍しい騒ぎとなった。最終的に張氏がぶら下がり取材に応じ「生活の改善につながる改革を進める。融和に向け様々な方法を絶え間なく考えていきたい」と述べた。
全人代、張春賢